更新日:2015年12月12日.全記事数:3,136件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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お酒を飲むとγ-GTPが上がる?


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お酒とγ-GTP

γ-GTPという検査項目はアルコールによく反応するといわれる。
飲酒によって肝細胞が破壊されれば、他の肝機能検査項目も反応しそうですが。

γ-GTPは胆道系酵素とも呼ばれ、胆管の閉塞などで胆汁の流れが滞って数値が上がることがありますが、多くの場合は脂肪肝やアルコールの多飲が原因となります。

かつては飲酒に伴い上昇する酵素として有名でしたが、実際には過体重に伴う脂肪肝で上昇する人が過半数で、飲酒をしない人でも高い数値を示す場合があります。

γ-GTPが高い原因はお酒?

γ-GTは、グルタチオンなどのγ-グルタミル基を他のペプチドやアミノ酸に転移する酵素です。
臨床検査データには、「γ-GT(γ-GTP)」と併記されていることもあります。
γ-GTの特徴は、アルコールや抗精神病薬、抗不安薬などの薬剤で誘導を受け、血中濃度が上昇する点と、胆汁うっ滞性疾患で上昇する点があげられます。
肝疾患であればALT値が(中程度~)上昇し、肝臓で合成されるChE(コリンエステラーゼ)が低下しますし、胆汁うっ滞であればALPが上昇します(妊娠中は除く)。
したがって、そのような場合では疾患にあわせた薬物治療、生活指導を行うことになりますが、その他のケースとしてよくみられるのは、飲酒や薬物服用による一時的な上昇や、脂肪肝(脂肪代謝障害)です。

脂肪肝の場合、ALT値は軽度~中程度上昇し、ChEは高値を示します。
脂質(中性脂肪、コレステロール)も異常値を示すことが多く、肥満の患者が多いので見た目でも比較的わかりやすいのですが、確定診断は、超音波(エコー)で行います。
また、一般的にアルコール類はカロリーが高く、同時に「つまみ」として脂っこいものや味の濃いものを摂取しがちになります。
飲酒習慣がなく栄養過多による場合は、糖分や脂肪分の摂り過ぎが考えられます。
特に中年以降は運動量も減少し、この傾向は強く見られるようになります。
アルコール摂取による一時的な上昇は、1週間程度の禁酒で数値が下降しますが、脂肪肝の場合は数か月単位の管理が必要となりますので、患者にその旨を説明し、自己管理を心がけるよう指導します。
同時に、γ-GTの基準範囲は40IU/L以下(男性)・30IU/L以下(女性)ですが、200IU/Lを超えるような場合は医師に相談し、より精密な検査を行うよう指導する。

肝機能検査値の見方

薬局で検査値を見てほしい、と患者にアドバイスを求められることがある。
ビリルビンが高いとか、ALPが高いとか。

肝機能の指標になるのはわかるけれど、どれくらいの重要性があるのだか。
AST、ALT、γ-GTP以外の検査項目は有用性はかなり低いと考えられる。

健康診断や人間ドックで必須項目とはいえない肝機能検査として以下のものが挙げられる。

TP(総蛋白)、アルブミン:肝硬変等の末期に近くならなければ一般的には下がらないので臨床的スクリーニング的価値は少ない
総ビリルビン:先天性のもの以外は殆どないと考えられるので日常検査には不要
LDH、ALP:測定法が一定でない上、測定値の幅も大きすぎるし、また肝臓以外の各種アイソザイムの影響を受けているので、人間ドッグでは二次検査で充分
ChE:リン中毒には有意であっても日常、この検査が変動することは殆どないので人間ドッグには不向き
TTT、ZTT:グロブリンと同じ意味とされるZTT(硫酸亜鉛混濁反応)や、反応の意味がよく分からないTTT(チモール混濁反応)は肝機能検査としてなお使われているが、人間ドックのような検診の場では不要

AST、ALT

一般的な健康診断には労働安全衛生規則に含まれたAST、ALT、γ-GTPという検査項目があります。

ASTはこれまでGOTと、ALTはGPTと呼ばれていましたが、肝細胞に含まれているアミノ酸変換酵素の命名に従って呼称が変わりました。
国際的にはかなり前からGOTをAST、GPTをALTと呼んでいます。

ASTとALTは「逸脱酵素」とも呼ばれ、血中半減期が1~2日以内で、肝細胞が壊れると血液中に漏れ出すため急性肝炎や慢性肝炎の指標として使われてきました。

ただし肝臓に炎症がない脂肪肝でもALTやASTの数値は上がることがあります。
肝細胞が壊れていない場合でも軽度の上昇を示します。

また肝臓以外の臓器にも多く存在するため、肝臓疾患以外の原因で上昇することもあります。

特に赤血球や筋肉(骨格筋や心筋)にも含まれるASTは、健康診断の採血時に赤血球が壊れたときや、健康診断の前日にマラソンをしたり、激しい筋肉トレーニングをしたりすることで基準値を超えて上昇するケースもみられます。

ALTやASTが30以上の人は、B型肝炎やC型肝炎などの慢性肝炎を起こすウイルスに感染していないか、血液検査で鑑別診断を行う必要があります。

また脂肪肝の診断には腹部超音波検査が有効です。

ChE

ChE(コリンエステラーぜ)は、アセチルコリンを加水分解するもの(アセチルコリンエステラーぜ(AChE)、真性ChE)と、その他のコリンエステルを加水分解するもの(偽性ChE)の2種類が生体内に存在します。

臨床検査で測定されるChEは偽性ChEであり、これは肝臓で合成されて血中に遊離します。

肝機能が低下すると、合成能も低下し、血中ChE活性は低値を示します。

一方、脂肪肝や肥満では合成能が亢進し、高値となります。

また、農薬やサリンなど有機リン剤中毒では、ChEと結合して活性が阻害されることがあり極端な低値を示します。

参考書籍:調剤と情報2012.1、クレデンシャル2013.7、調剤と情報2011.12

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