2018年9月20日更新.3,327記事.5,533,947文字.

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P-CABとPPIの違いは?

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タケキャブは早く効く?

タケプロンの後継品、タケキャブ錠なるものが販売された。

タケキャブの薬効分類は、カリウムイオン競合型アシッドブロッカーP-CAB:Potassium Competitive Acid Blocker)。
武田のP-キャブなので、タケキャブ。
タケプロン、タケルダ、タケキャブと、武田は調剤ミスのことをあまり考えてないようだ。

タケプロンなどのPPIとの違い、特徴は、以下のようになっている。
・胃壁細胞で酸分泌の最終段階に位置するプロトンポンプ(H+,K+-ATPase)をカリウムイオンと競合的な様式で阻害することによって、強力かつ持続的な酸分泌抑制作用と投与早期からの効果発現を示す
・PPIではその代謝に遺伝子多型のあるCYP2C19が関与しているため酸分泌抑制効果に個人差が見られる場合があるのに対し、ボノプラザンの代謝には遺伝子多型のあるCYP2C19の関与が少ないことが示されている
・ボノプラザンは24時間持続した効果を示すため酸に安定で、腸溶性製剤にする必要がなく、速放錠で服用できるため作用発現のばらつきが少ない
・作用の発現にあたって酸による活性化が不要で、標的臓器である胃に高濃度に移行するため投与初日からほぼ最大に近い薬効を示す

逆流性食道炎の薬物療法のターゲットとなるプロトンポンプは、水素イオンを能動輸送するタンパク質複合体である。
胃酸分泌刺激のない休止期には、胃壁細胞内の細管小胞に非活性の状態で存在するが、食物摂取などの胃酸分泌刺激を受けると活性化され、胃酸を分泌する。
既存のPPIは、酸により活性体に変換された後、プロトンポンプとジスルフィド結合(S-S結合)して、胃酸分泌を阻害する。
しかし、PPIは酸性環境下で不安定で、分泌細管に長くとどまることができない。
そのため、血中濃度が安定化して効果発現が最高レベルに達するまでに、3~4日必要だった。

一方、ボノプラザンは酸による活性化を必要とせず、カリウムイオンに競合的に作用して、プロトンポンプを阻害する。
また、脂溶性で塩基性が強く、酸性環境下でも安定であることから、胃の壁細胞に高濃度に集積、長時間残存する。
そのため、新たに活性化されたプロトンポンプにも素早く作用すると考えられている。

さらに、薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4で主に代謝されるため、CYP2C19で主に代謝される既存のPPIに比べて、薬効に個人差が少ないことも利点と考えられている。

基本的な分類としては、タケキャブもPPIなので、今日の治療薬にもPPIとして分類されている。
画期的な新薬という感じではない。

P-CABとPPIの違い

結局P-CABもプロトンポンプを阻害するので、PPIの一種と考えられる。
当然P-CABとPPIの併用はNGである。
そもそもプロトンポンプとはなんぞやと言うと、H+、K+-ATPaseという酵素のこと。
胃液を分泌する胃の壁細胞における胃酸分泌反応では、壁細胞の中から水素イオンを出してカリウムイオンを取り込むプロトンポンプが働いています。

タケキャブ(P-CAB)は、カリウムイオンに競合する形でプロトンポンプを阻害し、胃酸の分泌を抑制します。
PPIは、プロトンポンプとS-S結合することでプロトンポンプを阻害し、胃酸分泌を抑制します。

PPIは、胃酸で活性体へ変換されて効果を発揮します。
プロトンポンプ阻害薬が薬としての機能を発揮するためには、体内で代謝される必要があります。代謝されることで薬の形が変わり、ようやく作用を発揮するようになるのです。このような「薬の代謝物」がプロトンポンプへ蓄積して効果が表れるため、十分な作用を得るためには数日かかります。
また、薬が代謝されてようやく効果を示すため、人が違うことによって薬の効き目が異なる「個人差」が問題となることがあります。

タケキャブ(P-CAB)は体内で代謝を受けることで活性化する薬ではなく、プロトンポンプに存在するカリウムイオンを直接阻害するため、投与初日から最大の効果を得ることができます。
代謝による活性化が必要ないため、個人差も少ないことが予想されています。

タケキャブ(P-CAB)は塩基性が強く、また酸性環境下でも安定なため、分泌細管に高濃度に集積し、長時間残存します。この性質により、血中薬物濃度の低下後に、新たに分泌細管の膜上へ移動してきたプロトンポンプも阻害することができるため、速やかで優れた酸分泌抑制作用を示すと考えられます。
PPIは、酸性環境下では不安定であり、分泌細管に長くとどまることができません。そのため、血中薬物濃度の低下後は、新たに分泌細管の膜上へ移動してきたプロトンポンプを阻害することができないと考えられます。

タケキャブとピロリ菌除菌

ピロリ菌除菌についても、タケプロン3剤併用療法と比べタケキャブ3剤併用療法は高いようです。
ヘリコバクター・ピロリの一次除菌率:タケキャブ3剤併用療法92.6% タケプロン3剤併用療法75.9%
クラリスロマイシン耐性株を有する患者における一次除菌率:タケキャブ3剤併用療法82.0% タケプロン3剤併用療法40.0%
ヘリコバクター・ピロリの二次除菌率:タケキャブ3剤併用療法98.0%

クラリス乱用されているので、耐性菌が増えている模様。耐性株に対する除菌率の高さは有用。

長期間の服用に関しては胃酸分泌を強力に抑制することによる弊害も検討されてくるかも知れませんが、ピロリ菌除菌のための一時服用であれば問題も少ないと思われ、新薬の14日縛りも関係ないので、発売早期から処方されている。

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コメント

  1. ネキシ○ムが発売されたときにMRになぜ新機序薬ではなく光学活性物を新発売するのか聞いてみました。そのメーカーでは「効果の高さにPPIと差がないが、副作用が多くて断念した」と言ってました。
    ジェネリックで安価になったPPIで十分な気がします。

    el:2014/4/8

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