更新日:2015年10月22日.全記事数:3,131件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

アクテムラとレミケードの違いは?


スポンサードリンク

生物学的製剤

関節リウマチは、自己の免疫が自らの細胞を外敵とみなして攻撃することで関節に炎症が起こり、関節の骨や軟骨が破壊され、日常生活に支障をきたす疾患です。
関節リウマチを起こしている関節の軟骨の表面にある滑膜からは、TNFα(TumorNecrosisFactorα:腫瘍壊死因子)、インターロイキン-1(Interleukin-1:IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)などのサイトカインが過剰に分泌されています。

サイトカインとは、細胞から放出され、種々の細胞間相互作用を媒介するタンパク質性因子の総称です。
炎症反応においては炎症に関与するさまざまな細胞を活性化し、炎症を悪化させる働きをもっています。
健康な人の体内にもTNFαが少しはありますが、炎症反応はみられません。
これは、TNFαが体内で浮遊している可溶性TNF受容体と結合して細胞表面のTNF受容体と結合できないようにしているからです。

TNFα阻害薬

関節リウマチの疾患にかかわるTNFαを標的として、直接的に働きかけるのがTNFα阻害薬です。
このTNFα阻害薬は浮遊しているTNFαと結合したり、TNFαが細胞表面の受容体と結合するのを阻止して、関節の炎症や関節破壊の進行を抑制します。
TNFαやIL-6は、体内に存在しているタンパク質なので、これらに対する抗体は体内に存在しません。
このように生物が産生したタンパク質を利用し、遺伝子工学技術を駆使して開発された薬のことを「生物学的製剤」と呼び、その製剤の一つに、生体のもつ免疫システムの主役である抗体を主成分とするのが抗体医薬品です。

抗体医薬品は、標的タンパク質への特異性が高いため、低分子化合物よりも作用が強く、副作用が少ないことが期待されています。
しかし、敗血症、真菌感染症を含む日和見感染症等の感染症、結核などの発症、増悪に十分な注意が必要です。

インフリキシマブは、TNFαと結合する部位のみがマウスのタンパク質になっており、アレルギー反応や連用による抗キメラ抗体の産生を制御するためには、メトトレキサー卜(MTX)の併用が必須です。
エタネルセプトはすべてヒトタンパク質でできており、また、アダリムマブとゴリムマブは完全ヒト抗体であり、単独あるいはMTXの併用のいずれの投与も可能です。
ゴリムマプはヒトTNFaに対する遺伝子組換えヒトIgGlモノクローナル抗体で、4週に1回の投与で有効ですので患者の通院の負荷を軽減できることが特徴です。
TNFα阻害薬の利点は、関節破壊抑制効果です。
さらにTNFα阻害薬とMTXを併用することにより、寛解導入や生命予後の改善が見込まれます。

関節リウマチの薬物治療

関節リウマチの薬物治療は痛みや炎症を抑える対症療法から、疾患の解明が進み、免疫系を抑制する治療法へと変遷し、関節リウマチは寛解を目指す時代になってきました。

①対症療法:炎症を抑え、関節の痛みや腫れをやわらげるために非ステロイド性抗炎症薬(COX-2選択的阻害薬)を用います。
②副腎皮質ステロイド薬:症状を劇的に軽減しますが、長期使用による副作用の出現が課題です。
③疾患修飾性抗リウマチ薬:免疫異常に働き、関節リウマチの進行を抑えますが、効果発現までに数か月を要します。まず、金製剤やD-ペニシラミンが用いられ、その後、メトトレキサート(MTX)が免疫抑制薬の代表となり、次いでレフルノミドやタクロリムスなどが登場しました。
④抗サイトカイン療法:炎症性サイトカインが関節リウマチに関与することが解明され、TNFα、IL-6受容体を標的とした生物学的製剤が用いられるようになりました。

IL-6阻害薬

トシリズマブは、大阪大学のグループによるIL-6シグナル伝達系に関する詳細な研究結果から、関節リウマチの標的としてIL-6受容体が注目され、大阪大学と中外製薬との産学共同研究により開発された日本発の抗体医薬の第1号です。
IL-6は白血球や腎臓細胞から産生されるタンパク質で、TNFαと同様に炎症性サイトカインであり、関節リウマチ患者の関節表面に異常に増加しており、全身型若年性特発性関節炎、キャッスルマン病の病態にも深く関与しております。

IL-6は免疫細胞のリンパ球やマクロファージから分泌され、細胞の分化誘導・増殖、免疫反応の調節など多様な生理作用を有しています。
IL-6がIL-6受容体に結合することにより細胞内にシグナルを伝達し、作用を発揮します。
トシリズマブは、IL-6受容体にIL-6が結合するのを阻害するIgG1サブクラスのヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体です。
遺伝子組換え技術により、IL-6受容体の相補性決定領域の部分のみをマウス型ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体とし、その他の部分をヒトIgG1としてチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて作製されます。
そのため、トシリズマブは標的細胞表面のIL-6受容体に結合するばかりでなく、細胞外で浮遊している可溶性受容体にも結合することにより、「gp-130」と呼ばれる第二の受容体を介してIL-6のシグナルを阻害します。

トシリズマブとTNFα阻害薬とは標的分子が異なりますので、TNFα阻害薬では効果が十分でないあるいは副作用で使用困難であった患者には福音です。

参考書籍:薬効力 ―72の分子標的と薬の作用―

生物学的製剤は高すぎ?

関節リウマチ、自己負担重く 医療ニュース yomiDr.-ヨミドクター(読売新聞)

 関節リウマチ患者らで作る「社団法人日本リウマチ友の会」は、患者の実態調査を5年ごとにまとめているが、このほど、「2010年リウマチ白書」を発行した。
 新薬の登場で、病状が改善したと感じる患者が増える一方、医療費の負担に苦しむ実態も明らかになった。
 リウマチは骨や軟骨が破壊され、関節が痛む病気で、患者数は約70万人とされる。友の会は2009年6月、会員に対してアンケート調査を行い、約8900人から回答があった。
 調査時点の1年前と比較した現在の症状を尋ねたところ、「寛解した(関節の腫れや炎症が治まった)」と「良くなった」を合わせた改善が31%いた。5年前の調査に比べて10ポイントも増えた。一方、人工関節を入れるなどの手術を受けた患者の割合は42%で、5年前より12ポイントも減った。
 東京医科歯科大膠原病(こうげんびょう)・リウマチ内科教授の宮坂信之さんは「有効性が高い生物学的製剤が普及したことで、手術を受けるまで病状が悪化する人が減り、症状の改善を実感できる患者さんが増えた可能性がある」と分析する。
 1か月の医療費の自己負担については、「3万円以上」が16%もおり、5年前より9ポイント増えた。その原因としては、保険がきくが、月数万円かかる生物学的製剤の使用患者が増えたことなどがあるとみられる。
 また、現在、つらいと思うことを聞いたところ(複数回答可)、「治らない」(60%)、「何かにつけ人手を頼むとき」(32%)、「激しい痛み」(24%)などが挙がった。
 日本リウマチ友の会会長の長谷川三枝子さんは「生物学的製剤の登場で、リウマチ完治の希望が出てきたが、薬が高すぎて使えない患者もいると聞く。だれもが、有効な治療を受けられる体制を整えてほしい」と話している。

日本で使用されている生物学的製剤は、レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラの4種類。

レミケード点滴静注用100の薬価は1瓶100285円。

エンブレル皮下注用25mgの薬価は1瓶15501円。

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLの薬価は1筒71097円。

アクテムラ点滴静注用400mg20mLの薬価は1瓶117459円。

体重などで使う用量も違うので具体的な負担金はわかりませんが、自己負担は数万円になりますね。

関節リウマチで仕事もできず収入が無いとなると、かなり重い負担です。

スポンサードリンク

コメントを書く

カテゴリ

プロフィール

IMG_0670
名前:yakuzaic
職業:管理薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
勤務地:さくらんぼ県
好きな言葉:「三流の自覚持って社会人失格の自覚持ってプロの仕事しましょう」
follow us in feedly

人気の記事

最新の記事

ランダム記事

資料

検索

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

スポンサードリンク