更新日:2016年10月25日.全記事数:3,169件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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患者が薬局内で吐いたら?


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嘔吐物・糞便の正しい処理方法

冬季の感染性胃腸炎の原因として最も多いのがノロウイルスである。
家族への感染を防ぐためには、嘔吐物や糞便を正しく処理することが大切です。

まず、処理をする人は、使い捨て手袋、マスク、ガウンやエプロンを着用しましょう。
処理時に着用したものは、できれば廃棄してください。
不要になった古着などを着用して処理に当たってもよいでしょう。
このほか古新聞やペーパータオル、布、密封して廃棄するためのごみ袋、消毒液を用意します。

嘔吐物などから、ウイルスを含む小さな粒子が空気中に浮遊します。
気温が低く、換気が難しい季節ですが、部屋の窓を開ける、換気扇を回すなどして換気をしましょう。
市販の空気清浄機では、ノロウイルスを捕捉・殺菌することはできません。

ノロウイルスと次亜塩素酸ナトリウム

ノロウイルスの消毒には、次亜塩素酸ナトリウム溶液または加熱(85℃で1分間以上)が有効です。
外用殺菌消毒剤のベンザルコニウム塩化物液(オスバン他)は無効であり、エタノールや逆性石鹸も効果が低い場合が多いため、注意が必要である。
嘔吐物が付着した床などの消毒には、次亜塩素酸ナトリウム0.1%溶液を使用します。

衣類やシーツなどは、汚物を静かに拭き取った後、バケツなどで次亜塩素酸ナトリウム0.02%溶液に浸して消毒しましょう。
消毒前に洗濯機に入れてしまうと、洗濯機が汚染される恐れがあります。

煮沸消毒も有効です。
ノロウイルスは、85℃で1分間以上の加熱で消毒できる。
熱湯をかける方法は、85℃を1分間以上維持することは困難であり、周囲にウイルスを拡散させる恐れがあるため不適切である。

カーペットなどの消毒にはスチームアイロンによる加熱が有効だが、1ヶ所当たり2分程度加熱する必要があるため、広い範囲の消毒には不向きといえる。
家庭用布団乾燥機では、50℃以上で加熱できず、また布団の裏面を表面と同じ温度にすることが困難であり、十分な消毒効果が得られなかった。

患者が使ったトイレは、換気しながら消毒しましょう。
便座の裏、ペーパーホルダー、ドアノブなども忘れずに消毒してください。

糞便や嘔吐物が付着した床や便器、ドアノブなど感染者が直接触れた場所は、次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1000ppm)溶液を使用して消毒し、10分程度たったら水拭きする。
これら次亜塩素酸ナトリウム溶液は、遮光して保管すれば、半年間は濃度が低下しない。

嘔吐物は広範囲に飛散することを念頭に置いて、適切に換気をしながら、速やかに確実に処理するよう、指導したい。

消毒液の作り方

家庭用塩素系漂白剤(ハイターなど)を10mL(ペットボトルのキャップ2杯分)を、
→500mLペットボトルに入れて、水で500mLにする。(約0.1%溶液)
 →床や便器、便座の裏などに使用
→2Lペットボトルに入れて、水で2Lにする。(約0.02%溶液)
 →衣類やシーツなどに使用

※家庭用塩素系漂白剤には、約5~6%の次亜塩素酸ナトリウムが含まれています。

患者が薬局で吐いたら

具合が悪くなった患者さんが薬局で嘔吐してしまった場合、嘔吐の原因が必ずしもウイルスや菌による感染症とは限りませんが、その可能性を考えて処理する必要があります。

特に、ノロウイルスに感染していた場合、嘔吐物は大量のノロウイルスを含んでおり、感染源となるため、すばやく適切に処理する必要があります。
処理の際に発生する飛沫を考慮し、ほかの人たちを3メートル程度遠ざけます。

処理に当たる人は、マスクと手袋、メガネやゴーグル、ガウンなどを着用し、吐瀉物を雑巾などでしっかりとふき取ります。
拭き取った雑巾などは、ビニール袋に入れて密封し、破棄します。

その後、塩素系消毒薬を200ppm(0.02%)程度に希釈して汚れた場所を中心として広めに消毒します。
嘔吐物や下痢便などで汚れた衣類も感染源となります。
マスクと手袋を装着したうえで、バケツやたらいなどを使って水洗いし、200ppm程度に希釈した塩素系消毒薬で消毒します。

「嘔吐物は、その周りの床など半径二メートル程度を消毒する必要がある」
東京都健康安全研究センターの対策チームがまとめた報告では、嘔吐物に見立てた物体を約一メートルの高さから落下させたところ、半径約二メートルの範囲に飛び散った。嘔吐物が床に残って乾燥した場合、歩行するとウイルスが舞い上がり、新たな感染が起こる可能性がある。
ノロウイルスに感染すると急激な嘔吐や下痢、腹痛、発熱に襲われる。治療薬はなく、通常は数日で治るが、感染力が強く、感染を抑える努力が要る。便にも発症後三週間程度はウイルスが排せつされるので、継続的な注意が必要だ。

嘔吐物処理には、使い捨ての手袋とマスク、エプロンを着用する。ホームセンターなどで入手できる。普段使っている布製エプロンでもいいが、使用後に熱湯消毒する。
嘔吐するとウイルスを含んだ飛沫が発生し、場合によっては一時間程度空気中に浮遊する。
換気して室内の空気中のウイルスを排除する。

消毒処理は塩素が基本。
アルコールは効果が低いと考えられている。
市販の次亜塩素酸ナトリウム溶液(商品名ピューラックス、ハイターなど)を0・1%に希釈して使う。
原液濃度は商品で違うが5~6%の場合、約十ミリリットルに水五百~六百ミリリットルを加える。

嘔吐場所がフローリング床などの場合、(1)布やペーパータオルなどで外側から内側に向けて拭き取る。汚れた面を内側に折り込み、同じ面を使わない(2)消毒液を染み込ませたペーパータオルなどで覆い消毒(3)水拭き(4)手洗い。使用したペーパータオルなどはビニール袋に入れて処分する。袋の中に同じ消毒液を加えて消毒する。
 
汚れた衣類は、消毒液につけるなどのほかに熱湯消毒もできる(素材に注意)。
八十五度一分間または五十度以上三十分間の加熱が必要で、薄地の衣類は熱湯を回しかけ、念を入れたい場合は一分間煮沸する。部分的な汚れならアイロンによる消毒も可能だ。一カ所あたり二分程度当てる。

カーペットや布団などに嘔吐した場合も床と処理手順は同じ。
嘔吐物は床面ほどきれいに除去できないが、消毒をしっかり行えばウイルスは死滅させられる。
ただ、消毒液の塩素でカーペットなどは変色する可能性もある。
変色を避けるのなら、専門業者に依頼する必要がある。

ノロウイルスの特徴

ノロウイルスは、主に冬場に急性の胃腸炎の原因となるウイルスの1つで、感染力が非常に強いのが特徴です。
僅か数個でも感染し、腸の中で増殖を繰り返して下痢やおう吐などの症状を引き起こします。

ウイルスがついた手や食べ物などを介して口から感染します。
潜伏期間は1日から2日で、健康な大人の場合は数日で回復しますが、子どもや高齢者などでは脱水症状を起こして重症化したり、吐いた物をのどに詰まらせて窒息し死亡したりするおそれがあります。
ノロウイルスにワクチンや特効薬はなく、発症した場合、吐き気を止めたり胃腸を整えたりする薬などを使うのが一般的です。
下痢止めの薬は回復を遅らせることがあるため、使わないほうが望ましいとされています。

通常、症状が続く時間は短く、その間に脱水症状にならないよう水分の補給を心がけることが大切です。
ただ、症状がなくなっても通常では1週間程度、長いときには1か月程度、便の中からウイルスが検出されることもあるため、引き続き感染への注意が必要になります。
アルコールによる消毒はほとんど効果がなく、患者の便や吐いた物を処理する際には、マスクや手袋をして雑巾などで拭き取ったうえで薄めた塩素系の消毒剤で消毒します。

患者が触れたドアノブや日用品などからウイルスが検出されることもあるため、同じように消毒が必要です。
また、食べ物を通じて感染する場合も多く、特に子どもやお年寄りなどは、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べることが大切です。
加熱の目安は85度以上で1分以上とされています。

参考書籍:日経DI2012.2

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