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ARBで咳は出ない?
公開. 投稿者:高血圧.この記事は約5分43秒で読めます.
3,573 ビュー. カテゴリ:ACE阻害薬と咳
高血圧の患者でACE阻害薬を内服している場合、その副作用として乾性咳嗽を発生することがあります。
その発生頻度は10~30%ともいわれており、中年女性に多い傾向があります。
そのメカニズムとして、ACE阻害薬がブラジキニン、サブスタンスPの濃度を上昇させ、咳受容体を刺激することが考えられています。
ACE阻害薬による咳嗽を疑った場合は薬剤の中止により1週間程度で咳は消失することが多いです。
ACE阻害薬の作用が強力な半面、副作用(有害事象)もいろいろありますが、代表的なのが空咳です。ブラジキニンはACEによって分解されますが、ACE阻害薬によって分解を抑制され、その結果蓄積が起こり、気道にある受容体を刺激して空咳を起こすと考えられています。
空咳が出るのは、服用後1~2か月後が多いですが、1~2年後に出てくることもあります。
風邪と勘違いしている人もいるので、空咳が長引くときは主治医に相談したほうがよいでしょう。
ARBと咳
ACEは、基質特異性はあまり高くなく、アンジオテンシンⅠ以外にもキニン、エンケファリン、サブスタンスPなど、さまざまなペプチドが基質となりますが、中でも特に、キニンに対する作用は、ACE阻害薬のも1つの作用としてよく知られています。
生体内でカリクレインから生成されるブラジキニン、カリジンなどのキニンは血管平滑筋弛緩作用、腎臓の遠位尿細管でのナトリウム再吸収抑制作用などを持ち、降圧効果、利尿効果などを現します。
また、最近ではブラジキニンは血管平滑筋にあるブラジキニン2受容体に結合して、一酸化窒素(NO)やプロスタグランジンI2などの産生を促進し、血管拡張作用、抗動脈硬化作用などを発現することも明らかにされています。
ACEは、キニンを分解して不活性化するキニナーゼと同一の酵素であるため、ACE阻害薬は、キニンの分解を抑制して、その作用を増強することが期待できます。
ただし、増加したキニンが気管支のC繊維受容体を刺激することによる咳の副作用の発現というデメリットも併せ持っています。
ARBは、キニナーゼに対する作用を持たないため、キニンによる効果が得られない一方で、咳の副作用が少ないことが特徴とされていますが、AT2R刺激作用により内因性ブラジキニンの産生が促進されることも指摘されており、キニン系に対する作用から、ACE阻害薬と同様の効果、副作用が発現する可能性も推測されます。
ARB
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬はアンジオテンシンⅡ受容体にアンジオテンシン変換酵素(ACE)により作られたアンジオテンシンⅡが結合するのを妨げます。
それにより、血管収縮作用、血管壁肥厚作用、動脈硬化作用、心筋には心筋収縮力増強作用、心筋肥大作用などの作用を発揮できないようにします。
A-Ⅱ受容体に特異的に結合し、A-Ⅱの生理作用(血管収縮、体液貯留、交感神経亢進作用)を抑制。
ACEを介さないキマーゼ系も阻害。
type1受容体を選択的に阻害。
ストレッチなど機械的な受容体刺激も阻害する性質あり。
副作用がなく、ACE阻害薬と同等以上の降圧効果を有し、わが国での使用が急増。
今までにACE阻害薬で示された動脈硬化、糖尿病新規発症、心肥大・心不全、心房細動、腎障害などに対する予防効果も証明されつつある。
ACE阻害薬と異なり、キニンの分解を阻止する作用がなく、咳、発疹、血管神経浮腫などが少ない。
妊婦や重症肝障害患者への投与は禁忌、クレアチニン2mg/dLでは減量など他の副作用・注意はACE阻害薬と同様。
アンジオテンシンⅡ1型受容体の遮断薬である。
いずれのARBも、程度の差はあれ降圧効果が強く長時間作用を示す。
副作用が少ないのも特徴といえる。
降圧作用以外の有利な作用(プレイオトロピック:多面的作用)が期待されている。
たとえば、糖尿病発症の抑制作用などであり、降圧を超えた臓器保護作用・合併症予防作用が強調されているが、ARBの第一義的な効果は降圧作用にあることは疑いない。
なお、アルドステロンエスケープが生じることから、ACE阻害薬との併用の有用性も報告されている。
最も相性の良い併用薬は少量の利尿薬である。
きわめて少量の抗アルドステロン薬(スピロノラクトン12.5mg以下)の併用は、アルドステロンエスケープに対しても有効であり、血清Kに注意しつつ、という前提で選択肢の1つとなる。
またCa拮抗薬との併用で降圧効果が増強される。
妊娠高血圧では禁忌である。
・ACE阻害薬、ARBのすべてに糖尿病性腎症を含む腎障害や心不全に適応があるわけではないが、これらの薬剤はこうした疾患に通常使用される。
・一般に副作用が少なく、長時間作用型であることは服薬指導において重要な説明ポイントとなる。
・脱水-脱塩(高度な食塩制限、利尿薬併用時、夏季)時に過降圧を生じることがあり、ことに高齢者で説明が必要である。
・すでに高K血症のある者、またそれを生じる可能性のある病態では注意を要する。
・スピロノラクトンとの併用には高K血症という観点から注意を要するが、ごく少量のスピロノラクトンではあまり心配する必要がない旨を説明する。
・少量のサイアザイド系、サイアザイド類似薬とは相性も良く、高K血症に予防的に働くことを伝える。
・特に虚血性腎疾患(両側腎動脈狭窄など)で、腎機能の急性増悪をみることがあり、注意を喚起せねばならない。
・NSAIDsの併用はARBの降圧効果を減弱することを伝える。
・妊娠の有無は服薬開始時にチェックされなければならない(妊婦には禁忌)。
・降圧のピークに達するのに1~2週間が必要であることをあらかじめ知らせておく必要がある。
・現在最も高価な薬剤であり、これはコンプライアンスに直接影響する。
ミカルディス
血圧を上げる「アンジオテンシンⅡ」という体内物質をおさえる作用があります。
これにより、体の血管が広がり、また水分や電解質が調整されて、血圧が下がります。
心臓や腎臓の負担を軽くする効果も期待できます。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と呼ばれるタイプの降圧薬です。
ACE阻害薬に多くみられる咳の副作用がほとんどありません。
アバプロ/イルベタン
イルベサルタンは本邦において最も新しく承認された6成分目のARBであり、腎保護作用についてエビデンスがあるこ
とから注目されている薬剤である。
したがって、糖尿病性腎症に効果があると考えられる。
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