更新日:2015年10月22日.全記事数:3,118件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

強い薬≠効く薬?


スポンサードリンク

PK/PD

強い薬が効く、とは限らない。

「この抗菌薬は抗菌力が強いので高い臨床効果が期待できます。」

MRが宣伝文句に使いそうな言葉。

抗菌力が強い、とは試験管内でのこと。

人間の体の中でどのように効果を発揮するかは、また別の話。

抗菌薬が生体内で効果を発揮するためには、抗菌力だけでなく、その薬剤の体内動態、組織移行性も関係してきます。

そこで、抗菌力に加えて、体内動態も考慮した上で、抗菌薬の臨床効果を推定するPK/PD理論がとなえられています。

PK/PDは、MICを上回る血中濃度が持続する時間の「Time above MIC」、CmaxやAUCをMICで割った値での「Cmax/MIC」や「AUC/MIC」の3つのパラメータが知られています。

各系統の薬剤によって当てはまるパラメータは異なります。

キノロン系抗菌薬の場合は、AUC/MICの値が高いほど優れた臨床効果が期待できるといわれています。

すなわち、体内動態に優れ(AUCが大きく)、原因菌に対する抗菌力が強力な(MICが低い)薬剤ほど、高い臨床効果が期待できるということです。

動物実験で安全性は確認できるのか?

医薬品の開発で、臨床試験を行う前に動物実験が行われます。

その動物実験で毒性があったとか、副作用が出たとか、催奇形性があったなどの結果があると、危険な薬なんじゃないかと疑います。

人間にとってタマネギは食べ物ですが、犬にタマネギは毒です。

タマネギには、犬の血液中の赤血球を壊してしまうアリルプロピルジスルファイドという成分が含まれています。

動物実験で毒性があった=危険な薬というわけではありません。

動物実験で催奇形性が認められていても、ヒトでは催奇形性が否定的な場合もあります。

逆に、ある種の動物においては催奇形性が認められていなくても、ヒトでは催奇形性が認められる場合もあります。

ビタミンAの大量投与やアルコールのように、動物実験・ヒトともに催奇形性が認められた薬物もごくわずかですが存在します。

動物実験では投与条件を自由に選択することができ、また大量投与が可能です。

その場合、臨床とは異なる薬理作用が発現したり、母動物の毒性による間接的影響が認められることがあります。

食塩や砂糖のようなものでも、大量投与した場合には、哺乳類で奇形が発生することが知られています。

スポンサードリンク

コメント

  1. 飲んでも臓器に届かない
    移行しやすい臓器と移行しにくい臓器
    移行しやすい臓器・組織
    肺組織、腎・尿路系、体腔液(胸水、腹水)、肝臓
    移行しにくい臓器・組織
    胆道系、前立腺、眼球、骨組織、食細胞、喀痰、母乳、膿胸、(血液ー脳関門)、髄液・中枢神経

    臓器移行性
    抗菌薬は腸管から吸収され、血流により体内に分布し組織に移行する。
    このため血流量の多い臓器には移行しやすく、血流が少ない組織や血液ー脳関門などの障壁がある組織には移行しにくい。
    結石、腫瘍などで血流不全が存在する場合にも、抗菌薬の組織移行が極めて不良となる。
    肺組織、腎・尿路系は移行しやすい臓器である。
    このため多くの抗菌薬が呼吸器感染症、敗血症、尿路感染症の適応を有する。
    これに対し皮膚、脂肪組織、髄液、前立腺、喀痰などはもっとも移行しにくい組織である。
    それゆえ髄膜炎、骨髄炎、皮膚・軟部組織感染症に適応がある抗菌薬は限られている。
    軽症から中等度の感染症には経口抗菌薬が適しているが、重症や移行が悪い病巣の治療には注射薬が用いられる。
    移行性は病態や投与量によっても大きな影響を受ける。
    毛細血管の透過性が高まる炎症初期には、通常より大量の抗菌薬が移行する。
    急性前立腺炎の炎症極期には移行性の悪いβラクタム系やアミノ配糖体系も移行するが、炎症が治まった慢性前立腺炎にはβラクタム系は効かない。
    この場合は、前立腺に移行がよいフルオロキノロン系を使用する。
    化膿性髄膜炎の炎症期にもβラクタム系の髄液移行率が上昇する。
    移行の目安となるおおよその臓器内濃度は、尿中や胆汁中では1000μg/mL、血液中は100μg/mL、髄液中は20〜30μg/mL、喀痰中は2〜3μg/mLである。
    臓器移行性の原則
    呼吸器:マクロライド系、フルオロキノロン系、テトラサイクリン系
    腎・尿路:アミノ配糖体系、フルオロキノロン系、βラクタム系、グリコペプチド系
    肝・胆道:マクロライド系、βラクタム系、フルオロキノロン系、テトラサイクリン系
    中枢神経・髄液:クロラムフェニコール、リファンピシン、炎症があればβラクタム系

    抗菌薬の臓器移行性
    抗菌薬の臓器移行性は、同系統であっても薬剤により、あるいは内服薬と注射薬という剤形によっても異なる。
    このため文献により多少の違いがある。
    呼吸器
    肺組織への移行は、アミノ配糖体系を除いて良好なため移行性が問題となることは少ない。
    細菌性肺炎にはβラクタム系を、非定型肺炎にはレスピラトリーキノロンやケトライド系のテリスロマイシン(ケテック)を用いる。
    喀痰中への移行は血液と気管支間に障壁が存在するため、マクロライド系とフルオロキノロン系以外は極めて不良である。
    腎・尿路
    腎臓への移行は、マクロライド系を除いて極めて良好である。
    ただし前立腺へは移行しにくい。
    尿路感染症には腎排泄型の薬剤を選択する。
    基礎疾患のない単純性尿路感染症には、第3世代のセフェム系かフルオロキノロン系を用いる。
    肝・胆道
    胆汁移行は分子量500以上で蛋白結合率80%以上のセフェム系注射薬が良好な移行を示すが、分子量400前後で蛋白結合率10%以下のカルバペネム系の移行は悪い。
    アミノ配糖体系の移行もよくないが、重症感染症の場合、βラクタム系との併用で用いられることがある。
    ミノサイクリン塩酸塩やリファンピシン(リファジン)は、腸ー肝循環により血中濃度維持時間が長くなる。
    中枢神経・髄液
    中枢神経系には血液ー脳関門があり、抗菌薬の髄液移行は極めて不良である。
    脂溶性のリファンピシンやクロラムフェニコールは容易に通過するが、
    イオン化しているアミノ配糖体は通過できない。
    セフェム系は第1、第2世代は不良であるが、第3、第4世代の注射薬の移行は良好である。
    ペニシリン系も炎症がある場合には移行する。
    食細胞
    食細胞(好中球、マクロファージ)への移行は、マクロライド系が良好である。
    食細胞が感染組織に遊走するので、組織内濃度は血中濃度の数十倍にまで達する。
    15員環のアジスロマイシン水和物(ジスロマック)は、単回経口投与で組織内濃度が約7日間持続する。
    皮膚組織
    皮膚組織への移行は、マクロライド系、フルオロキノロン系、クリンダマイシンが優れ、テトラサイクリン系は中等度、βラクタム系は劣る。
    外用薬は表皮への移行には優れているが、脂腺や毛包下部への移行は内服薬のほうが良好である。
    母乳
    抗菌薬の乳汁移行は、脂溶性、弱塩基性の薬物が移行しやすい。
    マクロライド系はよく移行し、βラクタム系は移行が悪い。
    乳汁中濃度は、ペニシリン系は血中濃度の1/3程度、テトラサイクリン系は約1倍、マクロライド系は血漿中濃度の数倍にもなる。
    胎盤
    βラクタム系、アミノ配糖体系は羊水移行がよい。
    胎盤通過性は、低分子、高脂溶性、非イオン型が移行しやすく、分子量が500〜1000になると通過しにくくなる。
    参考書籍:調剤と情報2011.11

    薬剤師:2012/7/29

コメントを書く

カテゴリ

プロフィール

IMG_0670
名前:yakuzaic
職業:管理薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
勤務地:さくらんぼ県
好きな言葉:「三流の自覚持って社会人失格の自覚持ってプロの仕事しましょう」
follow us in feedly

人気の記事

最新の記事

ランダム記事

検索

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

お気に入りリンク

添付文書(PMDA)
Mindsガイドラインライブラリ
健康食品の安全性・有効性情報
管理薬剤師.com
DIオンライン