2019年1月20日更新.3,354記事.5,857,725文字.

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うつ病の原因はモノアミン?

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レセルピンとモノアミン仮説

うつ病の原因として「モノアミン仮説」があります。
これはさまざまな知見、特に薬理学的な知見から提唱されてきたものです。

かつて高血圧の治療に用いられていた降圧薬のレセルピンは、脳内のカテコラミン(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドパミン)やセロトニンを枯渇させることにより作用を示します。

レセルピンを使用した患者で、うつ病の症状の悪化が認められたり、それまでうつ病のエピソードを示さなかった患者でうつ病の発症などが報告されました。

脳内でのモノアミン(カテコラミンとセトロニンを含めて、こう呼びます)の低下、あるいは、これらの神経伝達効率の低下がうつ病の原因である、という「モノアミン仮説」が提唱され、それを裏付ける報告が数多く出されてきました。

現在では、モノアミン仮説は概ね正しいものと考えられていますが、薬物の作用などに関してはいまだに矛盾点なとも多く、この仮説だけでうつ病を説明することはできません。

モノアミン欠乏仮説

うつ病の発症メカニズムは諸説さまざまであるが、そのなかでも「モノアミン欠乏仮説」が有力である。

「モノアミン欠乏説」とは、三環系抗うつ薬がノルアドレナリンやセロトニンの神経終末への再取り込み阻害作用を共通して示すこと、モノアミン枯渇作用を有するレセルピンがうつ病を惹起すること、うつ病の死後脳においてモノアミン濃度が低下していることなどから提唱された。

近年はセロトニンの機能不全説も注目されている。

モノアミン仮説の矛盾

うつ病の病態についてはいまだに不明な部分が多く残されていますが、定説とされるモノアミン仮説では、シナプス間のモノアミン、特にセロトニン、ノルアドレナリンの不足が関与するとされています。

抗うつ薬の作用機序はこの仮説に基づいて説明され、パロキセチンの作用も、セロトニンの再取り込み阻害によるシナプス間隙のセロトニン量の増加によるものと考えられています。

しかし、薬剤によるセロトニンの取り込み阻害は、トランスポーターに結合後短時間のうちに発現するにもかかわらず、実際の抗うつ効果が現れるまでには2~4週間程度の期間が必要となっています。

このようなセロトニン再取り込み阻害作用と抗うつ効果との間に大きなタイムラグがあることから、モノアミン仮説だけで抗うつ薬の作用を説明することは難しいと考えられ、新たな機序についての検討も併せて進められています。

細胞間隙のセロトニン濃度の上昇とともに、反復投与による5-HT2C受容体のダウンレギュレーションの誘発が考えられます。

モノアミン受容体仮説

うつ病の病態メカニズムは、①モノアミンを枯渇させる降圧薬のレセルピンがうつ病を誘発すること、②三環系抗うつ薬やMAO阻害薬に抗うつ効果があることなどから、1960年代に「うつ病は脳内のモノアミンの欠乏によって生じ、抗うつ薬はシナプス間隙のモノアミンを増やすことによて改善する」という「古典的モノアミン仮説」が提唱されました。

ところが抗うつ薬の投与によりモノアミンは数時間で回復するのにもかかわらず、効果発現には数週間を要しタイムラグがあります。
投与初期においても副作用に比べて薬効が遅くコンプライアンス悪化の一因ともなります。

またコカインやアンフェタミンも再取り込みを阻害するのに抗うつ作用は示さないなどの矛盾点を抱えています。
その後、受容体のダウンレギュレーションによるものではないかという「モノアミン受容体仮説」が台頭。

これもSSRIの長期投与がダウンレギュレーションを招かないことから、現在では否定的です。
これらは理解しやすく、一定の説得力があるので、今日でもパンフレットに薬理作用のシェーマとして載っています。

抗うつ薬の作用機序

抗うつ薬は主にモノアミンのトランスポーターの再取り込み阻害によって効果が発現するとされている。
最初に登場したイミプラミン(トフラニール)はその構造から三環系抗うつ薬(TCA)と呼ばれ、類似の薬物が多数合成された。

しかしその抗コリン作用、抗α1作用、また過量服薬での危険性により患者のQOLに影響を及ぼすために四環系抗うつ薬を経て選択的セトロニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が、最近ではノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)が誕生した。

セロトニンは不安や緊張、衝動性に関係することから、SSRIやセロトニンに主に作用するTCA(例えばクロミプラミン)は強迫症状や過食、依存、不安・焦燥などにも働く。

ノルアドレナリンは意欲や慢性疼痛にも関与することから、SNRIは糖尿病性神経障害、三叉神経痛、線維筋痛症などの慢性疼痛にも応用される。

うつ病にドパミンアゴニストが効く?

うつ病の発症には脳内のセロトニンやノルアドレナリンが関与していることが知られていますが、最近、ドパミンも重要な働きをしていることが、明らかになってきました。

うつ病の患者さんでは、興味や喜び、意欲、集中力の低下がみられることが多いですが、これらの情動障害には中脳辺縁皮質系のドパミン神経系が関与しています。
そこで、中脳辺縁皮質系のドパミン神経系を賦活するドパミン受容体作動薬を、他の抗うつ薬に追加併用すると、実際に一部の難治性うつ病に効果があることが報告されています。

参考書籍:日経DI2012.2

うつ病の原因はBDNF?

従来、抗うつ薬の効果発現機序としては、モノアミンが増えて臨床症状が良くなるという「モノアミン仮説」が定説だった。
しかし、抗うつ薬を使うと1時間ほどでシナプス間隙のモノアミン量が増えるのに対し、臨床効果の発現は4週間程度経たないとみられない。
なぜタイムラグが起こるのかをモノアミン仮説では説明できなかった。
そのため、最近の報告ではBDNF仮説が主流となっている。

BDNFは脳由来神経栄養因子の意味で、神経細胞のシナプスを増やしたり、神経新生を促進する働きがある。
慢性的なストレス環境下では、ストレス反応と関係が深い海馬でのBDNF量が減る。
というのも、慢性的なストレスがあると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が長期間亢進する。
コルチゾールが、海馬でのBDNF発現を減少させるからだ。
結果的に、海馬の神経が傷害されてしまう。

抗うつ薬で神経細胞が活性化すると、BDNFが増えると報告されている。
BDNFの増加した状態が4週間ほど続くと、傷害された海馬などの神経が修復され、臨床症状も改善するとの考え方が「BDNF仮説」だ。

参考書籍:日経DI2013.2

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