更新日:2015年10月22日.全記事数:3,079件

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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寝たきり患者に骨粗鬆症治療薬は必要か?


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骨折の原因は骨粗鬆症ではない?

整形外科といえば骨粗鬆症予防、カルシウム製剤、ビタミンD製剤、ビスホスホネート製剤の処方を見ない日は無い。
骨密度を上げれば骨折は防げるのか?

股関節骨折の主な原因として、2003年のStoneらの論文では股関節骨折のうち骨粗しょう症が原因と考えられるものは1/3に満たないとされていることを挙げたうえ、2000年のKanisらの論文、1996年のMarshallらの論文を参照して、骨折を増やす要因として「加齢の効果は骨密度の減少よりも11倍強い」と指摘しています。さらに、2007年のSievanenらの論文を参照して「転倒なしには骨がもろくなっていたとしても股関節骨折は起こらない」と述べています。骨粗しょう症治療は過剰医療なのか? – MEDLEYニュース

そもそも転倒しなければ良い。
そりゃそうだ。

骨粗鬆症への対策よりも、転倒予防対策が重要ということだ。
ふらつき、転倒のリスクを増やしている抗不安薬や睡眠薬などの処方については見直す必要があろう。

寝たきり患者と骨粗鬆症

寝たきりの高齢患者の骨折予防を考える。

Q:寝たきりの高齢者に副腎皮質ステロイドを使う。ステロイド性骨粗鬆症による骨折予防にビスホスホネート系薬を使いたいが,服用後30分横にならずに座位を保つことができない。何を使えば良いか?

A:ステロイド性骨粗鬆症予防の第一選択薬はビスホスホネート系薬であるが,使用できない場合は,活性型ビタミンD3製剤,ビタミンK2などを使う。閉経後女性に選択的エストロゲン受容体作用物質(SERM:Selective Estrogen Receptor Modulator)のラロキシフェン(エビスタ錠)を使用することもあるが,エビデンスが不十分である。

ビスホスホネートだと食道潰瘍が怖い。

ビスホスホネートの添付文書の禁忌には、「30分以上上体を起こしていることや立っていることのできない患者」と書かれている。

エビスタでも血栓が怖い。

SERMの添付文書の禁忌には、「長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)にある患者」と書かれている。

活性型ビタミンD3になるかな。

そもそも寝たきりなら骨折リスクは少ないので、骨粗鬆症の予防は不要なのかも知れませんが。

SERMの特徴

骨のエストロゲン受容体に対して選択的に作用する薬です。
女性ホルモンのエストロゲン製剤は骨吸収抑制作用を示しますが、乳がんなど発がん性の心配もあります。

SERMは骨のエストロゲン受容体だけに作用するので、発がんの危険性は少ないとされます。
SERMには骨吸収抑制効果だけでなく、脂質低下作用もあります。
また、塩酸ラロキシフェンには乳がん予防効果も認められています。

骨折抑制効果はビスホスホネート製剤などよりも低いのですが、骨代謝を適度に抑え込むので顎骨壊死などの副作用が起こりにくく、乳がん予防などの副次的効果も期待できるので、若くて骨折リスクが高くない人には使いやすい薬です。
食後いつ飲んでもよいことも利点で、日本では使用量が多くなっています。

60歳ぐらいで骨粗霧症になると20年以上も薬を飲み続けないといけません。
最初はSERMでスタートし、治療が十分でなければビスホスホネートやテリパラチドに変えていくのが治療戦略です。

エルデカルシトールの特徴

新しいタイプの活性型ビタミンD3で、骨吸収抑制と骨形成促進の両面があることがわかっています。
従来からある活性型ビタミンD3はビスホスホネートなどとの併用で用いられることが多くなっています。

ビスホスホネート製剤の特徴

ビスホスホネートは破骨細胞のはたらきを強力に抑えることで、骨吸収を防ぎ、骨量を増やします。
消化管から吸収されたビスホスホネートは速やかに骨に沈着し、服薬が一定期間行われないで血中濃度が低下しても、骨中に沈着して有効性を発揮します。

そのため服薬期間を延長することが可能で、週1回製剤、月1回製剤があり、最近は年1回製剤も開発が進められています。
経口薬のほか、静注薬もあります。
ビスホスホネートは半年以上、できれば1年以上続けないと効果が出ないので、患者さんが長く続けられる方剤を選ぶことが大切です。

ビスホスホネートは腸管から1%以下しか吸収されません。
そのため起床後すぐに服用し、その後30分は水以外飲んだり食べたりしないという制限がつきます。
空腹時間を長くしたほうが吸収はよくなるので、服用後30分といわず、1時間は飲食を我慢してくださいとお願いしています。
米国では食後に服用できる製剤も開発され、認可されています。

さらにビスホスホネートで問題になっているのが、顎骨壊死や非定型大腿骨骨折といった合併症です。
顎骨壊死はあごの骨が炎症を起こして壊死するもので、抜歯後などに発生します。
あごの骨が壊死すると、口の中に生息する細菌による感染が起こり、あごの痛み、腫れ、膿を持つなどの症状が出現します。発生機序はまだわかっていません。
頻度は10万~1万人に1人ぐらいですが、歯科医の先生や患者さんが心配しており、早急な対応が迫られています。

そこで、顎骨壊死に関する正確な情報を収集し、その予防策や対応策について統一的見解を提言する目的で、日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、日本歯周病学会、日本歯科放射線学会および日本口腔外科学会の協力の下に、「ビスホスホネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー」が作成されました。

ビスホスホネートを服用して3年未満ならばリスクは低いが、3年以上飲んでいたら休薬を考えるなどの指針が示されています。
口の中が不衛生になると顎骨壊死を引き起こしやすいので、予防するには口腔ケアをきちんとすることが大切です。

非定型大腿骨骨折は、大腿骨の骨皮質が厚くなっているにもかかわらず、まったく外傷がないか、軽微な外傷が原因となって骨幹部がポキッと折れるものです。
はっきりしたメカニズムはわかっていませんが、ビスホスホネートは破骨細胞のはたらきを抑えるので骨の新陳代謝が悪くなり、古い骨が蓄積してポキッと折れてしまうのではないかと考えられています。

大腿骨骨折の予防は難しいのですが、前駆症状として脚の付け根が痛むことがあり、3年以上飲み続けている人で痛みがある場合はレントゲンを撮ってもらうとよいでしょう。
顎骨壊死も非定型大腿骨骨折も非常に頻度が低いので、そのためにビスホスホネートの有用性が失われることはないというのが骨粗鬆症治療でのコンセンサスです。

テリパラチドの特徴

副甲状腺ホルモンには、カルシウムが足りないとき、緊急事態で骨からカルシウムを溶け出させて血中に放出するはたらきがあります。
副甲状腺機能亢進症になると骨量がどんどん減っていきますが、副甲状腺ホルモンを旧1回とか週1回とか間欠的に投与すると骨芽細胞が活性化して骨形成を促進します。
骨折の危険性が高い人の選択肢の一番手です。
症例報告などでは骨癒合を促進するとの報告もあります。
1日1回皮下に自己注射する製剤は24ヶ月間、週に1回医療機関で注射する製剤は、最長72週間までしか使えないという制限があり、投与終了後は、ビスホスホネートヘの切り替えが勧められます。

参考書籍:クレデンシャル2013.8

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