更新日:2016年12月21日.全記事数:3,191件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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風邪に抗生物質は効かない?


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風邪に抗菌薬は出さない?

2008年に出された「臨床に直結する感染症診療マニュアル」には、「抗菌薬による風邪症状の改善や治癒に関して効果を示すエビデンスはない」と示され、「不適切な抗菌薬の使用は避ける必要がある」と記述されています。

しかしながら、咳、鼻水、口頭痛などの症状を伴う風邪に、細菌の二次感染予防を目的として、マクロライド系抗菌薬などを処方する医師も少なくありません。
また、症状が口頭炎、扁桃炎でも、ウイルス感染のほかにA群β溶連菌などの細菌感染の場合があります。
こういった場合には、抗菌薬が処方されます。

参考書籍:クレデンシャル2011.2

風邪に抗生物質は無意味?

風邪の原因はウイルスなので抗生物質は効かない、とよく言われます。

しかし、風邪の原因の全てがウイルスというわけではありません。
風邪の原因のほとんど(9割くらい)はウイルスですが、1割くらいは細菌性のものもあります。
上気道炎ではライノウイルスやコロナウイルス、RSウイルスなどのウイルスが多いですが、下気道炎では肺炎球菌、インフルエンザ菌など細菌性のものが多いです。

医師が細菌性の風邪を疑えば、「風邪に抗生物質」の処方もあります。
溶連菌による咽頭炎は抗生物質を処方しないと、後遺症を残すこともあります。

重症化したら抗生物質?

軽い風邪程度で抗生物質は必要無い。
と言われます。

抗菌剤の必要無い段階で受診される人も多くいます。
なので、ひどくなったらもう一度受診してください、と言われることも。

しかし、忙しい現代人が時間を作って受診できる日というのは限られている。
今は抗菌薬の必要な段階ではないけれど、悪化したときのために抗菌薬を処方する、というのは、医師の優しさでもあろうかと思う。

耐性菌は増やすけど。

風邪の原因はウイルス?

風邪の原因となるウイルスには、ライノウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルスなど、200以上あるといわれています。
ウイルスによって微妙に症状も異なりますが、病院を受診しても感染したウイルスを特定することはほぼ不可能なのです。

残念ながら、医師もどのウイルスによるかぜか、完全にかぜかどうか、本当のところ証明することはできないというのが現状です。
大学病院に依頼すればウイルスを特定できる可能性はあるのですが、自然に治るかぜにそこまでの時間とお金をかけることはできません。
症状から判断するしかないのです。

参考書籍:調剤と情報2013.3

インフルエンザ菌がインフルエンザの原因?

インフルエンザ菌という細菌がいます。

名前だけ聞くと一般の人は「インフルエンザの原因?」と勘違いされる人もいますが、インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスで細菌ではありません。

ではなぜこのような紛らわしい名前が付けられているかというと、昔インフルエンザの原因がこの細菌だと思われていたからです。

こんな紛らわしい名前は改名すべきと思いますが、すでに定着してしまった名前を改名するのは難しいのですね。

全てのウイルスに効く抗ウイルス薬は作れないか?

抗ウイルス薬は、抗インフルエンザウイルス薬とか、抗ヘルペスウイルス薬とか、効くウイルスがそれぞれ決まっています。

抗生物質にしても、全ての細菌に効くわけではありませんが、多くの種類の細菌に有効な抗菌薬の開発が可能です。

ウイルスは自分では増殖することが出来ず、人間の細胞を使って増殖します。

正常な細胞機能を妨げることなく、ウイルスの核酸・蛋白合成のみを阻止する。これが難しい。

抗ウイルス薬が標的としている、合成過程における宿主細胞との差や吸着・放出に関連する蛋白は各々のウイルスに特異的であり、このためウイルスの種類を問わずに有効な抗ウイルス薬の開発は困難である。

風邪に抗菌剤は不要?

風邪に抗菌剤という処方を見ると、これは適切な処方なのだろうか?と考えてしまいます。

日本呼吸器学会から、「成人気道感染症診療の基本的考え方」というガイドラインが出ています。

これに、風邪の治療方針が載っている。

抗菌薬の適応
(1)ウイルス性上気道炎(いわゆる「かぜ症候群」)に抗菌薬の適応はないが、明確な細菌感染を疑わせる症状・所見をみた場合には抗菌薬を用いる。明確な細菌感染を疑わせる症状・所見には、1)3日以上の高熱の持続、2)膿性の喀痰・鼻汁、3)扁桃腫大と膿栓・白苔付着、4)中耳炎・副鼻腔炎の合併、5)強い炎症反応:白血球増多・CRP陽性・赤沈値の亢進、6)ハイリスクの患者がある。
(2)経口抗菌薬では、β-ラクタム系薬、マクロライド系薬ともに耐性菌の増加を考慮し、最大投与量を短期間(3日間)で投与する。例:アモキシシリン(AMPC)250~500mg 3回/日、3日間内服。クラリスロマイシン(CAM)200mg 2回/日、3日間内服。レボフロキサシン(LVFX)100~200mg 2回/日、3日間内服。

2003年版だから古いかな。

でも、治療方針に大きな変化は無いでしょう。

抗生物質を安易に使ってはいけない?

1.抗菌薬を使わない

細菌が抗菌薬に暴露されると、さまざまなかたちでMIC(最小発育阻止濃度)の上昇した株が出現することが知られている。
その分類として、①ミューテーション(細菌の遺伝子は自己複製過程において突然変異を起こすことがあるが、抗菌薬を使用することで抗菌薬の耐性化に関わる変異遺伝子が生じる場合)、②アダプテーション(遺伝子変異は起こさないが抗菌薬に馴れが生じ複製するにつれMICが上昇する現象、③セレクション(ごくわずかに存在したMICの高い株のみが抗菌薬投与によって生き残る場合)などがある。

抗菌薬に暴露(抗菌薬選択圧)される量が増加することで、耐性菌が増加することが知られており、不必要な抗菌薬を使用しないという選択が重要である。
一般的な問題としてあげられるのが、風邪症候群における抗菌薬使用であろう。
風邪で受診した小児患者の保護者が、熱のあるときに抗菌薬を希望する率は、「いつも」、「ときどき」をあわせると76%(2006年調査)にも及ぶという背景がある。

2.抗菌薬を十分量使う

外来治療における重要な起因菌の耐性化においてPK-PDの問題が指摘されている細菌に、インフルエンザ桿菌で認められる耐性菌BLNARがある。
肺炎球菌のBLNAR株は欧米ではほとんど検出されていないが、わが国では1998年(3.2%)、1999年(6.6%)、2000年(13.5%)と急増したことが報告されている。

インフルエンザ桿菌は抗菌薬が消失すると細胞壁の合成阻害によって変形した菌体が復元し、溶菌しにくいことが知られているが、わが国で使用頻度の高いセフポドキシムやセファクロル、セフジニルなどの血中濃度は、現在推奨されているPK-PDパラメータに不十分であることが要因となっていると示唆されている。
抗菌薬は十分なPK-PDパラメータが確保されることで有効性と耐性防止が期待されるものであり、不適切な投与によって残存した菌が耐性菌を伝播させることとなる。

3.抗菌薬を十分な期間使う

抗菌薬投与中のコンプライアンスは1日の投与回数ならびに経過日数が多くなるに伴い低下することが知られているが、治癒率の向上ならびに耐性化抑止における服薬コンプライアンスの向上は重要な役割を果たしている。

前々から言われていることですね。
安易に抗生物質を使ってはいけないというのは。

小児科や耳鼻科の医師は結構気を使っていますが、内科医はまだ安易に使っているかな。
安易に使うな、というよりも、選んで使え、というのが正しいかも。
なんでもかんでもニューキノロンではなく、ペニシリン系から始めるとか。

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