2015年10月22日更新.記事数:3,207件.4,879,175文字.

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ホルモン補充療法は不要か?

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HRTのリスクとベネフィット

女性ホルモン療法(HRT)は中高年女性の健康維持・改善に有効とされ、今世紀の初めまで世界規模でおおいに用いられていた。

しかし、2002年に報告された大規模臨床研究Woman`s Health Initiative エストロゲン・プロゲスチン併用試験(WHI)が、HRTの有効性を否定したことを契機として、大変化が生じた。

それまでは、HRTは更年期障害を改善するだけでなく、心血管疾患、骨粗鬆症、老人性の認知症などを予防するというのが定説となっていたのだが、HRTによるリスクはベネフィットを上回ると結論づけたのである。

この結果、増加の一途をたどっていたエストロゲン使用量が世界的に激減し、現在に至っている。

もともと日本は先進国中でHRTが最も普及していない国であったが、WHI報告の影響でHRT使用はさらに後退した。

HRTは不要な療法か

エストロゲンは生殖機能だけでなく、多くの生体組織や臓器機能の維持や調節に重要な作用を持ち、その欠乏は閉経後女性に特有な疾患の原因となる。

具体的には、閉経周辺期は更年期症状、閉経後は皮膚萎縮、萎縮性膣炎・膀胱炎、骨粗鬆症など、HRTがこれらの予防・治療に有効であることはいうまでもない。

エストロゲン欠乏の具体例として、閉経期には更年期症状、閉経後は皮膚萎縮、泌尿生殖器の萎縮、骨粗鬆症、動脈硬化、さらに年月を経ての認知症などが知られている。

したがって、短絡的なHRTバッシングやHRT嫌悪は中高年女性の健康を考えると決して望ましいことではない。

WHIは中高年女性の健康維持を目的とした臨床試験であり、エストロゲン欠乏に対するHRTの有効性を検討した試験ではない。

そのため、WHIの結果に対してはいくつかの反論や疑問が提出され、日本産婦人科学会と日本更年期医学会(現:日本女性医学学会)は「ホルモン補充療法ガイドライン」を2009年に発表し、HRTは適正に使用すればきわめて有用であるとの見解を示している。

日本ではホルモン補充療法が普及しない?

HRTの普及率は北欧で対象人口の40~50%、英、独、米国で30%といわれており、わが国での普及率は2~3%と低いです。

しかし、更年期障害においては、原因治療の1つであり、更年期からのヘルスケアにおいてもHRTは重要な役割を果たします。

2002年7月米国国立衛生研究所(NIH)からHRTについての大規模研究の結果が報告(WHI報告)されてから、HRTの臨床は世界的に後退しました。

しかし、ここ最近再評価されてきており、2002年頃の水準に戻りつつあります。

再評価は主としてヨーロッパを中心として行われています。

現在では、WHI報告は特定な条件下における研究結果であり、参考にはなるが、すべてのHRTにその結果を適応させるのは無理があるとの考え方が多いです。

ホルモン補充療法で医療費は安くなる?

HRTは更年期障害の治療に際して、主たる原因がエストロゲンの減少にある場合、著効を示します。

この場合、患者のQOL向上に貢献することは当然ですが、医療費の軽減にも非常な効果を示します。

更年期障害は不定愁訴が多く、患者も医師も更年期障害とは気づかず、症状ごとに各科で治療しているケースが多いと思われます。

各科で薬をもらっていれば、その分医療費がかさむので、ホルモン補充療法だけですめば、医療費は軽減されます。

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