更新日:2015年10月22日.全記事数:3,117件.

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人間と真菌の細胞膜の違いは?


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エルゴステロール

水虫は、「トリコフィトン」と呼ばれる真菌の一種が原因の皮膚感染症です。
トリコフィトンは足の裏や吐間部、爪、さらに体部、陰股部、頭部の皮膚中でケラチンなどの皮膚タンパク質を餌にして繁殖します。

真菌は高い湿度を好むので、比較的湿度の高い日本はよい環境なのかも知れません。
皮膚感染症を起こす真菌は、トリコフィトンとカンジダの二種でほとんどを占めています。
アゾール系薬は両菌種に有効なため、表在性真菌症治療薬として高い評価を得ました。
しかし、その後のアゾール系薬は改良によってクリプトコッカス、アスペルギルス等にも有効となり、適応症は深在性真菌症に拡大されています。

抗真菌薬は真菌とヒトとの相違点を標的にして副作用の軽減を図りますが、真菌とヒトとの大きな相違点に、細胞膜の主成分がヒトではコレステロールであるのに対し、真菌ではエルゴステロールであることがあります。
アゾール系抗真菌薬はこのエルゴステロール生合成を阻害することにより抗真菌活性を発揮しています。

アゾール系抗真菌薬

アゾール系抗真菌薬の標的は、エルゴステロール生合成経路の酵素である14αデメチラーゼです。
本酵素はチトクロームP450(CYP450)ファミリーに属する膜酵素であり、他のCYP450酵素と同じく、活性部位に鉄原子を含むヘム色素を有
し、酸素とNADPHを使用して基質を水酸化します。

14αデメチラーゼは、基質の14α位置のメチル基を水酸化に始まる反応により除去します。
基質は、エルゴステロールの前駆体であるオブツシホリオール等の数種の化合物に限られます。
この酵素が阻害を受けると基質が蓄積し、エルゴステロールは減少することになり、結果として真菌細胞膜の組成が変化します。

組成が変化した真菌細胞膜は、膜透過性変化、膜漏洩、栄養素輸送障害、膜酵素不活化、発育阻害、さらには宿主防御機能に対する真菌の感受性増大などをきたし、究極的には細胞死にいたります。
14αデメチラーゼは真菌選択的な標的と位置づけられていますが、この酵素は真菌特異的ではなく、細菌から哺乳動物にいたるまで普遍的に
存在する酵素であることが判明しています。
本酵素はヒトにはコレステロール生合成経路酵素として働きます。
しかし、14αデメチラーゼに関する真菌とヒト間のタンパク質相同性は28%と低く、真菌酵素に特化して阻害活性を増強したアゾール系薬は高い選択性を示すことが予想されます。
実際、阻害活性は3桁以上の差があることが示されています。

一方、アゾール系薬は14αデメチラーゼと同じCYP450に属する薬物代謝酵素CYP3A4、CYP2C9を阻害することが報告されており、その薬物相互作用には留意する必要があります。

抗真菌薬

抗真菌薬は真菌の細胞膜合成過程のいずれかの部位を阻害することにより効果を発揮します。

真菌の細胞壁はαーグルカンやβーグルカンを含む多糖体などで形成されているが、細胞膜はエルゴステロールを含んでいて、これが抗真菌薬の治療の標的となる(ヒトの細胞膜はコレステロールを含む)。

数千の真菌が存在するが、ヒトに感染を起こす真菌は限られた種類である。

しかし、臓器移植例やHIV感染例あるいは強力な抗癌剤を使う例の増加により、真菌感染例は増加している。

このような傾向を反映して、抗真菌薬の種類も増えてきている。

アリルアミン系抗真菌薬

アリルアミン系製剤のテルビナフィンはスクワレン・エポキシダーゼを選択性に阻害することにより真菌膜合成過程をブロックして抗真菌効果を示す。

また、直接的に細胞膜に障害を与える作用も有するとされている。

T.rubrum、T.mentagrophytesに対して0.001~0.1μg/mL、M.canisに0.005~0.1μg/mLのMICを示し、殺菌的な作用を発揮する。

Candida属に対しては0.25~0.128μg/mLのMICで、静菌的な作用である。

M.furfurに対して0.2~0.8μg/mLのMICを示す。

ケラチンに高い結合性を示し、優れた貯留性を有するので、1日1回の外用で十分な効果がある。

イミダゾール系抗真菌薬

イミダゾール系の抗真菌薬は広い抗菌スペクトルを有し、皮膚糸状菌のほか、カンジダ、癜風菌に対して抗菌力を有する。

真菌の膜構成成分であるエルゴステロールの合成過程で14αデメチラーゼの作用を阻害しラノステロールから14デメチルラノステロールへの変換を阻止する。

現在、クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸イソコナゾール、硝酸スルコナゾール、硝酸オキシコナゾール、塩酸クロコナゾール、ビホナゾール、ケトコナゾール、塩酸ネチコナゾール、ラノコナゾールが外用剤として使用されている。

硝酸ミコナゾールは静注用製剤として内臓真菌症に対して使用できる。

ケトコナゾールは海外では内服剤として全身的な投与法として使用されている。

ケトコナゾールは特にMalassezia furfurに対して0.001~0.1μg/mLのMICを示し、強い抗菌力を有するので、M.furfurの関与が強いとされる脂漏性皮膚炎に対しても用いられている。

チオカルバメート系

ハイアラージン(トルナフタート)

1962年に開発され、1965年より使用されるようになったチオカルバメート系製剤で殺真菌作用を有している。

皮膚糸状菌に対して高い抗菌活性を有しているが、カンジダに対しては抗菌力が弱い。

スクワレン・エポキシダーゼの作用を阻害することにより抗菌力を発揮する。

ゼフナート(リラナフタート)

わが国で合成されたチオカルバメート系製剤である。

トルナフタート、トルシクラートと同様に真菌細胞の膜構成成分であるエルゴステロール生合成過程のスクワレン・エポキシダーゼの作用を阻害し、抗真菌作用を発揮する。

T.rubrumに対して0.004~0.078μg/mL、T.mentagrophytesに対して0.019~0.156μg/mL、E.floccosumに対して0.009~0.078μg/mLのMICを示し、高い抗菌活性を有している。

チオカルバミン系の抗真菌薬です。とくに白癬菌に強い抗菌作用を示します。けれど、カンジダには効きません。

同系統のトルナフテート、トルシクラートより抗真菌活性が強いとされます。

皮膚貯留性が良好。

皮膚に長く留まるので、1日1回の塗布で済みます。

キャンディン系抗真菌薬

エキノカンディン系(キャンディン系)抗真菌薬にはミカファンギンナトリウムがある。
細胞壁の合成を阻害して、カンジダには殺菌性に作用する。

副作用が少なく、安全な抗真菌薬と考えられている。

真菌と分類されたニューモシスチスに対するスルファメトキサゾール・トリメトプリム、ペンタミジンの使用は臨床状態により他の抗真菌薬との併用を考慮しなければならない。

抗真菌薬による治療は長期にわたるので確定診断を得るように努力する。

トリアゾール系抗真菌薬

抗真菌薬の副作用を減弱させ、経口投与を可能にしたグループがアゾール系の抗真菌薬である。

フルコナゾールやイトラコナゾール、ボリコナゾールが代表的薬剤として挙げられる。

アムホテリシンBは殺菌性であるが、アゾール系は静菌性と考えられる。

水虫の薬は飲み薬と塗り薬がありますが、副作用の面からもまず塗り薬で治療することが多いでしょう。

1日1回のものが主流です。

市販の水虫薬にはかゆみ止めの成分が入っているものが多いです。

かゆみが強くて何度も塗りたいようならば1日2~3回のものを選ぶと良いでしょう。

ベンジルアミン系抗真菌薬

ベンジルアミン系製剤である塩酸ブテナフィンはチオカルバメート系製剤と類似した骨格を有する製剤である。

皮膚糸状菌ではT.ruburuに対して0.007μg/mL、T.mentagrophytesに対して0.012μg/mL、M.canisに対して0.024μg/mL、M.gypseumに対して0.014μg/mL、E.floccosumに対して0.016μg/mLのMICを示し、強い抗菌力を有している。

また、M.furfurに対して3.13μg/mLのMICを示す。

アリルアミン系製剤と同様にスクワレン・エポキシダーゼの作用を阻害し、スクワレンからスクワレン-2、3、オキサイドへの変換をブロックし、真菌膜合成過程を中断させる。

角質親和性があり、長時間貯留するため、1日1回の外用でよい。

モルホリン系抗真菌薬

モルホリン系製剤であるアモロルフィンは1981年に開発された。

外用すると48~72時間皮膚に貯留するため、1日1回の外用でよい。

Δ14リダクターゼ、Δ8→Δ7イソメラーゼの作用を阻害する。

エルゴステロール合成過程の2ヶ所をブロックすることにより抗真菌作用を発揮する。

皮膚糸状菌、カンジダ、黒色真菌に対して静菌作用ないし高濃度に長時間作用させると殺菌効果を呈する。

HendersonulaやMalassezia furufurに対しても抗菌活性を有する。

ポリエンマクロライド系抗真菌薬

アムホテリシンBは抗真菌範囲が広く、耐性が少なく、迅速な殺菌作用を有するが、副作用の点から投与が困難である。

アムホテリシンBの腎毒性を軽減するために、脂肪製剤が3種類製造された。

わが国ではアムホテリシンBリポソーム(アムビゾーム)が使用できる。

効果の点では同一あるいはそれ以上と考えられている。

ヒドロキシピリドン系抗真菌薬

バトラフェンはpyridone誘導体で、ユニークな化学構造を有し、真菌の他、グラム陽性菌、陰性菌などに対しても殺菌効果が高く、広い抗菌スペクトルを有する。

アンコチル

腸管吸収はよく、髄液中濃度も血清中の60~80%と高い。

クリプトコッカス髄膜炎では単独投与はないが、AMPH-Bの補助薬として併用で用いる。

5-FCは耐性化しやすいので初回から十分量を用いる。

妊婦には禁忌である。

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