2015年10月22日木曜更新.3,289記事.5,377,448文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

疑義照会さえすれば責任は免れるか?

スポンサーリンク


疑義照会と免責

例えば、常用量を超えて薬が処方されてたとして、疑義照会してもそのまま、というケースはあります。

疑義照会しても変わらなかったんだから仕方ない、と思ってそのまま調剤します。

この場合、患者さんに副作用の被害が出ても、薬剤師は責任を免れることができるのでしょうか。

過量投与であることを知りながら、そのまま調剤し、患者がなんらかの健康被害を被った場合、薬剤師は医師と共にその責任を免れることはできないでしょう。

薬剤師は過量投与であることに気づいていたわけですから、悪い結果を予見し、回避することができる立場にあったと見なされ、民法上は「共同不法行為」(民法719条)による損害賠償責任が問われることになるでしょう。

過去には、医師が常用量を上回る薬剤を処方し、薬剤師が疑義照会を行わずに調剤したために健康被害が生じて裁判に持ち込まれたケースがあります。

この場合は、医師と薬剤師の双方の過失を認め、損害賠償金の支払いが命じられています。

さらに、薬剤師を雇用する薬局の開設者にも使用者責任が生じます(民法715条)。

形式的な疑義照会

薬剤師は、処方に薬学的な疑問があれば、医師に疑義照会をしなければなりません。

この疑義照会に対して、医師が適切に対応してくれればよいのですが、医師の中には、まったく取り合わず明確な理由を述べないまま、そのまま調剤するようにとしか回答しない人もいます。

このような場合、形式的には医師に確認をし、承諾を得ているので、薬剤師は疑義照会義務を果たしたと考えることもできます。

しかし、医師から理由の説明などはなく、処方の変更もないので、薬剤師の薬学的疑義は解消していません。

そこで、薬剤師の疑義照会義務は、薬学的な疑義が解消されなくても形式的に疑義照会を行えばよいのか、それとも、薬学的な疑義が解消されてはじめて義務を果たしたといえるのかが問題となります。

薬剤師に疑義照会義務を負わせている法の趣旨は、「医師等の処方の過誤を正し、医薬品使用の適正を確保し、過誤による生命、健康上の被害の発生を未然に防止する」ためにあります。

薬学的に疑義が残り、医薬品の適正使用にならないような場合に、仮に医師が対応しないからといって、そのまま調剤してしまえば、この目的が達成されないことは明らかです。

このような趣旨で設けられた義務である以上、形式的に医師に確認をしたとしても、薬剤師の薬学的疑義が解消され、適正に使用されることが確認できなければ、薬剤師は義務を果たしたとはいえないと解釈されます。

したがって、薬剤師の疑義照会義務は形式的に行っただけでは足りず、薬学的な疑義が解消されなければ義務を果たしたとはいえません。

参考書籍:調剤と情報2012.5

スポンサーリンク

コメントを書く

カテゴリ

プロフィール

IMG_0670
名前:yakuzaic
職業:管理薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
勤務地:さくらんぼ県
好きな言葉:三流の自覚持って社会人失格の自覚持ってプロの仕事しましょう
follow us in feedly

最新の記事

人気の記事

最近のコメント

検索

スポンサーリンク

リンク

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

タグ

治療薬一覧 検査値 調剤関連資料