更新日:2016年6月5日.全記事数:3,169件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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薬で太る?


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太る薬

やせる薬を求める人は多いだろう。
しかし、わざわざ太る薬を求める人はいない。

薬の副作用で「太る」というのは、特に女性にとっては無視できない副作用である。
それゆえに、伝え方を間違うとノンコンプライアンスに陥りやすく、初回投薬時にはあまり触れたくない副作用の一つでもある。

アクトスで太る?

糖尿病の薬であるアクトスを飲むと太ります。
糖尿病の薬を飲んで太ってしまうというのは、何か矛盾しているような気もしますが、アクトスを飲んで太る、というのは薬が効いている証拠です。

アクトスはインスリンの効きが悪くなっている「インスリン抵抗性」という状態を改善する薬です。
インスリンの働きが悪いために、血中の糖(グルコース)を細胞に取り込めないため、血糖値が高くなっているのです。

アクトスを飲めば、血中の糖を細胞に取り込むことができるようになり、細胞に取り込んだ糖は脂肪として蓄積されます。そのために太るのです。

ピオグリタゾン塩酸塩は脂肪細胞核内PPAR-γに作用することが知られています。
脂肪細胞を増加させるため、食事に注意が払われないと肥満になる傾向があることから、食事療法の重要性を理解してもらうことが大切です。

デパケンで太る?

バルプロ酸の長期服用の場合に、体重増加がみられることがある。

バルプロ酸による体重増加の発症機序は、不明であるが、脂肪酸β酸化の阻害による脂肪代謝の抑制、エネルギー産性減少が影響している可能性も考えられる。

また、体重増加がみられた例では、高インスリン血症が合併しているとする報告も多く、インスリン抵抗性から肥満、耐糖能異常に至る危険性も指摘されている。

適応の拡大に伴い、オランザピンなどの非定型抗精神病薬と併用されるケースも増加することが予想されるが、これらの薬剤では食欲亢進、体重増加、高血糖の発現が深刻な問題となっている。

併用時には、体重増加や高血糖の発現に対してより厳重な注意をはらうことが必要と考える。

抗精神病薬を飲むと太る?

肥満は統合失調症の患者さんを悩ます大きな副作用の一つです。
太るから薬を飲みたくない、薬を自己調整する、実際に飲まないという若い患者さんが多くいます。

抗精神病薬の種類によって体重増加を起こす頻度が違います。
これは薬物によって各種受容体に対する親和性が異なることが原因です。

体重増加はヒスタミンH1受容体への親和性が関連しています。
抗精神病作用を発揮するには、ドパミンD2受容体だけを適度に遮断することが望ましいのですが、残念ながら同時に他の受容体も塞いでしまうことによって副作用が起こってしまいます。

定型薬では、コントミンやレボトミンなどのいわゆる低力価薬が体重増加を起こしやすいです。
非定型薬では、オラザピン(ジプレキサ)やクロザピンなど、名前に「ピン」のつく薬効群はヒスタミンH1受容体への親和性が強く、体重増加を起こしやすいです。

太るメカニズム

ドパミン受容体とセロトニン受容体が刺激されると食欲が抑制される。
従来型やSDAは、ドパミン受容体とセロトニン受容体を遮断することで食欲を亢進させ、体重を増加させると考えられている。
また、オランザピンやクエチアピンによる体重増加には、食欲抑制作用と関連があると考えられている。ヒスタミンH1受容体、5-HT2c受容体の遮断作用が関与していると考えられている。
ブロナンセリンはヒスタミンH1受容体拮抗作用に起因する体重増加や耐糖能異常などの副作用は弱いと考えられている。

パキシルで太る?

中枢の5-HT2c受容体への刺激は食欲抑制作用を示すことが動物実験で認められており、SSRIによる食欲不振には、中枢の受容体に対する作用が関与している可能性も予想されます。
5-HT2c受容体は、継続投与によりダウンレギュレーションが起こるため、長期服用時には食欲が亢進する可能性もあります。
また、5-HT2c受容体の遮断は食欲の亢進だけでなく、肥満傾向となることも指摘されており、体内の代謝系に影響を及ぼす可能性も推測されています。
パロキセチンの服用が継続されると、体重増加がみられることが問題となりますが、これには5-HT2c受容体のダウンレギュレーションが関与していることも考えられ、食欲の亢進や体重増加に対しても初期の段階から確認を続け、食事や運動に注意を払うように勧めることが必要となります。

メルカゾールで太る?

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の患者さんは、基礎代謝が増えて、エネルギーも使うので、多く食べても太らない。

そのため、大食いの習慣のある女性が、メルカゾールなどの抗甲状腺薬を服用し、バセドウ病の治療を開始した後も、食習慣を見直さなければ、体重が増えていくことは目に見えています。

甲状腺機能亢進による体重減少

甲状腺ホルモンが増加すると新陳代謝も亢進してしまいます。

新陳代謝が亢進すると、基礎代謝が亢進し(カロリー消費)摂取したエネルギーが過剰に消費されます。

そのため、空腹感が生じ、食欲は亢進します。

甲状腺機能亢進では、食事量が増えているにもかかわらず体重が減少してしまうのです。

過剰な甲状腺ホルモンを正常にすれば、体重も増加してきます。

甲状腺機能低下による体重増加

甲状腺の機能が低下すると体に必要な甲状腺ホルモンが十分に生産されなくなります。

甲状腺ホルモンは体の新陳代謝に大きく影響しており、甲状腺ホルモンが低下すると新陳代謝も低下してしまいます。

新陳代謝が低下すると、基礎代謝が低下し(カロリー消費)摂取したエネルギーが以前のようには消費されません。

また、余分な水分を貯留しやすくなり、むくみも大きな原因となります。

これらのために以前と同じ食事量であるにもかかわらず体重が増加してしまうのです。

不足している甲状腺ホルモンを正常にすれば、体重も減少してきます。

インスリンで太る?

インスリンが必要以上に存在すると脂肪の合成が促進され、太る。
インスリン注射でも必要以上に投与されている患者さんの場合、往々にして太ってくることがあります。

SU薬の場合はインスリンの分泌を促進させるので、必要以上に出る可能性があります。
必要以上に出て血糖値が下がると、多くの方はお腹がすいて、そこで食べてしまうのです。

そうすると血糖値が上がり、その状態で病院に行くと、またSU薬を増やしましょうという悪循環になる可能性もあるわけです。
インスリンの場合も同様で、インスリンが必要以上に投与されると、やはり血糖値が下がり、お腹がすいて低血糖気味になる。
そこでつい食べ過ぎてしまう。
そうすると血糖値が上がってくる。

それを繰り返すと血糖は徐々に上がってしまい、やはり病院に行くと、これはインスリンがちょっと足りないのでしょうということになり、またインスリンの投与量を増やされてしまうわけです。
悪循環。

インスリンと中性脂肪

インスリンは、肝臓での中性脂肪の合成も促進する。
インスリンがたくさん分泌されると、合成される中性脂肪の量も増えます。
そのためリポたんぱくリパーゼの働きが追いつかず、血液中の中性脂肪の値が上がりやすくなるのです。

糖尿病でやせる?太る?

糖尿病の人というと太った人を想像しますが、必ずしも太っているわけではありません。

高血糖が持続すると体重は減少します。

インスリンが分泌されないと血液中のブドウ糖をエネルギーに変えられないため、脂肪を分解してエネルギーに変えようとするためです。

糖尿病の種類には1型と2型があり、1型はインスリン依存性(IDDM)で、2型はインスリン非依存性(NIDDM)とも言われます。

1型は昔、若年型と呼ばれたように6~13歳の間で発症することが多いようです。

2型糖尿病の原因に肥満があるので、糖尿病の人が太っているイメージがあるのでしょう。

糖尿病だから太ったのではなく、太ったから糖尿病になったのです。

糖尿病になればやせます。

最近では子どもでも肥満で、2型糖尿病になるケースがあるようです。

日本人は糖尿病になりやすい?

日本人は2型糖尿病が多いらしいです。
農耕民族はゆっくり食事ができた、狩猟民族は急いで食事をする必要があった、という文化から欧米人と日本人ではインスリン分泌能力に違いがあるようです。

参考書籍:調剤と情報2011.11

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職業:管理薬剤師
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