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シックデイのときメトグルコは中止?

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シックデイと薬物療法

シックデイでは高血糖となりやすい状態にあるため、食事摂取が可能であれば薬物療法を中止しないのが一般的です。
しかし、ビグアナイド剤は一般に、脱水や下痢・嘔吐などがある場合は乳酸アシドーシスの危険性があるため投与が中止されます。

経口薬服用中の2型糖尿病患者の場合、特に注意が必要なのが、SU薬、SGLT2阻害薬、ビグアナイド(BG)薬の3剤です。
SU薬は低血糖の発症リスクが高いためですが、残りの2剤は、主に脱水によるリスクを回避する必要があるためです。

SGLT2阻害薬は、利尿薬併用中の患者のほか、75歳以上の高齢者、あるいは65~75歳でサルコペニアや認知機能低下などを認める患者に対しては、注意して慎重に投与することとされている。

BG薬であるメトホルミン塩酸塩も(メトグルコ)も、脱水を契機に乳酸アシドーシスの副作用が表れる恐れがある。
そのため、同薬は、脱水、脱水状態が懸念される下痢、嘔吐などの胃腸障害のある患者には禁忌となっており、シックデイにはSGLT2阻害薬と同様、服薬を中止する。
中には、SGLT2阻害薬とメトホルミンを併用している患者もいることから、脱水予防に特に留意しなければならない。

シックデイとインスリン

【1型糖尿病患者】
1型糖尿病患者の場合、基礎インスリンは食事が摂れないときでも原則減量せずに継続する。
追加インスリンの量は、食事がいつもの半分程度である場合、5割から開始する。
食事がより少量であるときは、普段の3~5割のインスリンを使用する。
食事量がよくわからないときは食直後超速効型インスリン注射を行うこともある。
最低でも1日4回(各食前、就寝前)の血糖を測定する。
可能であれば食後2時間の血糖値も確認し、追加インスリン量を増減する。

【2型糖尿病患者】
内因性インスリン分泌が枯渇している患者に対しては1型糖尿病患者に準じた対応をする。
インスリン分泌がある程度保たれている2型糖尿病患者のインスリン治療としては、BOT(Basal Supported Oral Therapy:持効型インスリン製剤1回注射と経口薬の併用療法)が多いと思われる。
この場合の基礎インスリン量は、食事が摂取できる場合は減量して継続してもよいが、食事が全く摂れないときは低血糖を回避するために中止する場合もある。

シックデイ時の(超)速効型インスリン量増減の目安

食事量インスリン投与量
100~80%全量
80~50%2/3量
50%以下1/2量~中止
10%以下中止

血糖(BS)値に合わせたインスリン調整

血糖値インスリン調整量
BS<704単位減量
70≦BS<1202単位減量
120≦BS<200増減なし
200≦BS<2502(1)単位増量
250≦BS<3004(2)単位増量
300≦BS<3506(3)単位増量
350≦BS<4008(4)単位増量
400≦BS10(5)単位増量

シックデイと内服薬

いずれの薬剤もシックデイ時のインスリン抵抗性の増大により、血糖が急激に上昇する可能性がある。
その場合は早期のインスリンへの切り替えが望ましい。
①インスリン分泌促進薬(SU薬、グリニド系薬):食事量が1/2程度であれば半量に、食事量が1/3以下の時は服用を中止する。
②αグルコシダーゼ阻害薬:消化器系に影響を及ぼすため中止する。
③ビグアナイド薬:脱水時に重篤なアシドーシスを来す可能性がある。シックデイ時は中止する。
④DPP-4阻害薬:食事が全く摂れない場合や下痢・嘔吐が続く場合は中止する。通常通り食事が摂れている場合は継続可能である。
⑤チアゾリジン薬:食事が摂れない場合は中止。食事が摂れるようであれば継続可能である。
⑥SGLT2阻害薬:脱水を来しやすく、ケトン体の上昇も危惧される。インスリン分泌促進薬との併用により低血糖を生じやすいこともあり、中止する。

薬効分類食事量2/3以上食事量2/3~1/3食事量1/3以下
SU薬通常量半量中止
速効性インスリン分泌促進薬通常量半量中止
αーGI薬中止中止中止
BG薬中止中止中止
チアゾリジン薬通常量中止中止
DPP-4阻害薬通常量中止中止
SGLT2阻害薬中止中止中止

シックデイとGLP-1受容体作動薬

消化器症状があるときや食事量が1/2以下であるときは中止する。
血糖を測定し、高値であればインスリン療法への切り替えも考慮する。

シックデイと乳酸アシドーシス

かぜ、気管支炎、肺炎などの急性炎症疾患、あるいは下痢、嘔吐、急性腸炎などの病気にかかった際には、摂食量が低下したり、栄養素の吸収が阻害されたりすることがあり、インスリン製剤やSU薬の減量または中止などが必要になる場合があることは広く認知されています。

メトグルコの場合、直接的にインスリン分泌を促す血糖降下薬と比較すると、摂食が不十分であっても低血糖の発現頻度は低いと考えられるため、シックデイの際の服薬指導がゆきとどかないことがあるかもしれません。

しかし、高齢者や軽度の腎機能障害合併患者には、「シックデイの時は、メトグルコを飲まないでください」と指導したほうがよい場合があります。

特に注意したいのは、脱水を伴う状態です。

発熱があっても、熱自体が乳酸アシドーシスの誘因ではないので、それに見合う分だけ十分に摂水量が確保されていれば、それほど問題はないと思います。

しかし、高齢者の下痢や夏場の摂水不足については十分注意すべきだと思います。

脱水とメトグルコ

脱水時には乳酸アシドーシスが起きやすくなる。
夏場の熱中症には要注意ですね。

メトグルコの併用注意の項目に、「利尿作用を有する薬剤」とある。

脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意すること。

利尿薬やスーグラなどのSGLT2阻害薬との併用は要注意。

参考書籍:日経DI2012.3

シックデイ

糖尿病患者が、感染症や消化器疾患、外傷、ストレスなどにより体調を崩したり、食欲不振のため食事ができないときをシックデイという。
このような状態では、血糖コントロールが乱れやすい。
高血糖と脱水が持続すると、1型糖尿病では糖尿病ケトアシドーシス、2型糖尿病では高浸透圧高血糖症候群を引き起こす。
こうした危険を避けるため、あらかじめシックデイ対応の原則に基づき、患者や家族への指導を徹底しておく。

シックデイとは糖尿病患者が発熱や下痢、嘔吐など、糖尿病以外の体調不良により、普段通りの生活ができなくなることで血糖コントロールが難しくなった状態をいう。
具体的には、感染症や消化器疾患、外傷やストレスなどを併発することで起きる。
単に食欲低下により食事が摂れなくなるばかりではなく、侵襲により神経系、免疫系、内分泌系が相互に作用してストレス性高血糖が誘導される。
その3大要因はインスリン分泌低下、インスリン抵抗性の増大、糖新生とグリコーゲン分解の亢進である。
侵襲下では全身性のストレス反応が起き、高侵襲性のホルモンであるアドレナリン、ノルアドレナリン、グルカゴン、糖質コルチコイド、成長ホルモンが分泌され、これらはすべて血糖を上昇させる方へ働く。
また、侵襲下では膵臓β細胞からのインスリン分泌は低下する。

それだけではなく、IL-1,IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインがインスリン受容体の感受性を低下させることで、肝臓や骨格筋での糖取り込みが低下し、インスリン抵抗性は増加する。
このような機序により、食欲不振のため食事摂取量が低下しても、血糖は上昇していることが多い。
また、インスリンやSU薬を使用している患者の場合、食欲不振により低血糖がもたらされることもあり得る。


シックデイルール

シックデイ時、糖質摂取の低下により体脂肪の分解が亢進され、ケトン体が増加する。また、高血糖による浸透圧利尿や発熱、嘔吐、下痢などによる体液喪失は高度の脱水を引き起こすとともに、電解質の喪失も伴いやすい。
高血糖高浸透圧症候群や糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシスの出現にも十分な配慮が必要である。

【シックデイ対応の原則】
シックデイの際には主治医に連絡し指示を受けるように、日ごろから指導する。

■適量の食物摂取
食欲の無い時は、口当たりがよく消化のよい食べ物(おかゆ、アイスクリームなど)を選び、絶食しないように指導する。
特に炭水化物と水の摂取を優先する。重湯やおかゆ、うどんなど。
食欲のあるときは、血糖値が上がりやすくなっているので腹八分目にするよう指導する。

■血糖コントロール
インスリン治療中の患者には、食事が摂れていなくても、インスリン注射を続けることを原則とする。自己判断で中止しない。可能であればSMBG(血糖自己測定)にてインスリンの自己調整を行う。
血糖値を3~4時間ごとに自己測定し、血糖値の動きに注意を払うよう指導する。
血糖値200mg/dLを超え、さらに上昇する傾向がみられたときは、その都度速効型または超速効型インスリンを2~4単位追加するよう指示する。

■脱水の予防
水分を十分に摂取するよう指示する。電解質補給のため経口補水液などが望ましい。
来院時には、点滴注射にて生理食塩水1~1.5L/日を補給する。

■医療機関の受診
発熱・消化器症状が強い時は、必ず医療機関を受診するように指導する。
速やかに医療機関を受診することが望ましい場合としては、
①発熱や消化器症状が強いとき
②24時間にわたって食事や水分が摂れないとき
③尿ケトン陽性、血糖値が350㎎/dL以上のとき
④意識混濁がみられるとき
⑤インスリンの注射量や経口血糖降下薬の服用量が自分で判断できないとき
などがある。

■尿中ケトン体の測定
来院時には必ず尿中ケトン体の測定を行う。

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モーラステープで光線過敏症を避けるために必要な期間は?

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薬剤師

モーラステープ(一般名:ケトプロフェン)を貼った場所に直射日光を当てると、光線過敏症を起こすことがある。この光線過敏症を避けるためには、テープを剥がした後どのくらいの期間、注意が必要か。
A. 1日
B. 3日
C. 1週間
D. 2週間
E. 4週間

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出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
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