更新日:2017年1月22日.全記事数:3,169件.

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ジプレキサで太る?


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抗精神病薬と体重増加

抗精神病薬による体重増加はフェノチアジン系薬剤などでも知られていましたが、ジプレキサによる体重増加ははるかに深刻で、3ヶ月程度で4~5kg、1年間で10kg以上という例もまれではありません。

体重増加という副作用には、血糖値上昇から、糖尿病性ケトアシドーシスのような重篤な急性期症状に至ったり、内臓脂肪の蓄積、インスリン抵抗性の増大、糖尿病などから脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まったりするという生命予後への影響と、美容上の問題から患者のアドヒアランスが低下し、服薬が中断されるという2つの問題があります。

体重増加の発現機序については、中枢ヒスタミンH1受容体、セロトニン5HT2C受容体遮断作用などによる影響が指摘されているものの、特別な対策があるわけではありません。食事や運動など生活習慣に対する注意が中心となります。
しかし、患者は統合失調症で、陰性症状ともなると運動量は少なく、食事に対して本人が積極的に注意できるような状況ではありません。

ジプレキサとH2ブロッカーの併用で体重増加予防?

非定型抗精神病薬は、従来の定型抗精神病薬に比べて、錐体外路系副作用の発現率が低いという特徴を有しているが、一方では体重増加、耐糖能異常、脂質代謝異常などの副作用の発現率が高いといわれている中でも、オランザピンとクエチアビンは糖尿病の既往歴がある患者に対して「投与禁忌」となっており、糖尿病の既往歴がない患者に対しても添付文書の「警告」欄で、血糖値の変化に十分注意して投与するよう注意が喚起されている。

体重増加は他の副作用に比べて緊急性が低いため、あまり注目されていなかったが、最近、特に若年層の患者にとって外見上好ましくない副作用であり、コンブライアンスを低下させる要因となることから問題視されてきている。

統合失調症の患者は一般に、症状の悪化に伴い食欲が減少し、治療により症状が良くなると、食欲が回復し体重が増加することが多い。
これに加え、オランザピンなどの非定型抗精神病薬は、視床下部の満腹・摂食中枢に直接作用して食欲を亢進するといわれている。
その詳細な機序は不明だが、セロトニン5-HT2c受容体の欠損マウスで肥満を発症したとの報告があることから、セロトニン5-HT2c受容体遮断作用を有する非定型抗精神病薬が、同受容体に作用して食欲亢進を誘発すると考えられている。

また、オランザピンの投与による体重増加と、食欲抑制ホルモンのレプチンの血中濃度が関連するとの報告や、レプチンの作用がヒスタミンH1受容体欠損マウスで減弱したとの報告もある。
これらの研究結果から、ヒスタミンH1受容体に強い親和性のあるオランザピンが、視床下部で同受容体に作用してレプチンの働きを妨げ、食欲を亢進させるとみられている。

このような体重増加に対して、H2受容体拮抗薬が有用であるとすそ報告が相次いでいる(保険適応外)。
例えば、オランザピンを投与している患者に、ラニチジンを300mg/日を朝夕食後に投与した結果、有意に体重増加を抑制したという報告がある。
その抑制効果は肥満群に対して投与した場合に有効とされている。
他のH2受容体拮抗薬でも報告があるが、ニザチジンは投与初期には抑制効果が見られるものの8週間後では有意差がなくなったとの報告もされた。

体重増加抑制の作用機序はよく分かっていないが、H2受容体拮抗薬が視床下部でのヒスタミン系神経経路に作用することで、食欲が抑制されるとの説がある。
プロトンポンプ阻害薬には体重増加の抑制効果が認められないことから、少なくとも胃酸分泌抑制作用によるものでないことは確かなようである。

参考書籍:日経DIクイズベストセレクションBASIC篇

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