更新日:2015年10月22日.全記事数:3,171件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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妊婦は葉酸を摂取すべきか?


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妊婦と葉酸

抗てんかん薬は葉酸の代謝・吸収を阻害するといわれ、抗てんかん薬服用妊婦では、神経管閉鎖障害の発生頻度が高いことがわかっています。

神経管閉鎖障害は、妊娠6週頃の神経管の正中部における癒合不全が原因とされる先天異常です。

したがって、葉酸は妊娠がわかってから摂取するのでは遅く、妊娠の1か月以上前から摂取することが大切です。

葉酸の摂取量は、神経管閉鎖障害児の妊娠歴のある場合や抗てんかん薬を服用中の場合は、通常の推奨摂取量(1日400μg)より増加させることが推奨されます。

葉酸と奇形

葉酸は水溶性でビタミンB群の一つで、細胞分裂や新陳代謝には欠かせない重要な栄養素の一つです。

最近、妊婦の間でも葉酸の欠乏・不足は赤ちゃんに先天性の疾患を引き起こすことが広く知られるようになってきました。
胎児の細胞分裂が活発な妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児に二分脊椎症や無脳症などの神経管閉塞障害という先天奇形を発症するリスクが高まることが分かっています。

胎児の器官形成は妊娠の早い段階で始まるため、妊娠に気付く前から葉酸が不足しないようにしなければならないのです。

妊娠初期だけでいいか?

2000年に厚生労働省は妊娠を計画している女性に対し、「妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、葉酸をはじめ、その他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスが取れた食事が必要である」ことを強調しています。

しかし「妊娠3か月まで」の間だけ葉酸を摂取すればよいというわけではありません。

葉酸は、奇形を予防するためだけでなく、そのほかにも大切な働きをしているからです。

その一つが遺伝子発現を修飾するエピジェネティクス(DNAの化学修飾などによる遺伝子発現調節システムをいう)です。
さらに細胞分裂に重要な核酸合成にも関与しているのです。

動物実験では、妊娠中の葉酸不足は、出生児に望ましくない影響が出ることが報告されています。

妊娠に気付いてからでは遅い?

妊娠が判明するのは妊娠6週以降である。
神経管閉鎖障害の発生は妊娠6週ごろ、心血管系奇形と口唇・口蓋裂の発生は妊娠5~10週ごろであるため、妊娠に気付いてから葉酸を摂取しても先天性奇形の予防には役立たない恐れがある。

葉酸の吸収

現在、国内で販売されている葉酸を配合するサプリメントの用量は、ほとんどが400μg/日です。
サプリメントに含まれるのはモノグルタミン酸であり、約80%と吸収効率(生物有効性)が高いのが特徴です。

一方、食物に含まれるのはポリグルタミル葉酸であり、その吸収効率は50%程度です。
必要量が増える妊娠中はサプリメントで400μgを摂取し、それに加えてバランスの良い食事を取っていくことが重要です。

海藻類や緑黄色野菜、豆類などが多く葉酸を含んでいます。

参考書籍;日経DI2013.11

葉酸と喘息

【11月5日 AFP】妊娠後期に葉酸サプリメントを摂取すると、生まれてくる赤ちゃんのぜんそくリスクが高まる可能性があるとの豪大学による研究結果が、4日の疫学専門誌「American Journal of Epidemiology」に発表された。
 緑葉野菜やマメ科植物、ナッツ類に含まれている葉酸は、神経系欠損児のリスクを減らすとして、妊娠前・妊娠初期の女性に対して摂取が一般的に推奨されている。
 ところが、オーストラリアのアデレード大学(Adelaide University)の研究チームが550人を対象に行った調査では、妊娠後期(16週~30週)に入っても葉酸サプリを摂取し続けた女性で、生まれた子どもがぜんそくを発症する確率が約30%高くなることがわかった。
 一方で、葉酸サプリを妊娠前から摂取し、妊娠から数週間でやめた女性では、子どものぜんそく発症リスクが高まることはなかった。
 マイケル・デービス(Michael Davies)准教授は、「葉酸は、二分脊椎(せきつい)などの神経管欠損症を防ぐために非常に重要だ。ただ、とても生理活性がある物質なので、摂取にあたっては多少の注意が必要になる。妊娠初期の摂取が(ぜんそくリスクを高める)証拠が見つからなかった点は、葉酸を摂取している女性にとってはひと安心だ」と話した。
 なお、葉酸を豊富に含む食品を摂取する場合は、生まれた子どものぜんそく発症リスクに上昇は見られなかったという。妊娠後期の葉酸サプリ摂取で子供のぜんそくリスク上昇、豪研究 国際ニュース AFPBB News

葉酸の摂取は初期に留めておいたほうが良いということでしょうか。

サプリメントとしての摂取よりも、食品からの摂取が推奨されるということでしょうか。
当たり前ですが。

胎児の奇形防止という観点では、初期の摂取のみで十分でしょう。
妊娠後期まで葉酸サプリを飲み続ける親、というのは、熱心な気がします。

その熱心な母親の気質が、子どもの喘息発症に影響していることも考えられそう。

葉酸について

胎児の神経管閉鎖症防止のため、妊娠可能女性は400μg/日以上の摂取。
貧血には確定診断後投与を検討。
心血管系リスクには無効。
薬物相互作用が多い。
濃緑色野菜、豆類、肝、魚卵、貝類。

葉酸はビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれ、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。
プテリジンにパラアミノ安息香酸とグルタミン酸が結合した構造を持つ。
1941年に乳酸菌の増殖因子としてホウレンソウの葉から発見された。
葉はラテン語で folium と呼ばれることから葉酸 (folic acid) と名付けられた。
葉酸は体内で還元を受け、ジヒドロ葉酸を経てテトラヒドロ葉酸に変換された後に補酵素としてはたらく。

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