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入れ歯が合わないのは薬のせい?
公開. 投稿者:高血圧.この記事は約3分17秒で読めます.
1,542 ビュー. カテゴリ:「歯医者にかかっていますか?」
Ca拮抗薬の副作用として、動悸、頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉増殖、便秘などがある。
動悸や頭痛などは飲み始めに多いが、しばらくすると慣れてくることも多いので、これらは心配のない副作用であることを説明する。
入れ歯を装着している患者については、歯肉肥厚についても説明しておきたいが、微妙な年齢の高齢者に「入れ歯をしていますか?」と聞くのは気が引ける。「歯科に通っていますか?」といった類の質問のほうが聞きやすい。
歯肉肥厚と入れ歯
Ca拮抗薬の副作用に歯肉肥厚があります。
そのため、入れ歯が合わなくなるということがあります。
Ca拮抗薬服用患者の4~44%で歯肉増殖が発現するという報告がある。
症状の程度はさまざまであるが、病理組織学的には服用患者の100%に歯肉増殖がみられるとの報告もあるため、口腔状態には十分注意する必要がある。
歯肉肥厚のメカニズム
Ca拮抗薬で歯肉増殖するメカニズムとしては、線維芽細胞への影響が考えられている。
線維芽細胞の働きにはコラーゲンの合成と分解作用があり、その分解作用にカルシウムイオンが関与するとされている。
カルシウム拮抗薬によってカルシウムイオンの細胞内流入が阻害されると、コラーゲンやそのほかの細胞外基質の分解が抑制され、歯肉の増殖に至るとされている。
歯磨きで予防
アダラートCRなどのCa拮抗薬による歯肉肥厚の副作用は、大体服用数ヵ月後から現れます。
Ca拮抗薬による歯肉腫脹は、予防が可能な副作用です。
発現機序は明らかにされていませんが、歯肉繊維芽細胞へのCa2+流入抑制によるコラーゲンの分解阻害・基質の増加、歯肉細動脈の拡張が細動脈より大きいことによる組織のうっ血などが考えられています。
歯周炎などの炎症を基盤に発症する可能性が高く、予防には、口腔内衛生管理、プラークコントロールが有効とされます。
歯肉肥厚発現時には、歯科医による厳重なプラークコントールや歯石除去、場合によっては歯肉切除が必要となりますが、薬剤の投与を継続したままでも、改善したケースが報告されています。
アダラートなどのニフェジピン製剤はCa拮抗薬の中でも特に歯肉肥厚の発現率が高いと言われています。
歯肉増殖例では、薬剤投与前から歯周疾患が存在するという指摘がある。
また、無歯顎や歯のない部位には歯肉増殖が見られない。
このことから、薬剤性の歯肉増殖の予防や治療に、プラーク(歯垢)の除去が有効と考えられ、実際、ブラッシング指導やスケーリング(歯石の除去)などのプラークコントロールにより、カルシウム拮抗薬の服用を継続しながら歯肉増殖を軽減できたとする報告もある。
歯肉肥厚を起こす薬
副作用として歯肉増殖(歯肉肥厚、歯肉肥大、歯肉腫脹) が多く報告されている薬剤には、抗てんかん薬のフェニトイン、免疫抑制剤のシクロスポリン(サンデイミュン、ネオーラル) 、カルシウム拮抗薬がある。
中でも発現頻度が高く、古くからその存在が知られていたのがフェニトインである。
同薬が配合されているヒダントールの添付文書には、歯肉増殖の出現頻度は不明と書かれているが、これまでの臨床研究では50%前後だったとする報告が多い。また、シクロスポリンでは10~20%程度(添付文書では0.1~5%未満) 、カルシウム拮抗薬は薬剤によって異なるが、ニフェジピンでは6.3%、21%、25%、43.6% (添付文書では0.1%未満)などの報告がある。
これらの薬剤は、分子構造も薬理作用も全く異なるが、結果として出現する歯肉増殖は似通った臨床像を示す。
具体的には、歯間乳頭部を中心に増殖する歯肉が、歯牙を覆うように幅と厚さを増していく。
通常、増殖した歯肉はピンク色で硬く、非炎症性だが、中高年者では炎症が併発し浮腫や発赤を認めることも多い。
歯肉増殖により歯周ポケットが形成されるため、出血しやすくなり、著しい口臭が出現することもある。
歯肉増殖が認められた場合には、休薬が原則となる。
発症メカニズムについては不明であるが、病理学的には、増殖した歯肉の結合組織において、線維芽細胞の増殖とコラーゲン量の増加が確認されている。
また、歯肉由来の線維芽細胞を用いたin vitroの実験では、フェニトイン、ニフェジピン、シクロスポリンを添加すると、線維芽細胞が増殖し、コラーゲン産生か亢進されるとともに、その分解酵素であるコラゲナーゼの活性が低下することが報告されている。
これらのことから、薬剤性の曲肉増殖には結合組織のコラーゲンが関与していると考えられている。
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