2018年10月15日更新.3,348記事.5,690,241文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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コレステロールは高いほうがいい?

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コレステロールは下げないほうがいい?

最近コレステロールは下げないほうがいい、という情報も氾濫しています。

コレステロールを下げると長生きできないと言われています。

どちらが本当なのでしょうか?

コレステロールが高くても問題ない、好きな食事をしていいと言われたら脂質異常症の患者さんにとっては甘いささやきでしょう。

高すぎはよくない、低すぎもよくない、そのためガイドラインは常に見直されています。

コレステロール値に一律の基準値は好ましくない?

 コレステロールは下げるべきかどうかの論争について、医学研究の中立的評価を目指す「臨床研究適正評価教育機構J―CLEAR」(理事長=桑島巌・東京都健康長寿医療センター副院長)は、「一律の基準値は好ましくなく、男女差や心臓病の経験、高血圧などの有無に応じた基準とするべきだ」との見解をまとめ、ホームページで公表した。
 桑島理事長は、「下げるべきだ」との考えは心臓病患者などを対象にした研究が根拠なのに対し、「高めが良い」との主張は一般住民調査に基づくため、論議がかみ合っていないと指摘。
 心臓病などの危険性が高い人を対象にした研究結果を、一律に一般人に当てはめると、不要な治療を促しかねない。特に女性は動脈硬化になりにくい。一方、一般住民調査は虚弱体質でコレステロールが低い人の死亡も含む可能性があり、これを基に高い方が良いと一概に結論づけることも危険だ、としている。
 コレステロール値をめぐっては、日本動脈硬化学会が、LDL(悪玉)コレステロール値140ミリ・グラム/デシ・リットル以上などを脂質異常症の基準値とするのに対し、栄養学者らで作る日本脂質栄養学会が先月、「コレステロールは高めが長生き」との指針を発表している。コレステロール基準 「一律 好ましくない」 医療ニュース yomiDr.-ヨミドクター(読売新聞)

確かにまだまだ若くて合併症も無いような患者さんに、コレステロールを下げるような薬だけが処方されている場合、本当に必要なのかと勘ぐってしまうような場合もあります。

一方で、高血圧や糖尿病を合併している患者さんから「コレステロールは高いほうがいいんでしょ」とコレステロールの薬の服薬拒否をされてしまうと、呆れてしまいます。

難しいですね。

日本脂質栄養学会は間違っている?

 日本医師会(日医)と日本医学会、日本動脈硬化学会は20日、東京都内で開かれた日医の定例記者会見で、「コレステロールは高めが長生き」とする日本脂質栄養学会作成の「長寿のためのコレステロールガイドライン(指針)」について、「科学的根拠に乏しい」と批判した。
 日本動脈硬化学会は、LDL(悪玉)コレステロール値が140ミリ・グラム/デシ・リットル以上などを高脂血症(脂質異常症)とする指針を定めている。同学会は14日、日本脂質栄養学会の指針に反論する声明文を公表。会見で、原中勝征・日本医師会会長と高久史麿・日本医学会会長もこれを支持する姿勢を示した。
 高久医学会会長は、「LDLコレステロールが心筋梗塞(こうそく)などと直接関係があることは世界的に認められており、日本脂質栄養学会の指針は間違っている」と話した。「コレステロール高めが長寿」に日医など猛反発 科学 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

学会と聞くと権威に弱い私は信用してしまいますが、多くの日本人がそうかと思います。

学会によってこのように意見がわかれることもあるんですね。

日本動脈硬化学会
会員数 2300名

日本脂質栄養学会
会員数 550名

医学か栄養学か、というところで大きく観点がわかれているようで。

結局、医学のほうが強いでしょうね。

コレステロールは体に悪い?

コレステロールは細胞を構成する物質の一つです。
ステロイドなどのように、体内で重要な物質がコレステロールから生合成されています。
コレステロールは体に必要な物質です。

体に必要な物質であるため、コレステロールが高いというだけで、そのほかの検査値や症状などに問題がない場合は、必ずしも下げなくてよい。
特に最近は、総コレステロールをHDLコレステロールとLDLコレステロールの二つに分けて考える必要があるとされている。
特に気をつけるべきなのは、LDLコレステロールの高値である。

また、薬物療法の必要性については、高血圧、高血糖などのほかの危険因子があるかどうかを勘案して、決めることになっている。
コレステロールが血管に蓄積すると動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳卒中を引き起こします。
コレステロールが高過ぎる人は下げたほうがいい。

善玉コレステロールは下げないほうがいい?

昔は高脂血症という病名でしたが、現在は脂質異常症という病名です。

その理由は善玉コレステロール。善玉コレステロールは高くていいんです。

善玉コレステロールが高くても総コレステロールが高くなるので、総コレステロールは診断基準からはずされました。

コレステロールを下げると長生きできないという主張の根拠は総コレステロールが低い人の死亡率が高かったというものなので、その中身(悪玉か善玉か)を見なければはっきりしません。

コレステロールが低い状態とはどういう状態なのか?

癌患者はコレステロール値は低い、栄養状態の悪い人はコレステロール値が低い。

そういう患者が統計に含まれていないか?疑う必要もあります。

コレステロールが高いほうが長生き?

 コレステロール値は高い方が長生きで良いとする指針を、医師や栄養学者らで作る日本脂質栄養学会がまとめた。
 3日から愛知県で開かれる同学会で発表する。高コレステロールは心臓病や脳卒中の危険要因であり下げるべきだとする現在の医療は「不適切」としており、論議を呼びそうだ。
 現在の基準は、LDL(悪玉コレステロール)が140(ミリ・グラム/デシ・リットル)以上かHDL(善玉コレステロール)が40(同)未満、もしくは中性脂肪が150(同)以上だと高脂血症と診断される。
 日本動脈硬化学会が作成した。メタボ健診の基準もこれを基にしている。
 日本脂質栄養学会が今回まとめた「長寿のためのコレステロールガイドライン」は、「現在の基準値は基になる具体的なデータが示されていない」と主張。
 コレステロールが高いほど死亡率が低かったとの大規模研究や、コレステロールを下げる薬を服用しても心臓病の予防効果は見られないとする海外の近年の研究から、指針をまとめた。高コレステロール=長寿、脂質栄養学会が指針 科学 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

これまた一般の人が混乱してしまうような情報が出されてました。

薬剤師としても混乱してしまいます。

年齢とかリスク因子とかによっても違うのでしょう。

患者さんから聞かれたら、困ってしまいそうです。

高脂血症の人は脳卒中の死亡率が低い?

 コレステロール値が高く「高脂血症」と診断された人は、高脂血症ではない人に比べ、脳卒中で入院した際の死亡率が約半分と低かったとの分析結果を大櫛陽一・東海大医学部教授(医療統計学)らがまとめ、28日発表した。日本脳卒中学会の機関誌に論文が掲載された。
 社団法人「日本脳卒中協会」のデータを利用。98年から07年までに脳卒中で入院した患者約4万8000人について、高脂血症の有無と入院中の死亡率を分析した。
 脳卒中の一種の脳梗塞(こうそく)では、高脂血症のない約9900人の約5・5%が死亡した一方、入院時に高脂血症と診断されていた約2300人の死亡率は約2・4%だった。
 脳内出血では高脂血症のない約2800人の死亡率13・4%に対し、高脂血症の約440人は6・3%。クモ膜下出血では高脂血症のない約1300人の死亡率は約17・3%で、高脂血症の約110人は6・3%と約3分の1だった。
 日本動脈硬化学会の高脂血症の診断基準は「LDLコレステロールが血液1デシリットル中140ミリグラム以上」など。大櫛教授は「コレステロールは血管の材料になるので、高い方が血管の状態がよかったのだろう」と話している。脳卒中:高脂血症の人、死亡率半分 東海大、4万8000人分析 – 毎日jp(毎日新聞)

これはどういったことでしょう。

コレステロールが高いほうが良いってこと?

高脂血症と診断されていた患者、というのはコレステロールを下げる薬を飲んでいたのではないでしょうか。

だとしたら、高脂血症と診断されていた=コレステロール値が高い、というわけでもなさそう。

高脂血症の薬に脳卒中の死亡率を下げる働きがあるのかも知れません。

コレステロールが高いほうが血管が丈夫、ということでもないでしょう。

女性はコレステロールが高くてもいい?

女性は男性に比べてコレステロール値が低く、動脈硬化の進み具合も遅いといわれています。

このため、コレステロールの高い人に対して薬の効果を調べた研究は主に男性を対象に行われ、女性に限ったものはほとんどありません。

しかし、女性は50歳を過ぎると、コレステロールを低下させる作用を持つ女性ホルモンの分泌が減り、コレステロール値が急激に上昇し、動脈硬化も進みます。

高齢者は肉を食べたほうが良い?

 適度に肉類を摂取している高齢者は、あまり摂取していない高齢者と比べて骨折のリスクが低いことが、東北大大学院医学系研究科の岩崎鋼・准教授(漢方内科)の研究グループの調査で分かった。高齢者の骨折は寝たきりにつながるケースも少なくないため、岩崎准教授は「バランスの取れた食習慣の重要性があらためて示された」としている。
 東北大が2002年から公衆衛生学の調査を行っている仙台市宮城野区鶴ケ谷地区の70歳以上の高齢者877人を対象に調べた。02年に食生活に関する聞き取りを行い、06年までの転倒骨折の発生状況を追跡調査した。
 相関関係を解析した結果、肉類を食べる機会が週1回以下にとどまるなど、あまり摂取しないグループは、日常的に食べているグループと比べ、骨折発生率が2.8倍となった。野菜に偏った食生活を送るグループの骨折発生率も高く、そうでないグループの2.7倍となった。
 個別の食品でみると、菓子類の食べ過ぎは発生率を高めることも分かった。
 岩崎准教授らは、食事を通して健康な体を作る漢方の「食養生」の考え方を基に、高齢者にとって効果的な食習慣を研究。「日本の高齢者は、肉類の摂取量が少ない傾向がみられる。野菜に偏ることなく、タンパク質を含む肉類を適度に取る必要がある」と指摘する。
 研究結果などを踏まえ、「目安として肉類は1日80グラム程度を食べることが望ましい」と話している。河北新報 東北のニュース/高齢者の適度な肉類摂取は骨折予防 不足は発生率2.8倍

たんぱく質も大切ですね。

中高年の女性でコレステロールを気にして肉を食べないという人も多いです。

ほどほどに肉も食べましょう。

閉経後高コレステロール?

女性は閉経後にコレステロールが高くなることが多い。

脂質異常症の頻度は、50歳以前では男性のほうが高いのですが、50歳以後では逆に女性のほうが高くなり、50%以上の女性が脂質異常症と診断されます。
閉経後にコレステロール値が上昇する理由は、エストロゲンにコレステロールを下げる働きがあるためです。
エスロトゲンがLDL-Cを分解するという。

閉経後のエストロゲン濃度の低下が脂質異常症の頻度を増加させます。
また、卵巣を摘出した女性でも悪玉コレステロールや中性脂肪が上昇します。

食生活の変化

日本人と欧米人の平均コレステロール値の年次推移をみると、欧米人は年々低下しいているのに対し、日本人は上昇し続け、1990年に日本人女性の平均コレステロール値が欧米人女性を上回っています。

閉経後女性の脂質異常症の増加は、エストロゲンの低下に加え、食生活を含めたライフスタイルの急激な変化も重要な要因と考えられます。

脂質の異常

脂質異常症の診断基準(空腹時採血)は、

高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール ≧140mg/dL
低HDLコレステロール血症:低HDLコレステロール <40mg/dL
高トリグリセライド血症:トリグリセライド ≧150mg/dL

となっています。

正常と異常の線引きは誰が決めたのやら。

狩猟民族や新生児のLDLコレステロール値は50~70mg/dL程度。

そのため、ほとんどの成人はLDLコレステロール過剰な状態といえます。

脂質異常症では無いから、動脈硬化にならないと思ったら大間違い。

日本人はコレステロールを下げなくていい?

従来、日本人は欧米人に比べ冠動脈疾患の発症率が低いことなどから、脂質低下療法の意義を疑問視する意見が支配的であった。
しかし、日本人を対象に行われた大規模臨床試験の結果、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の有用性が立証されたのを契機に積極的に治療しようという機運が高まり、最近では治療薬の選択肢も広がっている。

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コメント

  1. マスコミはもう少し慎重になって欲しいなぁ。
    こないだのうつ病の血液検査の話とか。
    一般人は「うつ病」と「うつ状態」の区別すらわからないのに。

    Ellie:2011/9/18

  2. 統計的に、低コレステロール害悪説は、食事療法下の患者という要因を統制(コントロール)していない可能性には、目から鱗が落ちた。

    なるほど:2011/8/4

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職業:管理薬剤師
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