更新日:2015年10月22日.全記事数:3,117件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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発達障害は薬で治るか?


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発達障害に薬物療法は必要か

最新の脳科学研究でも発達障害の原因は明らかにされていません。

しかし原因が明らかでないといっても、今後の研究で発達障害が根治できるような治療法がみつかるかというと、そうした展望に関しても「難しい」といわれています。

現時点で、発達障害の原因として考えられている有力な仮説は、脳神経のネットワークの構築の段階で何らかの問題が生じ、ネットワーク形成不全が発生した結果、障害へと発展するのではないかというものです。

しかしそうなると、現在臨床で用いられている向精神薬は、ネットワーク形成不全を改善させるようなはたらきをもっていないため、発達障害の治療には効果を発揮できないことになってしまいます。

では、発達障害をもつ人に薬物療法は無効なのでしょうか。

その人がとる反応や行動によって、その人自身が社会生活のなかで不利益を被ると考えられる場合、発達障害をもつ人に薬物療法が必要だと判断されます。

現代は理解も行動もスピードが要求される世の中です。

発達障害をもつ人にとって、現代社会のなかでの生活には多くの苦痛と苦難が伴うことでしょう。

整った環境のなかでゆっくりとやればできることでも、周りの環境がそれを許さないという事態は多くあります。

そのような状況下で発達障害をもつ人が混乱するのは当然です。

社会生活のなかでの混乱は、当事者に損益をもたらしますので、そうした混乱を治めるために、対症療法として薬物療法を用いるのです。

ただし、発達障害の人が混乱を来す原因を探ってみると、周りの人の発達障害の人に対する理解が不足していたり、配慮の欠けた対応が存在することがあります。

薬物療法を行う前に、そうした問題を取り除くことが第一であることを覚えておいてほしいと思います。

発達障害と不安

不安に対して一時的に用いる頓服薬としては、マイナートランキライザー(抗不安薬)を最小量から処方します。

常時服薬が必要と判断した場合は、成人に限り、抗うつ薬であるSSRIを試用します。

この場合の最大使用量は、うつの治療に用いる用量の4分の1から2分の1程度にとどめます。

発達障害と情緒不安定

情緒不安定に対しては、少量の抗てんかん薬を用います。

バルプロ酸ナトリウムを第一選択にするケースが多く、第二選択としてカルバマゼピンを処方します。

発達障害をもつ人は幼少時から医療機関を受診し検査されていることが多いのですが、それまでは何もみつからなかった場合でも、情緒の問題で受診した際の検査で初めててんかんであることがわかることも少なくありません。

バルプロ酸ナトリウムやカルバマゼピンが奏功している患者さんのなかには、もしかするとてんかんのケースが含まれているかもしれません。

発達障害と興奮

必要時のみの頓服、あるいは常用で用いる場合のどちらにしても、興奮に対しては抗精神病薬であるハロペリドールやリスペリドンなどを非常に少量で処方します(ただし、非定型抗精神病薬のリスペリドンは適応外処方になります)。

発達障害と病的体験

病的体験を常に有するという場合には、抗精神病薬を少量、ほぼ連日、といった形で処方します。

妄想があっても新しいものが出現せず、その妄想が常同的思考・行動に連動しているような場合は、それらを強迫観念としてとらえ、強迫性障害の治療に準じてSSRIを処方します。

この際に用いるSSRIの用量は、強迫性障害の治療に用いる用量と同じ程度とします。

発達障害と睡眠障害

睡眠障害の改善には、まずは日中の運動療法を試みます。

それでも改善されない場合にのみ、睡眠薬を処方します。

状況により短時間型や長時間型を使い分けますが、身体依存が形成されないよう、長時間型の睡眠導入薬を処方するよう心がけます。

例外として、興奮が中心の不眠には定型抗精神病薬であるレボメプロマジンを5mg程度追加することもあります。

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