更新日:2016年1月29日.全記事数:3,169件.

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甲状腺機能低下症患者にスタチンを使っちゃダメ?


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甲状腺機能低下症でも亢進症でも高コレステロール血症になる?

甲状腺ホルモンといえば、新陳代謝を活発にするホルモンということで、甲状腺機能亢進症では、単純に考えるとエネルギー消費に傾き、コレステロール値は低下するように思う。
逆に甲状腺機能低下症では、高コレステロール傾向になるように思う。

しかし、甲状腺ホルモンであるチラーヂンSの薬効薬理には、
「血中脂質,特にコレステロール量を減少させる.」
と書いてある。

そう単純ではない。

甲状腺機能低下症で高コレステロール血症

原発性でない二次性の脂質異常症は、内分泌疾患や腎疾患、肝疾患など種々の疾患によって引き起こされる。中でも甲状腺機能低下症による高コレステロール血症は、比較的頻度が高い。
脂質異常症患者のうち10~20人に1人は、原疾患として甲状腺機能低下症を有するといわれる。

甲状腺ホルモンは、コレステロールの合成を亢進させる一方で、その代謝も促進する。
しかし、甲状腺機能低下症によって甲状腺ホルモンが不足すると、低比重リポ蛋白(LDL)受容体の活性が低下してLDLコレステロールの代謝を阻害するようになる。
その現象がコレステロール合成の低下よりも強く表れるため、血中のLDLコレステロールや総コレステロールが上昇し、高コレステロ一ル血症を発症すると考えられている。
これとは逆に、甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンによるコレステロールの合成亢進作用がLDL受容体活性化作用を上回るため、高コレステロール血症を発症する。

ちなみに甲状腺機能低下症には 甲状腺ホルモンが不足する「顕性甲状腺機能低下症」のほか、甲状腺ホルモン値が正常域にあっても甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値が軽度に高値となる「潜在性甲状腺機能低下症」があるが、前者の7~9割程度、後者の約5割に高コレステロール血症が合併するといわれる。
二次性脂質異常症の治療では、一般に原疾患の治療が優先される。

甲状腺機能低下症による高コレステロール血症では、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を投与しても効果は見られないが、レボチロキシン (チラーヂンS)の服用による甲状腺ホルモンの補充で高コレステロール血症が改善するケースが多い。
ただし、時には甲状腺ホルモンの検査値が基準値に達した後も、高コレステロール血症が持続する例がある。
そのような患者に対しては、通常の脂質異常症と同様の治療が開始されることになる。

しかし、甲状腺機能低下症へのスタチンは慎重投与になっている。
もともと甲状腺機能低下症患者は、激しい運動、外傷、脂質異常症治療薬、毒物、腎不全などが誘因となって横紋筋融解症が起きやすいとされるからである。
これに対し、フイブラート系薬のべザフィブラート(ベザトールSR)は、スタチンとの併用や血清クレアチニン値1.5mg/dL以上の者への投与は慎重投与とされているものの、添付文書に甲状腺機能低下症患者に関する記載はない。

参考書籍:日経DIクイズベストセレクションSTANDARD篇

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