2019年1月19日更新.3,354記事.5,853,216文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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薬を飲んだら授乳は止めるべきか?

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薬を飲んだら授乳は止めるべきか?

服用によって授乳の中止が必要となる薬物は、実は、それほど多くありません。

米国小児科学会によると、
・免疫抑制剤
・抗癌剤
・放射性医薬品
・アンフェタミンやコカイン、ヘロイン、マリファナなどの覚せい剤
です。

薬の影響を避ける授乳方法

①服薬直前の授乳
母親が吹く薬をしながら授乳を続ける場合、母乳中への薬の移行をできるたけ少なくする工夫として、服薬直前に授乳を行う方法が有効です。
母乳中の薬物量は血中濃度に相関します。

服薬を授乳の直前または直後にすることで、乳児の薬物摂取量を最低限に抑えることができます。
しかし、そんなタイミングよく授乳を行うことは難しいので、現実的ではないと考えたほうがよいかも知れない。

②冷凍保存した母乳
一時的に服薬する場合は、薬物治療を始める前に搾乳しておき、凍結保存しておく方法もいいでしょう。
母乳は冷凍すれば3~4ヶ月保存が可能です。

授乳を中断している期間は、搾乳することも大切です。
止まった母乳はなかなか戻らないのです。

母乳中に移行しにくい薬の特徴は?

・分子量が大きい
・タンパク結合率が高い
・脂溶性が高い
・弱酸性
・半減期が短い
・生体利用率が低い
・M/P比が低い

分子量が200以下のアルコールやモルヒネなどは母乳中に移行しやすく、分子量が大きいヘパリン、インスリン、インターフェロンといった薬は母乳中にはほとんど移行しません。

また、血漿蛋白と結合した薬は母乳中に移行しにくいため、蛋白結合率が高い薬は母乳中に移行しにくいことも分かっています。
例えばイブプロフェンやジクロフェナク、ロキソプロフェンは、解熱鎮痛剤の中でも蛋白結合度が高いため、母乳へ移行しにくいことが分かっています。
中でもイブプロフェンは、小児にも適応があり、比較的安全といえます。

細胞膜は脂質で構成されているため、脂溶性の高い薬は細胞膜を通過しやすく母乳中にも移行しやすくなります。
乳腺細胞の細胞膜は、非イオン型の薬だけを通します。
血液中でイオン化されにくい弱塩基性薬剤は、母乳中に移行しやすくなります。

また、血液のpHは7.4で、母乳は6.6~7.0であるため、弱酸性薬剤は血液中で多くイオン化され、母乳中にはあまり移行しません。

半減期の長い薬は、母体血液中の薬の濃度の高い時間が持続するため、母乳への移行も増加します。
徐放性製剤のように効き目の長い薬も注意が必要です。

また、生体利用率が低い薬は血中濃度が高くなりにくく、母乳中への移行も少ないと考えられます。

母体血中濃度に対する薬の母乳中濃度の比率(薬の母乳中濃度/母体血中濃度)をM/P比といいます。
M/P比が低いほど(1以下)母乳中への移行は少ないと考えられます。

相対的乳児薬物摂取量

母親が服薬中に、母乳を介して乳児がどれくらい曝露するのか、その程度を示すものとして薬局として使いやすい指標が、「相対的乳児薬物摂取量(RID:Relative Infant Dose)」である。
RIDは母親の体重当たりの薬物投与量に対する乳児の体重当たりの摂取量の割合を示す。
RID値(%)の計算式は、(乳児薬物摂取量[mg/kg/日]÷母親薬物摂取量[mg/kg/日])×100。
一般に、RIDが10%以下であれば、授乳しても問題ないとされる。

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