更新日:2016年10月1日.全記事数:3,169件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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イメンドは遅発性の嘔吐に効く?


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がんの支持療法

がんの治療で、「支持療法」という言葉をよく聞く。
主に副作用予防というイメージなのだが、ただ副作用予防ということであれば、NSAIDs投与中の胃薬の併用も支持療法となるが、そうは言わない。

「がんに伴う症状、抗がん剤などの治療による副作用や後遺症などについて、症状の軽減や予防を目指す治療」とのこと。
抗がん剤による吐き気、便秘などに対する制吐剤、下剤だけでなく、がんによる症状の軽減も支持療法ということなので、痛みに使う麻薬、鎮痛剤も支持療法となる。

支持療法とは、重篤な疾患のある患者のQOLを改善するために行われるケアのことをいいます。
近年開発された抗がん剤は、従来の抗がん剤より副作用が少なく、従来からある抗がん剤についても副作用の発生が少ない治療法が開発されています。

しかし、副作用の程度によっては、患者の身体的・精神的な苦痛が大きく、副作用を予防、軽減するための支持療法が必要です。
この支持療法の進歩によって重篤な副作用が外来治療でもコントロールできるようになりました。
例えば、G-CSF製剤による好中球減少の抑制、5-HT3受容体拮抗薬による急性悪心・嘔吐や、アプレピタントのようなニューロキニンI(NKI)受容体拮抗薬によって特に遅発性悪心・嘔吐のコントロールなどが可能となります。

悪心・嘔吐は、発生時期によって急性、遅発性、予期性に分類されます。
高度( >90%)の催吐リスクを有する薬剤として、シスプラチン、シクロホスフアミド( >1500mg/m2) 、ダカルバジンなどがあげられます。
処方せんに抗がん剤、5-HT3受容体拮抗薬、あるいはアプレピタントが処方されていなくても、デキサメタソンが1日4mg 、または8mg処方されていたら、化学療法に対する支持療法を考慮した忠者への聞き取りが必要です。

遅発性嘔吐とイメンド

癌化学療法によって引き起こされる悪心・嘔吐は、その発現時期により、24時間以内に発現する「急性悪心・嘔吐」、24時間以降に発現する「遅発性悪心・嘔吐」、次回投薬の直前に発現する「予測性悪心・嘔吐」の三つに大別されます。

悪心・嘔吐の対症療法には、セロトニン3(5HT3)受容体拮抗剤が広く使用されるほか、ステロイド剤、抗不安剤なども使用されます。
しかし、これらは「急性悪心・嘔吐」には有効ですが、「遅発性悪心・嘔吐」には必ずしも有効ではありません。

新しく発売された制吐剤のイメンドは、世界初の選択的ニューキノロンニューロキニン1(NK1)受容体拮抗剤です。
NK1受容体は、神経伝達物質サブスタンスPの受容体であり、サブスタンスPは、嘔吐や痛み、不安、喘息、膀胱炎、片頭痛などの発現に深く関与します。

イメンドは、サブスタンスPとNK1受容体との結合を選択的に遮断することにより、抗癌剤による悪心・嘔吐を抑制するものと考えられています。
従来の薬とは作用機序が異なることから、他の制吐剤と併用することで相乗効果が期待できます。
また、イメンドは、急性の悪心・嘔吐のみならず、従来薬では効果が不十分だった遅発性の悪心・嘔吐にも有効であることが確認されています。

添付文書の適応も、「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)」となっています。

悪心・嘔吐分類発生時期 
急性抗がん剤投与後24時間以内に生じる
遅発性抗がん剤投与後24時間以降に生じ、数日間持続
予期性前治療による悪心・嘔吐の経緯など精神的要因により出現

選択的NK1受容体拮抗薬

イメンドは、遅発性嘔吐に有効性が確認された、世界初の選択的NK1受容体拮抗型制吐薬である。
イメンド(アプレピタント)は、サブスタンスPの受容体であるニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬であり、抗悪性腫瘍薬投与に伴う遅発性の悪心・嘔吐の予防に有効で、わが国でも承認された。

高度催吐性リスク(AC療法など一部の中等度催吐性リスク含む)の抗がん剤に対する制吐療法として各種ガイドライン上で推奨されている。

催吐性リスク分類急性期遅発性
高度催吐性リスク5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン+アプレピタントデキサメタゾン+アプレピタント
中等度催吐性リスク5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾンデキサメタゾン

アプレピタントを服用する場合には、コルチコステロイド、ワルファリンとの併用に注意が必要となる。
特に糖尿病患者の場合はアプレピタントとコルチコステロイドを併用した際に、コルチコステロイドの血中濃度上昇により血糖上昇がみられることがあり、注意が必要である。

5-HT3受容体拮抗薬やアプレピタントでは、便秘傾向となりやすいため、抗がん剤による下痢の発生時期も考慮した排便コントロールへの配慮も欠かせない。

参考書籍:クレデンシャル2013.5

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