更新日:2015年10月22日.全記事数:3,128件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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アパシーとうつ病の違いは?


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アパシーとうつ病

抗うつ薬、特にSSRIによる長期治療中に生じ得る、抗うつ薬誘発性のアパシーに注意する必要がある。

この場合は抗うつ薬の減量や中止が推奨されているが、感情の鈍麻や感受性の消失といったアパシーの症状はうつ病の症状との鑑別が困難であるため、抗うつ薬の効果が不十分と判断されがちである。

そのため、種々の増強療法や併用療法が施されて、多剤大量投与へと陥ることでさらに病像が複雑化し、難治化するケースが多いと指摘されている。

《56》 薬剤で誘発される認知症(その3) – ひょっとして認知症? – アピタル(医療・健康)

事例:75歳男性、アルツハイマー型認知症
 1年前からアリセプトを処方され、2カ月前から、散歩せず、新聞・テレビにも関心を示さなくなりました。そこで、かかりつけ医が『うつ状態』と考え、トリプタノール20mg/日を投与し、かえって悪化したようにみえたため、さらに60mg/日まで増量しました。すると、1日中ボーっとしていて食事も介助が必要になりました。身体的にも、便秘の悪化、尿閉、□渇などが出現しました。そこで、当院を受診されました。諸検査では、特に異常は認められませんでした。
 トリプタノールを漸減・中止したところ、身体症状は改善し、ボーっとすることはなくなり、身の回りのことはできるようになりました。次に、アリセプトを注意深く漸増して8mg/日にしたところ、新聞・テレビも観て、散歩に行くようになりました。

【解説】
 トリプタノールは昔ながらの三環系の抗うつ薬で、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンを減らす抗コリン作用が強いことで精神科領域では有名です。アセチルコリンは認知機能や意識レベルの維持に重要な役割を果たしているので、トリプタノールが脳内のアセチルコリンを減らすことにより、認知機能障害やせん妄を引き起こします。

 この患者さんは、意欲低下が認められたため『うつ状態』とみなされ、抗うつ薬であるトリプタノールが投与されました。しかし、この状態は『うつ』ではなく『アパシー』だったのです。うつとアパシーの違いは、うつ状態の患者さんは症状が自己違和的なために苦悩されますが、アパシーがある患者さんは症状に苦しむというよりも無関心です。認知症高齢者のアパシーに対する抗うつ薬の効果は限定的です。三環系抗うつ薬のトリプタノールはアパシーに無効であるばかりでなく、その抗コリン作用のために、かえって患者さんを苦しめることになります。

アパシーに抗うつ薬を使ってさらに悪化したケース。

アパシー

何事にも興味や関心が持てず、何をする気力も出ない状態。

無気力症候群とも呼ばれる。

アンヘドニア

喜びや生きがいが感じられず、何をしても楽しめない状態。

無快楽症とも呼ばれる。

ドパミン神経の機能低下が関与するとされ、うつ病の回復過程において、しばしば最後に残る症状となる。

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