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眼圧が正常でも緑内障?
公開. 投稿者:緑内障/白内障.この記事は約4分10秒で読めます.
1,406 ビュー. カテゴリ:正常眼圧緑内障とは?
緑内障というと眼圧が高くなるので、眼圧を調べればわかると思っていましたが、正常眼圧緑内障という眼圧が正常値でも緑内障というケースがあるので、眼圧を調べてもわからない場合があります。
緑内障=眼圧が高くなる病気、ではない。
これは、血圧が正常でも脳梗塞や心筋梗塞になるのと同じことです。
眼圧が高いと視神経が障害されるために、物が見えにくくなります。
眼圧が正常範囲でも緑内障になるのは、視神経の強さが人それぞれだからです。
もともと弱い人は緑内障になりやすいです。
緑内障とは、なんらかの原因で視神経が傷ついて網膜からの情報が脳に伝わりにくくなり、物が見える範囲(視野)が少しずつ狭くなる病気です。
自覚症状の視野欠損もある程度進行しないとわからないので、緑内障の早期発見には眼底検査が必要です。
眼底検査では、眼球の奥にある視神経が束になった部分(視神経乳頭部)を観察します。
視神経乳頭部には、もともと生理的なへこみがありますが、視神経がダメージを受けて緑内障になると、神経線維の一部が死んで脱落し、へこみが大きくなって、白くへこんで見えます。視神経乳頭部から出血する場合もあります。
緑内障は自覚症状に乏しく、検診やドックなどで緑内障を疑われて、眼科を受診する症例が多い。
以前は緑内障を疑われる理由の大半が、眼圧の高さであったが、日本の緑内障の大半が正常眼圧緑内障(NTG)であることが明らかになり、「視神経乳頭(乳頭)変化」により、緑内障を疑われることが急増している。
眼圧の正常値
眼圧の正常値は10~21mmHgで、この眼圧が上昇することで視神経が障害される病気が緑内障と理解されてきました。
しかし、眼圧は正常の範囲にありながら、同様の視神経障害がおこるタイプの緑内障が存在することがわかりました。
これが正常眼圧緑内障です。
日本では緑内障の方の約6割が、正常眼圧緑内障です。
正常眼圧緑内障でも眼圧を下げた方が良いのか?
正常眼圧緑内障でも、眼圧をさらに下げることで病気の進行を遅らせることができる可能性があります。
眼圧の目標値は、病状により違いますが、正常眼圧緑内障の場合は治療前の値から30%下げることを目標にします。
正常眼圧緑内障とは、眼圧が正常範囲内(21mmHg以下)であるにもかかわらず、視神経に緑内障様の変化があり、視野障害を認める疾患である。
日本眼科学会の調査では、眼圧上昇を伴う緑内障よりも正常眼圧緑内障の方が多いことが報告されている。
こうしたことから、緑内障の発症や進展は眼圧だけでは説明できないという認識が高まり、他の因子、特に視神経乳頭周辺部の血流障害が、視神経を傷害する因子の1つとして注目されている。
正常眼圧緑内障は症状に乏しいが、視野障害が徐々に進行していく場合が多いため、早期発見と早期治療が必要と考えられている。
治療としては、眼圧を低めに維持しつつ視神経乳頭周辺部の血流改善を目的とした薬物療法を行うのが一般的である。
正常眼圧緑内障の治療薬
眼圧降下作用がある β遮断薬としてベタキソロール塩酸塩(ベトプテイック)は、β1選択性が高くβ2遮断作用が少ない。
β2受容体が遮断されると眼血管が収縮するため、特に正常眼圧緑内障ではβ選択性の高い点眼薬を使用する医師が多い。
ラタノプロスト(キサラタン)は、 プロスタグランジンF2α誘導体であり、1日1回点眼型の点眼薬である。
眼圧降下作用のほか、視神経乳頭周辺部の血流を改善する効果を持つことが報告されている。
同薬の使用者で最も出現頻度の高い副作用が、結膜充血である。
一過性の副作用であるため、結膜充血が起きた場合でも使用を継続するケースが多いが、医師によっては、患者がこの副作用を気にしてコンブライアンスが低下してしまう可能性を考慮し、就渡前点眼を指示する場合がある。
なお、就寝前の点眼については薬物が長く滞留し、作用や副作用が強く表れる可能性があるとの理由で、従来あまり行われない傾向にあった。
しかし最近では、点眼された薬物の大半は10分間程度で結膜上から消失することから、刺激性が強い点眼薬など一部を除けば、就寝前の点眼でも問題ないと考えられるようになっている。
ニルバジピン(ニバジール)は、本態性高血圧症と脳梗塞後遺症に適応を持つカルシウム拮抗薬 であるが、正常眼圧緑内障患者に対して処方される場合がある。
これは同薬が、視神経乳頭部および網脈絡膜の血流を増加させ、視神経障害の進行を抑制したという研究結果が報告されているためである。
ただし、同薬には緑内障への保険上の適応はない。
高眼圧症
緑内障は眼圧が上がって、視神経が傷つく病気です。
高眼圧症は、眼圧は高いけれども、視神経に傷はなく、視野も欠損していない状態です。
定期的な観察だけで治療の必要がない場合もありますが、高眼圧症の方の中には、ある時から、視野の障害や視力の低下が生じ、緑内障になってしまう場合があります。
このために、眼圧が高い場合は、その状態が、緑内障かそれとも単に眼圧が高いだけの高眼圧症であるかを判断するために、継続的な眼圧の検査や、視野検査などを行う必要があります。
眼圧の日内変動
眼圧とは、眼内の圧力すなわち目の固さのことで、眼球の形を一定に保つために重要です。
眼球内を流れている房水の産生と流出のバランスがとれていることで、眼圧はほぼ一定に保たれています。
一般に正常者の眼圧は10~21mmHgの範囲にあり、臨床的に10mmHgより低い場合は低眼圧、また21mmHgを超える場合は高眼圧で緑内障が疑われます。
眼圧には日内変動があり、変動幅は平均3~6mmHg程度、緑内障患者さんではこれより大きな幅になるといわれています。
また季節や体位によっても変動し、冬季・仰臥位で高くなる傾向があります。
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