更新日:2016年12月21日.全記事数:3,169件.

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胃薬を飲むと食中毒になりやすくなる?


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胃酸と食中毒

胃酸の作用として、強力な酸性による胃内の細菌の殺菌作用があります。

サルモネラ菌、コレラ菌、腸炎ビブリオのような食中毒の原因菌の至適pHは7~8の中性付近にあり、食物などとともに摂取された場合でも、胃酸により増殖を抑制することができる。

PPIなどの制酸剤を服用すると、胃酸の分泌が抑制されます。
そのためPPI服用時には、胃酸による殺菌力が弱まり、食中毒の危険性が高まります。

オメプラゾールを1年間投与しての大規模臨床試験では、腸管感染症発症の相対危険度の増加はみられなかったとの報告もありますが、胃切除患者におけるコレラ発症、高齢者などの無酸症患者における食中毒の発生状況、あるいは制酸剤使用時のサルモネラ菌の増殖増加に関する報告もあることから、患者に対して食中毒予防のため、特に生ものの摂取などについて注意が必要と思われます。

胃のpHはどのくらい?

胃酸はpH1~2を示す塩酸です。

通常は食物の摂取により分泌されますが、空腹時にも少量が分泌され、胃液のpHを2.0前後に維持しています。

胃内のpHは、胃酸の影響で常に酸性に保たれています。胃内が酸性であることによって、タンパク質の消化酵素(ペプシン)がきちんと働いたり、また胃に侵入した細菌を殺菌したりできています。

胃内のpHは、常に一定というわけではなく、食事や時間によってその酸性度が変化します。食前の空腹時にはpH1~1.5という食酢よりも強い酸性度を示します。食事をとるとpHは4~5になりますが、次第にpHは低くなり、食後2~3時間でまた空腹時程度のpHに戻ります。

ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、プロトンポンプ阻害剤(PPI)は、強力に胃酸の分泌を抑えて、空腹時の胃内のpHを5~6くらいまで高めます。制酸薬は、それ自体がアルカリ性であり胃酸を中和するので、服薬するとすぐにpHを高めますが、効果は長続きしません。アステラス製薬|なるほど病気ガイド|胃潰瘍・十二指腸潰瘍 知っておきたい予備知識

胃のpHは通常1~1.5、食事をすると4~5、PPIなどを飲むと5~6に上がる。

通常、胃は強酸である胃酸の分泌に対して、胃壁細胞が粘膜保護作用を示すことで、攻撃因子と防御因子のバランスを保っている。
飲酒やストレスなどが原因で、この防御作用が低下すると、胃の炎症や潰瘍が発生する。

これらを治療する際は、攻撃因子である胃酸分泌を抑制して胃内pHを高く保つことが重要である。
胃内pHが5.4以下になると、血液凝固能が低下し、止血が困難になる。
また、胃内pHが4.0以下になると、ペプシンが活性化し、血小板凝集塊を破壊することで再出血の原因となるからである。

参考書籍:日経DI2011.7

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コメント

  1. 「PPIと食中毒」について
    制酸剤は、薬物学的には「胃酸(塩酸)を中和して胃のpHを上昇させる薬物」です。一方、PPIは、胃壁細胞のプロトンポンプに結合してプロトンポンプを非可逆的に阻害する事により、ご記載のとおり「胃酸の分泌を抑制する」薬物です。従って、PPIは制酸剤とは異なります。「PPIなどの制酸剤」との記述は間違いです。

    匿名:2013/1/12

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