更新日:2016年11月21日.全記事数:3,169件.

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チトクロームP450は日本人が命名した?


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チトクロームP450

1950年代の後半、ドイツミュンヘン大学の生化学者であるクリンゲンベルグ教授は、肝細胞の中に一酸化炭素を結合する奇妙なたんぱく質を発見しました。

しかし、その正体は不明で、教授の論文は「このたんぱく質はいったい何なのか?」という疑問符で終わっていました。

この論文に興味をもったのが日本の生化学者である佐藤了氏です。

そして約4年間かけて研究した結果、このたんぱく質が450ナノメーターの青い色調を吸収して赤くなる特徴をもっている酵素であることを解明し、チトクロームP450と名づけたのです。

本来、P450はコレステロールやステロイドホルモンの代謝に関与している酵素ですが、人間が新たにつくり出した薬物などの人工物質が増えるのに伴って、その代謝を一手に引き受けるようになったのです。

この酵素はとても不思議な酵素です。

一般的に、酵素は特定の構造をもった物質だけに働くのですが、この酵素は非常に多種類の化学物質に働くことができます。

しかも、働く相手の大部分は人間がつくり出した人工物質です。

参考書籍:クレデンシャル2012.2

体の中の化学反応は酵素が行う?

肝細胞による合成と分解は化学反応によって行われています。

化学反応というと、硫酸やエーテルなどをフラスコに入れてガスバーナーで加熱したり、フラスコから出る気体を冷却する実験装置を想像する人も少なくないでしょう。

化学反応には濃硫酸やアルカリ溶液がよく使われ、加熱して反応のスピードを速め、エーテルなどの溶媒が蒸気になって逃げないように冷却します。

工場で行われている化学反応も原理は同じです。

しかし、肝細胞はガスバーナーも濃硫酸もエーテルも使わずに化学反応を行っています。

温度も体温である37度ぐらいで、ほとんどの反応が中性の水の中で一瞬にして起こっているのです。

それを支えているのが酵素で、酵素が肝細胞で行われている化学反応の触媒の役割を果たしているのです。

触媒とは、それ自体は何の化学変化も受けずに、化学反応のスピードを速める役割をもった物質のことで、酵素がないときと比較して10の7乗~20乗ぐらい反応スピードを速めるといわれています。

つまり、実験室や工場では何時間もかかる化学反応を肝細胞は酵素の力を借りて瞬時に行っているのです。

また、酵素には限られた反応しか速めないという特徴があります。

例えば、デンプンを分解してブドウ糖にする場合、実験室ではデンプンに硫酸か塩酸を加えて加熱しますが、その際にデンプンに混入物があるとそれも分解されます。

しかし、デンプンを分解する酵素はデンプンしか分解しないのです。

酵素がある特定の物質だけに作用する性質を「酵素の特異性」、酵素の作用で化学反応を起こす物質を「基質」と呼び、両者の関係は鍵と鍵穴にたとえられます。

例えば、AとBという基質がピタッとはまる穴をもっている酵素に両者が引き寄せられると、化学反応が起こってCという物質が合成されます。

AとBからCを合成した酵素は、再びAとBを引き寄せてCを合成します。

この酵素はAとBからCを合成する以外の働きはもっていないのです。

私たちの身体の中には、数千種類の酵素があり、それぞれが決められた基質の反応だけに関与しているのです。

ここに、複雑な化学反応が整然と行われている秘密があるのです。

そして、1つの酵素が1分間に合成あるいは分解する分子の平均量は100~1万、なかには4億もの分子をつくり出す酵素もあるといわれています。

酵素がある特定の基質にだけ反応するため、肝細胞における化学反応は、いくつものステップを踏む必要があります。

なぜ、一気に最終産物をつくらないのでしょうか。

その理由は化学反応が大量の熱エネルギーを放出するからです。

つまり、一気に化学反応を起こすとその熱で細胞が破壊されてしまうので、いくつものステップを経て最終産物を合成しているのです。

肝機能の指標としての酵素

肝機能の指標として臨床で用いられているGOT(AST)とGPT(ALT)は、肝細胞の中に存在する数千種類の酵素の1つであるトランスアミナーゼという酵素に属しています。

GOTは肝臓の他に心臓や腎臓などにも存在していますが、GPTはほとんどが肝細胞中に存在する、肝臓に特異性の高い酵素です。

肝障害がなくても血液中には微量なGOTとGPTがありますが、肝細胞が障害を受けると大量に血中に流れ出します。

また、GOTとGPTのうち、どちらが優位かで疾患や病態の鑑別も可能です。

例えば、慢性肝炎ではGPTが優位で、肝硬変になるとGPTよりGOTが優位になっていきます。

一方、胆汁のうっ滞が起こると、ALP、γ-GTP、LAP、ビリルビンなどが上昇します。

また、γ-GTPは特にアルコール性肝障害で高値になります。

さらにアルブミン(Alb)は肝臓の合成能の障害によって低値になります。

参考書籍:クレデンシャル2012.2

薬を分解する能力には個人差がある?

お酒に強い人、弱い人がいます。

これは肝臓のアルコールを分解する能力の違いです。

同じように薬に強い人、弱い人というのがいます。

強い弱いという表現は当てはまりませんが。

肝臓で薬を分解する能力の高い人、弱い人がいます。

薬を分解する酵素はチトクロームP450といいます。

CYP1A2、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4など様々な種類がありますが、これらの酵素の強さには個人差、人種差があります。

2C19を持っていない日本人が20%ほどいます。

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