更新日:2017年1月5日.全記事数:3,117件.

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ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になる?


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ピロリ菌除菌のメリットとデメリット

ピロリ菌の除菌にはメリットとデメリットがあります。

メリットとしては、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の再発が絶対的に減りますし、食欲も出ます。
いくつかのデータでは、除菌をした人にはがんが出てこないという結果が出ています。

デメリットのひとつは、まず逆流性食道炎が非常に多くなるのです。
除菌が始まった当初は、ドイツの発表では4人に1人に逆流性食道炎がみられるといわれていました。

日本では1~2割ぐらいということで非常に少なかったのですが、やはり食事が欧米化して肥満が増えれば、当然その率は欧米に近くなってきて、かなりの人数の人が逆流性食道炎で困っています。

つまり、胃の状態はきわめてよくなりますし、食欲も出ますから、食べられるようになるのです。

そうすれば、過食や肥満が出現し、当然、逆流性食道炎が出てくるという構図があります。

ピロリ菌と逆流性食道炎

ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気の原因のひとつです。
ピロリ菌と逆流性食道炎の関係について、ピロリ菌に感染している人の割合が高い国は逆流性食道炎の患者さんが少ないことが分かっています。

これは、ピロリ菌によって胃に炎症が起こると、胃酸の分泌が少なくなるためと考えられています。
つまりピロリ菌を除菌して胃炎が治ると、胃酸分泌が亢進して逆流性食道炎が引き起こされる可能性がある。

日本はピロリ菌に感染している人の割合が高い国でしたが、衛生環境が改善してきたことで、その割合は低くなってきました。
これが近年、日本で逆流性食道炎が増えたことのひとつの原因と考えられています。

以前はピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になる人が増えるという説がありました。
しかし、最近の研究で、ピロリ菌の除菌によって逆流性食道炎が起こったとしても一時的なものであり、また多くは軽症のものですので、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんは、除菌後の逆流性食道炎を気にすることなく、除菌治療を受けることが勧められています。

若者とピロリ菌と逆流性食道炎

最近20~30代を中心に「逆流性食道炎」、通称「逆食」と呼ばれる胃の病気が増えている。
胃酸過多となった胃液が食道に逆流することで、炎症を起こし、胸やけや胃もたれ、胃痛など、様々な症状を引き起こす。

内視鏡による逆食の発見率が1987~89年の2.4%から、2003~05年には9.4%まで増加。
これまでは、高齢者がかかりやすい病気だったが、若者にも増えている。

若い患者が増えている一番の原因は、ピロリ菌という細菌の保有率が世代的に低いから。
ピロリ菌とは胃酸の酸度を下げる働きがあるものの、胃の粘膜を損傷し、胃炎を起こす悪性の菌。
衛生環境が悪かった頃はピロリ菌の保有者が多かったため、逆食の患者は少なかった。
しかし、現在はピロリ菌の保有率が下がり胃酸の酸度が高い人が増え、患者も増えている。
70代以上の人は半数以上がピロリ菌を保有していますが、20~30代になると保有者は2、3割。
そのため、若い世代は逆食を発症しやすい。

ただ、ピロリ菌は胃がんや十二指腸潰瘍の原因になると考えられているので、発病のリスクを減らすためにはいないほうがいい。除菌治療をした方がよい。
ピロリ菌がいれば、逆食にはなりにくいけれど、その分、胃炎や胃がんなどのリスクが高まる。

ピロリ菌除菌で高脂血症?

ピロリ菌を除菌すると活性化グレリンという成分が非常に増えるのです。

これが食欲を増すといわれているので、高脂血症の人が非常に多くなります。

食欲も出ておいしく食事がとれるため、本人は喜んではいるのですが、逆の面からみると、ピロリ菌の除菌は逆流性食道炎と高脂血症をつくっているわけです。

ピロリ菌除菌で味覚異常?

ピロリ菌の除菌では6%に味覚異常を認めるとされている。
これは、クラリスロマイシン自体が苦みを有しているためと考えられている。

ピロリ菌除菌で食道がん減少?

除菌により食道がんは少なくなります。
しかし、日本ではまだ少ないですが、バレット食道がんの増加が危惧されます。

逆流性食道炎が繰り返されれば、アメリカのようにバレット食道が増加し、バレット食道がんが増えるということが考えられます。

日本では、まだバレット食道がんは非常に少ないのですが、10~20年後には現在の米国の状況になると思われるので、今後は増加する可能性が高いと思われます。

ピロリ菌と多発性硬化症

ピロリ菌多発性硬化症という一見関係なさそうな疾患でも関連がありそうです。
女性の多発性硬化症の患者は、対照群と比べて有意にピロリ菌に感染している割合が低いことがわかりました。
また、症状の程度を比較した場合では、ピロリ菌に感染している女性の方が、症状の程度が軽いことがわかりました。
男性では逆に、ピロリ菌に感染している人のほうが多発性硬化症の症状が重い傾向がありました。

貧血にピロリ菌除菌が有効?

原因不明の鉄欠乏性貧血があり、ピロリ菌陽性の人にピロリ菌の除菌を行うと、貧血が改善することが1990年代から報告されています。

ピロリ菌感染で鉄欠乏性貧血が起こるメカニズムについては、十分に明らかになっていませんが、胃粘膜委縮による酸分泌低下で食事からの鉄分吸収が阻害されるから、という説が有力である。
他にも、①ピロリ菌の感染によって消化管粘膜が間欠的、または持続的に出血する②ピロリ菌の外膜に発現しているラクトフェリン受容体によって、食事中のラクトフェリン結合鉄が吸着される、といった説が提唱されている。
小児の場合、特に10歳以上における原因不明の鉄欠乏性貧血の60~70%にピロリ菌の感染があるとされ、除菌が成功した症例では貧血が治癒し、再燃は認められなかったという報告もある。
慢性的な鉄欠乏は成長障害を引き起こすため、小児の鉄欠乏性貧血患者には積極的にピロリ菌感染の有無を検査し、除菌治療を行う医師も多い。

参考書籍:調剤と情報2010.5

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