イナビルは効かない？

イナビルは効かない？

海外の臨床試験で、イナビルがプラセボと比べて効果に有意差が無いという結果が多く出ているようです。

製薬大手の第一三共が開発した”国産”抗インフルエンザ薬の「イナビル」（一般名ラニナミビル）だが、欧米での臨床試験では効果に疑問符が投げかけられた。インフルエンザの症状が改善するまでの期間がプラセボ（偽薬）と変わらなかったという。欧米での承認を目指して臨床試験を行っていた米製薬メーカーのビオタは、これ以上独自にイナビルの開発を進める予定はなく、今後の展開は「第一三共と話し合っていく」としている。【健百】抗インフル薬「イナビル」、欧米の試験で効果に疑問符 あなたの健康百科

タミフルやリレンザは世界各国で販売されていますが、イナビルは日本だけ。

まあ、インフルエンザなんて所詮風邪の一種。
時間さえ経てば治りますが。

しかし、パンデミックに備えて国が備蓄するのはどうなんだろう。

イナビルよりリレンザのほうが効く？

　研究班のメンバーである九州大学先端医療イノベーションセンターの池松秀之氏は、「各薬剤のそれぞれのウイルスに対する感受性の影響のほかに、プロドラッグであるイナビル（吸入後に加水分解によって活性代謝物に変換される）とドラッグであるリレンザの違いが反映されている可能性がある」と話している。リレンザ、投与開始早期の解熱症例の割合がイナビルより有意に多い：日経メディカル オンライン

イナビルはプロドラッグだから効果発現が遅い、と。

プロドラッグだからこそ、1回の吸入で済むのですが。

イナビルが発売されたら、リレンザは淘汰されるかも、と思っていましたが、こういった効果の面も含めてまだまだ処方は多い。

タミフルよりイナビルのほうが効く？

タミフルとイナビルを罹病期間で比べてみる。

タミフルドライシロップのインフルエンザ罹病期間
タミフルＤＳ　101.3時間
プラセボ　137.0時間

タミフルカプセルのインフルエンザ罹病期間
タミフルＣＰ　70.0時間
プラセボ　93.3時間

イナビルのインフルエンザ罹病期間
成人　73.0時間（タミフル73.6時間）
小児　56.4時間（タミフル87.3時間）

成人だとタミフルもイナビルも同じくらいだけど、小児だとかなり差がある。
本当かな？

イナビルはすぐに効く？

「イナビルを使って治ったら学校に行かせてもいいですか？」と聞かれて困る私です。

リレンザは5日間の吸入が必要。それに比べイナビルは1回の吸入でおしまい。
そのため、リレンザは治療までに5日間かかるが、イナビルは1日で済むと思い込む患者がいます。
イナビルはすぐに効くという誤解。

イナビルは1回で服薬が終わり、休日診療所の医師など、かかりつけ医以外でのインフルエンザ治療に適している。しかし、もし患者が誤解した場合、それを正す機会もない。
従来のインフルエンザ治療では、出席停止の期間と療養期間、服薬期間がそれぞれ同じであったが、イナビルの場合はこれらが当てはまらない。

インフルエンザによる出席停止は、患者の体調回復のための期間であると誤解し、集団生活における感染予防のために行われていることをあまり理解していない親もいる。
薬の吸入で解熱すれば、登校しても構わないと判断する親もいる。
患者の注意は治療に集中しており、感染拡大防止の視点を欠いている場合がある。出席停止の期間や療養の仕方などについて、医療機関でどのような説明を受けているかを確認し、必要に応じて説明を加える必要がある。