2018年12月11日更新.3,340記事.5,763,436文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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睡眠薬は寝酒よりも安全?

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アルコールより睡眠薬のほうが安全?

「睡眠薬はクセになる」とか、「睡眠薬は体に悪い」「副作用が怖い」と言って、眠れないときはお酒を飲む人がいます。

飲みすぎればどちらも体に悪いですが、睡眠薬よりお酒のほうが飲みすぎるリスクは高いでしょう。
寝酒もクセになります。

また、飲酒直後には眠くなるが、数時間たつと眠りが浅くなる作用があります。アルコールは約4時間で代謝するため中途覚醒が増えます。
利尿作用もあることから夜中に目覚める原因にもなります。

寝酒よりも睡眠薬に頼るほうが体にはいいです。

睡眠薬を恐れて寝酒に頼る人がいる。
むしろ飲酒の方が危険である。
「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」でも、睡眠薬代わりのアルコールの使用は「推奨されない」としている。
当然ながら、眠りの質はアルコールよりも睡眠薬の方が優れている。
アルコールが神経の興奮を鎮める作用は長時間持続しないため、不眠の患者が薬代わりに使用すると中途覚醒の原因にもなる。

健常者が睡眠前にアルコールを飲用した場合、入眠は早まるものの、低用量飲酒群に比べると中~高用量飲酒群ではレム睡眠の割合が減ることが報告されている。
ただし、睡眠薬をアルコールの代わりに安易に連用することは避け、長期服用に陥らないように注意する必要が
ある。
またアルコールと睡眠薬の併用は、睡眠薬の副作用の頻度と強さを高める可能性があるため避けるように指導する。

たしなむ程度

アルコールで得られる睡眠はごく一時的であり、睡眠後半ではレム睡眠の増加により中途覚醒や熟眠感の不足などが起こりやすく、結局全体としてよく眠れていない状態になることや、依存性という面からも抗うつ薬や睡眠導入剤よりもはるかにリスクの高い「薬物」である。

しかし、画一的に「お酒はダメです」と言っても、それを患者が守るかどうかは正直なところ疑問である。

相互作用の面からは本来アルコールは禁じるべきであるが、それが難しい人には、少なくとも寝酒はやめて夕食時に少したしなむ程度にとどめてもらうだけでもよいのではないだろうか。

睡眠薬は怖い?

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、適正な用法・用量を守れば、耐性、依存性の形成、重篤な副作用はほとんどなく、長期間服用した場合の危険性も少ない。
一方で、「睡眠薬は怖い薬」「ぼける」「一生やめられない」といった誤解や不安を抱く患者も少なくない。

睡眠薬は怖い、と服薬を拒否する患者さんが少なからずいる。薬が怖いという考えを持つことは正しいと、薬剤師的には思いますが、過剰に不安を抱いているのであれば正しくない。

薬をやめたい

薬をやめたいという気持ちを持つのは良いこと。
まずそれを患者に伝えることが大切だ。
その後で、自己判断で急に薬を中止するのではなく、身体の状態を見ながら、医師と相談して少しずつ減量していくべきであることを説明する。

治療を成功させるには、睡眠薬をやめるタイミングも重要だ。
「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」では、(1)夜間の不眠症状の改善、(2)良眠できたおかげで日中の心身の調子が良い-の2点を不眠症の寛解の条件として挙げている。

睡眠薬を飲んで規則正しい生活習慣が保てるようになり、1~2カ月間その良い状態が保たれていれば、少しずつ睡眠薬の減量を始める時が来たと判断できる。
BZ系や非BZ系の睡眠薬の服用を急にやめると、不眠の悪化や不安、焦燥、発汗などの離脱症状が出る。

自己判断で服用をやめ、離脱症状を感じると、「自分は依存症になってしまった」とショックを受ける患者もいる。
同ガイドラインでは、減量する際には、1種類の睡眠薬を1~2週間に4分の1錠ずつ減らしていくなどの漸減法で、慎重に進めることを推奨している。
2種類以上の睡眠薬を服用している患者や、睡眠薬の服用期間が長い患者では、服薬の中止までにより長い時間をかける。
適切な方法で減薬しても不眠症状が続く場合には、睡眠薬の減量は一時中止することがある。

薬局では処方内容の変更に応じたサポートが求められる。
睡眠薬は基本的に新しいほど離脱症状は少なく、止めやすいとされる。
BZ系に比べると非BZ系の薬は離脱症状が少なく、新機序の薬ではさらに少ない。
実際、ラメルテオンは国内の長期投与試験で離脱症状がないことが示されている。
スボレキサントの臨床試験でも、一定期間服用した後、服用継続群と中止群に分けて比較した結果、退薬症候の報告に顕著な差は出ていない。

睡眠薬に対する誤った考え

①安定剤は安全だが、睡眠薬は怖い薬である。
②睡眠薬を飲んだら、強い眠気が出現する。
③一度飲み出したら、一生やめられない(依存性)。
④薬の量がどんどん増えていく(耐性)。
⑤もの忘れがひどくなる、ぼける(痴呆)。
⑥大量に飲むと死んでしまう。
⑦睡眠薬よりアルコールの方が安全である(寝酒のすすめ)。

睡眠薬を飲むと副作用で死んでしまうのではないか?

最近の映画やTVドラマであまり見かけなくなりましたが、以前は睡眠薬の大量服用が自殺手段の代表といっても過言ではありませんでした。
このイメージが色濃く残り、「睡眠薬を飲むと副作用で死んでしまうのではないか?」という質問をしてくる患者もいます。
バルビツール酸系の睡眠薬が主流だった時代に 一度に大量に服用することで中枢性の呼l吸抑制から死に至ることがありましたが、現在処方される睡眠薬はほとんどが改良されたベンゾジアゼピン系睡眠薬ですから、薬剤に対する過敏症やショックを引き起こすという非常に稀な例を除けば、処方通りに服用していて生命に問題が生じることはないといえるでしょう。

現在広く使われているベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、かつてよく使用され過量投与すると死の危険性もあったバルビツール酸系睡眠薬とは異なり、安全性が大きく改善されています。
経口投与では生命への影響はほとんどありません。

適切に使用している限りは安全です。
むしろ、薬を無用に怖がって、勝手に中止したり減量すると、十分な効果が得られないだけでなく、かえって副作用の原因となったりします。

クロロホルムを吸っても気絶しない?

昔、いや今でも漫画やドラマなどでハンカチにしみこませたクロロホルムで意識を失うというシーンがみられることがある。

麻酔作用があることは一般にも有名であり、テレビドラマや推理小説、あるいは漫画などで頻繁に登場する。典型的なシーンは、
1.クロロホルムを数滴ハンカチにしみこませる。
2.後ろから被害者にこっそり近づき、鼻と口をおさえる。
3.被害者は抵抗するが、すぐぐったりとして寝てしまう。
4.次の場面で被害者は頭痛と共に目覚める。

というものである。

クロロホルム自体は実際には多少吸引しても気を失うことはなく、せいぜい咳や吐き気、あるいは頭痛に襲われる程度である。しかし、クロロホルムが肌に触れると爛れを発生させ、一生消えることのないキズをおわせることにもなる。 なおクロロホルムを相当量吸引すると気を失うこともあるが、その場合、腎不全を引き起こし、死に至らしめる可能性が高い。クロロホルム – Wikipedia

テレビでやっていましたが、クロロホルムを吸って一瞬で気絶するなんてことはあり得ないとのこと。

クロロホルム以外の薬品で、ハンカチにしみこませて吸入させて意識を遠のかせるような薬、なんて無いかな。

無ければ、こういうシーンは二度とみられなくなりそう。

アル中患者に睡眠薬はダメ?

不眠とアルコール依存症との関係は深く、不眠をきっかけにアルコールを飲むようになり、しだいに乱用し、アルコールへの依存を形成してしまう場合や、アルコールの病的飲酒後の離脱症状のひとつとして不眠を呈する場合があり、「卵が先か鶏が先か」判別のつかない不眠が非常に多くみられます。

薬理学的にはアルコールと睡眠薬は交差耐性(アルコールに対して耐性を獲得すると、睡眠薬に対する耐性も獲得してしまうこと)があることがわかっています。

ですから、アルコールに対して依存を形成している患者さんに睡眠薬を処方するのはもってのほかということになります。

しかし問題なのは、アルコール依存症の治療に不慣れな精神科医のなかに、「睡眠薬」を飲むほうが、「アルコール」を飲むよりはまだ安全だろうと考え、安易に睡眠薬を処方してしまう医師がいることです。

このような場合、結局アルコールを断っても睡眠薬が手放せない「処方薬依存」となってしまうケースが非常に多いのです。

このような問題を予防するためには、アルコール依存症の治療においては疾病教育の段階で、「睡眠薬を併用してはいけない」ことや、その理由について必ず触れるようにします。

不眠時でもできるだけ睡眠薬を使わないようにし、やむを得ず処方する場合でも依存になりやすい短時間作用型を避け、処方期間をできるだけ短くするなどの工夫をします。

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