2016年9月18日日曜更新.3,289記事.5,378,270文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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液体は飲み込みにくい?

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ヒトと哺乳類の嚥下の違いは?

ヒトののどは他の多くの哺乳類に比べて喉頭の位置が低いという特殊な構造をしています。

ヒトでも他の哺乳類でも採用されている「咀嚼嚥下」は、喉頭蓋谷に食べ物を送り込んで嚥下反射を起こすというものです。

他の哺乳類では水分を飲むときも咀嚼嚥下だけでよいわけですが、ヒトはこの嚥下様式で水分を飲み込むことは難易度が高い課題となりました。

物を飲み込むとき、喉頭が挙上して喉頭蓋や披裂部が喉頭の入り口をふさぎ、食べ物や水分が気道に入るのを防いで肺を守ります。

しかし、上から下に簡単に流れてしまう水分は、気道の入り口が閉じる前に気道に流れ込むリスクを有しているのです。

そのため、ヒトは水分を飲むための「液体嚥下」という特別な様式を身につけました。

水分を飲むとき、いったん口の中にため、それから一気に飲み込みます。

これが液体嚥下です。

この嚥下によってヒトはうまく水分を飲んでいるようにみえます。

しかし、例えば固形物と液体を同時に口に入れると、咀嚼に伴って液体だけが先に咽頭内に進行し、喉頭の閉鎖が間に合わず、誤嚥につながるリスクが高くなるわけです。

高齢者では、喉頭挙上筋群の筋力低下などにより喉頭の位置が下がって喉頭の閉鎖に時間がかかったり、不十分になります。

さらに嚥下反射そのものが起こりにくくなり、タイミングが遅れたりします。

そして、脳卒中によって神経系が障害されると、よりいっそう嚥下障害が起こりやすくなるのです。

液体嚥下

液体嚥下では、食塊が咽頭に達すると嚥下反射が生じて、極めて短時間の間に、以下の一連の動きを行う。

・軟口蓋が挙上して鼻腔と咽頭の間を塞ぐ
・舌が食塊を咽頭へ押し込み、舌骨・喉頭が挙上し、食道入口部が開大し、食塊が食道へと移動する。
・喉頭蓋の反転、披裂の内転、声門の閉鎖により喉頭が閉鎖する(一時的に呼吸が停止する)
・咽頭が収縮し、食塊をクリアーする。

固形化・半固形化

固形化・半固形化とは、液体の流動性を低下させ、ゲル状やペースト状などにすることである。

固形とは、「質がかたく一定の形体を有するもの」と広辞苑で定義されている。
固形化とは、「重力に抗してその形態が保たれる硬さにすること」とされ、半固形とは、「液体と固体の両方の属性をもつ物質で、液体より固体に近い半流動体」と提唱しているが、現在、半固形の厳密な定義はない。

経腸栄養剤の固形化・半固形化により、液体に比較して流動性が低下するため、噴門部の通過性(逆流)が低下し、GERDの頻度が減少する。
これにより、誤嚥性呼吸器感染症のリスクが減少するとともに、一括注入が可能となり、介護負担の軽減が得られる。
液体に比べ、胃内において生理的な形態となるため胃内停滞時間が延長し、消化管本来のもつ運動機能を働かせることができ、GERDを妨げる。

また、胃瘻からの栄養剤のリークも防げる。
しかし、増粘剤を使って経腸栄養剤を半固形化する場合、固める手間や、経腸栄養剤によってはうまく固まらないものもあるので、相性も考えなければならない。
増粘剤を混ぜてから置く時間も考慮する必要がある。

また、調整時や注入容器への移し変え時における細菌汚染の問題もある。
固形化・半固形化を行うと必ずしも逆流が起こらないというわけではなく、この固形化・半固形化はGERD防止の1つの手段に過ぎない。
固形化・半固形化をした経腸栄養剤を投与しても逆流を起こす人は、液体のまま少量ずつ投与するほうが良い。

高齢者に誤嚥が多いのはなぜ

喉の奥に飲食物が入ると、それを飲み込もうとする嚥下反射が起こります。

このとき、同時に喉頭蓋が気管をふさぎ、気管に飲食物が入っていくことを防いでいます。

健常人であれば、気管に異物が入り込んでも、通常は咳反射により異物を肺の外に排除できます。

しかし、高齢になるほど咳反射が弱くなり、なかには脳卒中の後遺症などによって、嚥下反射、咳反射がうまく働かなくなることがあります。

そうなると異物が気管や肺に入ったままになり誤嚥性肺炎の原因となります。

高齢者など、このような危険性のある患者では、きちんとゴクンッと飲み込んでいるかどうか喉仏の動きを観察しましょう。

また、飲み込んでいると思っていても、実は食塊形成(食物を飲み込みやすい形に口の中でまとめること)ができずに、食べ物が口の中に残っていることもあるため、飲み込んだあとの口の中を観察することも大切です。

年をとるとむせやすくなる?

年をとると体の衰えとともに、嚥下反射が鈍くなってむせやすくなります。

むせればまだ良いほうかも知れません。嚥下反射がまだ機能している。
異物が気管に入ってもむせないような状態だと、肺炎になります。

これが誤嚥性肺炎。

眠っている間に忍び寄る?

口腔内には300~400種に及ぶ細菌が数千億個も存在し、唾液1mg当たり10億もの細菌が混入しているといわれます。

寝ている間に唾液や咽頭分泌物などを症状のないまま誤嚥することを不顕性誤嚥と呼び、これが誤嚥性肺炎の原因となるとされています。

高齢になると咳反射や嚥下反射が低下し、知らない間に細菌が唾液と共に肺に流れ込み(不顕性誤嚥)、この細菌が肺の中で増殖して誤嚥性肺炎が起こります。

夜間の睡眠中は、日中よりも咳反射や嚥下反射を起こす役割のある物質サブスタンスPの合成量が減少するため、睡眠時に誤嚥性肺炎を起こしやすいです。

むせない誤嚥?

本人や家族も気付かないうち(特に睡眠中)に、誤嚥(不顕性誤嚥)を起こしていることがあります。

誤嚥していても、咳が出ず、異物が気道に入りっぱなしの状態になってしまうのです。

特にドパミンの分泌が低下している人(大脳基底核の脳卒中やパーキンソン病など)は不顕性誤嚥が多くみられるため、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査で検証した方が安心です。

健康な人でも誤嚥?

健康な人でもむせることはあります。

頭頚部のがんなどの手術や放射線治療、化学療法などを受けている場合には、54%までの高率で不顕性誤嚥が起きており、健常者においても10~50%で起きていたと報告されています。

腰が曲がると肺炎になる?

腰が曲がると、肺活量が弱まる。

肺活量が弱まると、肺炎になる。

胃食道逆流症の原因は唾液量の減少?

唾液の働きには、

・嚥下や食道蠕動を促す
・食道内の酸を洗い流す
・含有する重炭酸が胃酸を中和する
・含有する上皮成長因子の食道粘膜修復作用で食道を防御する

といった多様な働きがあります。

胃から食道へ内容物の逆流が起こった場合でも、重力、食道運動、そしてこの唾液の働きで内容物を食道から除去する機構が備わっています。

口渇から嚥下困難?

口渇をなめてはいけない。

口渇の副作用を持つ薬は数多い。
しかも、漫然と投与されている可能性も高い。

唾液は食べ物を飲み込むのに都合よく、食物と混ざり合って一塊まりのブロックにする(食塊形成)役目を持っています。
つまり、唾液の分泌不足によって、食べ物がうまく飲み込めない(嚥下困難)状態が生じます。

口渇から嚥下困難→食欲不振→低栄養状態→体重減少→寝たきりへと進んでいく。
恐るべし口渇。

「らりるれろ」「ぱぴぷぺぽ」で嚥下状態の確認?

超高齢社会を迎え、店頭でも在宅介護されているご家族からも相談を受けます。

食事、薬の服用では咀嚼・嚥下がきちんとできるかがとても重要です。

嚥下障害は、一般的には口腔外科などで、嚥下造影検査を受け、口から食べる機能に異常がないか調べます。

舌が使える目安は「らりるれろ」

「らりるれろ」ときちんと発音できれば舌が使える目安になります。

舌は唾液と食物を混在させて塊をつくる機能を持っています。

舌が十分機能できなくて、食物を丸められない状況であれば、とろみ剤を使えば飲み込めます。

口に入れる時は上体を60度ぐらいに起こす、もしくは少し上向きにするだけでも違います。

薬局で扱うとろみ剤も1種類だけでなく、ゼラチンや寒天状のものがあります。

のどにつまりやすい方には、体温で溶けるゼラチンがお勧めしやすいでしょう。

口が閉じられるかは「ぱぴぷぺぽ」

「ぱぴぷぺぽ」が発音できればきちんと口を閉じられます。

「ぱぴぷぺぽ」が言えない人は、口を閉じて噛めず食べ物がポロポロ外にこぼれてしまいますので、細かく刻んで奥のほうに落とし込んであげましょう。

また嚥下障害のある方では水が一番散りやすいので、水にもとろみをつけるとよいと思います。

薬を服用する際は小さな製氷皿のなかにゼラチンを溶かして、そのなかに錠剤を埋め込む方法もあります。

そのままゴックンとできます。

嚥下障害の原因は球麻痺?

脳卒中後の嚥下障害の原因は、球麻痺と仮性球麻痺とに大きく分けられます。
球麻痺では、延髄の嚥下中枢が障害されているために嚥下障害が生じます。

この球麻痺の患者は、高次脳機能は保たれていますが、嚥下反射はないか、極めて弱いという特徴があります。
一方、仮性球麻痺は、大脳皮質と延髄を結ぶ経路の障害です。

嚥下反射はあるものの、舌の機能障害、嚥下時の舌と咽頭の協調障害などが起こり、嚥下に悪影響を及ぼします。
また仮性球麻痺の患者は、高次脳機能の障害により、認知症や感情失禁など多彩な症状を示します。

脳卒中患者の中で嚥下障害のリハビリテーションの対象となるのは、この仮性球麻痺を呈する場合が最も多いといえます。
高齢になるほど、多発性脳梗塞が存在する確率が高くなり、仮性球麻痺を発症するリスクが高くなると考えられます。

参考書籍:武田薬報2012 466号、ファーマトリビューン2011.2

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