2018年8月17日更新.3,304記事.5,456,307文字.

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機能性胃腸症と慢性胃炎の違いは?

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急性胃炎と慢性胃炎の違いは?

胃炎は、病歴的には、急性胃炎慢性胃炎に分けられます。

急性胃炎は、胃前庭部と胃体部の粘膜層に、浮腫、出血、びらんなどが急激に発生したものです。

原因は外的要因と内的要因があります。

慢性胃炎では、胃前庭部や胃体部の粘膜機能の喪失を伴う萎縮により、胃の細胞が失われガストリン分泌が減ったり、酸分泌腺が失われ胃酸・ペプシンなどの内因性要素が減少したりします。

慢性胃炎という概念

慢性胃炎という概念には、種々の議論があります。

内視鏡検査で粘膜などに所見があれば内視鏡的胃炎、ピロリ菌が原因であれば組織学的胃炎、内視鏡検査では病変を認めないが胃もたれや胃痛などの心窩部の症状を訴える臨床的胃炎(機能性胃腸炎)と分類されたり、診断や治療が複雑になっています。

欧米では、前述の臨床的胃炎にあたるものをnon-ulcer dyspepsiaとして診断しています。

日本でも「機能性胃腸症(FD)」として、慢性胃炎とは区別して考えようとする動きが出てきています。

機能性胃腸症とは?

機能性胃腸症は、内視鏡検査でも組織学的検査でも何ら所見が認められず、胃の機能異常だと考えられています。

原因は、まだ明確になっていませんが、精神的ストレスや、過労などの身体的ストレスが原因で、胃の緊張状態が様々な機能に影響を与え、早期膨満感(拡張機能が低下した状態)、胃のもたれ(収縮機能が低下した状態)や胃の痛み(知覚過敏)を起こしているのではないかと考えられています。

機能性胃腸炎は自覚症状の改善を目的とし、運動不全型にはモサプリドクエン酸水和物やイトプリド塩酸塩など消化管改善薬、潰瘍症状型には制酸薬やH2RA、特異型には抗不安薬や抗うつ薬なども使用します。

機能性胃腸症に使う薬は?

モサプリドクエン酸塩(ガスモチンほか)、イトプリド塩酸塩(ガナトンほか)などの適応は慢性胃炎に伴う消化器症状。

胃粘膜の炎症がなく、胸焼けや胃もたれなど胃腸症状だけがある場合は適応外となる。

食後愁訴症候群と心窩部痛症候群の違いは?

持続性または反復性の上腹部愁訴を有するものの、症状の原因となる明らかな器質的異常が認められない疾患群は、古くは胃下垂、胃アトニー、慢性胃炎などと呼ばれていた。

診断技術が消化管透視(エックス線造影検査)から消化管内視鏡へと進歩し、さらに1980年代から90年代にかけて消化管の運動やH.pyloriに関する研究が盛んになったことも相まって、ようやくこうした疾患群にも光が当てられるようになった。

その端緒は、1987 年の米国消化器病学会議(AGA)において、潰瘍のない上腹部症状(Non-Ulcer Dyspepsia : NUD)という考え方が提唱されたことにより開かれた。
その後、1992年にローマで開かれた世界消化器病学会では、当時は上部消化管不定愁訴などと呼ばれていたFDやIBS、機能性便秘などのFGIDs に関する病態の検討および治療の開発を、世界共通の対象において行うことを目的に診断基準を定めた。
これがROME診断基準(ROMEⅠ)であり、その後、1998年にROMEⅡ、2006年にROMEⅢと順次改訂されている。

従来の上部消化管不定愁訴という概念から、ROMEⅠでは胃食道逆流症(GERD)が除外され、ROMEⅡではFDの定義のもとに運動不全様症状、潰瘍様症状、非特異症状に分類されている。
さらに、ROMEⅢでは非特異症状が除外されるとともに、食後愁訴症候群(Postprandial Distress Syndrome: PDS)、心窩部痛症候群(Epigastric Pain Syndrome : EPS) に分類された。

FD のうち、PDS は患者が辛いと感じる食後のもたれ感(普通の量の食事でも、食物がいつまでも胃内にとどまっているような不快感)、早期飽満感(普通の量の食事でも、食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになり、それ以上食べられなくなる感じ)が、それぞれ少なくとも週に数回以上みられるタイプを指す。
また、EPSは心窩部痛や心窩部灼熱感(排便や放屁では改善しない、上腹部に限局した間欠的な痛みや灼熱感)に少なくとも週1回以上悩まされるタイプと定義されている。
ただし、実際にはPDSとEPSの両方の症状がみられる例が多いという。

FDと診断されるのは、診断の6ヵ月以上前から辛いと感じる食後のもたれ感、早期飽満感、心窩部痛、心窩部灼熱感の4つの症状のいずれかが発現しており、なおかつ3ヵ月以内に上部消化管内視鏡などが施行され、器質的異常が否定されている患者である。

参考書籍:クレデンシャル2011.12

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