更新日:2017年4月5日.全記事数:3,136件.

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メルカゾールとプロパジールの違いは?


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メルカゾールとプロパジールの違いは?

いずれも甲状腺のペルオキシダーゼを阻害することにより、サイログロブリン分子内のチロシン残基へのヨードの結合を阻害して、甲状腺ホルモンの産生を抑制する。

このチロシン残基のヨード化により、モノヨードチロシン(MIT)とジヨードチロシン(DIT)が作られる。
MITとDITの縮合によりトリヨードチロニン(T3)が、DITとDITの縮合によりチロキシン(T4)が合成されるが、抗甲状腺薬はこの縮合反応も阻害する。

しかしながら、いずれの薬も、既に合成され甲状腺濾胞細胞内に蓄えられているホルモンの分泌を抑制する作用はないので、甲状腺機能の抑制効果に即効性はなく、効果の発現には2~4週間を要する。

なお、チアマゾールはプロピルチオウラシルより早く甲状腺ホルモン量を正常化でき、副作用の発現頻度が低く、1日1回の服用で有効なことから推奨されている。

プロパジールは分割投与が必要であるが、メルカゾールは1日1回投与であるため、コンプライアンスはメルカゾールのほうがいい。
また、患者が受験や就職、結婚などを控えて早期に治療をしたい場合などは薬物療法からアイソトープ治療か外科的治療に変更することも考慮する。

プロパジールとメルカゾールの副作用

プロパジールやメルカゾールは、甲状腺ホルモンの生成を阻害する抗甲状腺薬です。

メルカゾール(チアマゾール)のほうがプロパジール(プロピルチオウラシル)よりも効果が強く、効果の発現が早く、作用時間も長く、服用量が少ないため肝障害などの副作用が少ないというメリットがあり、第一選択薬となってます。

しかし、チアマゾールには、血液系の重大な副作用として汎血球減少や再生不良貧血、無顆粒球症、白血球減少などがあり、無顆粒球症では死亡に至った症例も報告されています。

血液系の副作用対策として、定期的な血液検査の実施と患者への服薬指導の徹底が、添付文書の「警告」欄に記載されています。

プロパジールは肝障害が多い

抗甲状腺剤による肝障害についての報告例は、重症例がほとんどです。重症例の場合は、死亡率が20~30%という恐ろしい副作用です。しかし、そのような重症の肝障害は非常に稀で無顆粒球症より頻度が低い副作用です。日常臨床で遭遇するのは、抗甲状腺剤による軽度の肝障害です。最近、PTUによる劇症肝炎の報告がなされていますので、肝障害が出現したら早めに抗甲状腺剤を中止して、手術やアイソトープ治療で治す方が安全と思います。私は医師として、肝障害があるのにそのまま経過をみるほど度胸はありませんし、さらに患者さんのことを考えると怪しいクスリは中止すべきでしょう。ここで、問題になるのは抗甲状腺剤を中止する決定をするのは、肝障害がどの程度になったときかということです。肝障害といっても、軽度なものから誰がみても異常と思う重症のものまであります。具体的に正常値の何倍くらいになれば、抗甲状腺剤の副作用と考え、クスリを中止すべきなのでしょうか?

今回、わたしは抗甲状腺剤治療前の肝機能が正常かもしくは軽度異常(AST(GOT), ALT(GPT)が100IU/L未満)を示す例で、抗甲状腺剤治療中にAST(GOT)もしくはALT(GPT)が100IU/Lを越えたら副作用と考え、抗甲状腺剤を中止しました<正常値:GOT(AST)9~48IU/L、GPT(ALT)5~49IU/L>。この基準のもとになったのは、長年、伊藤病院で薬剤師をされていた永井育三先生が書かれた『実践服薬指導“抗甲状腺薬”改訂版』(神谷書房;平成11年7月20日改訂版)です。その本の56頁に、「GOT、または、GPTが正常上限から2倍以上の上昇」がみられたときに薬剤性肝障害を疑い、当該薬物を中止すべきであるという記載があります。情報源/更に詳しい情報[054]

メルカゾールのほうが添付文書に警告の記載が赤々とあるので、副作用が危険なイメージがありますが、副作用の発現頻度が多いのはPTU(プロパジール、チウラジール)のほうらしく。

メルカゾールの初期量は15mgでもいい?

以前は、メルカゾール(チアマゾール)30mg/日より治療開始することが標準とされていたが、近年メルカゾール(チアマゾール)15mg/日でも甲状腺ホルモンを正常化する速度に差は無く、かつ副作用が明らかに少ないというメリットが報告されたため、症例によってはメルカゾール(チアマゾール)15mg/日で開始する。

メルカゾール(チアマゾール)は、1日1回の内服でも分服でも効果に差が無いというデータがあるため、内服を忘れないよう1日1回内服とすることが多い。

しかし、一度にチアマゾール6錠とその他の薬を一緒に内服すると1回の薬の数が増えるため、分服とすることもある。

また、もう1つの抗甲状腺薬であるプロピルチオウラシルは、半減期が1~2時間と短いこともあり、2回以上の分服を指示する。

授乳中はメルカゾールよりプロパジール?

ほとんどの薬は授乳中でも問題ありませんが、メルカゾール(チアマゾール)は母乳に移行するため原則禁忌。

プロパジールに変更になることがあります。

しかし、メルカゾールの1日量が15mg以下の人は、服用後8時間以上空ければ授乳が可能。

10mg以下では乳児の甲状腺に影響がないとされています。

メルカゾール(チアマゾール)なら10mg/日以下、プロパジール(プロピルチオウラシル)なら300mg/日以下なら完全に母乳で育児をしていても乳児の甲状腺には影響がないと言われています。

バセドウ病の薬と授乳

抗甲状腺薬は、乳汁移行性が低いプロピルチオウラシルが選択されることが多い。
実際には、ブロピルチオウラシルが450mg/日、メルカゾール(チアマゾール)が20mg/日以内なら乳児への影響は無視できると考えられている。

プロプラノロール塩酸塩の投与が必要な場合には、授乳を中止させるのが一般的で、添付文書にもその旨の記載がある。
また、ヨード剤を服用する場合も授乳を中断させる。
ヨード剤は乳汁移行性が高く、乳児の甲状腺機能に影響を与える恐れがあるからである。

妊婦にはメルカゾールよりプロパジール?

バセドウ病は、甲状腺機能亢進を示す代表的な自己免疫性疾患である。
自己抗体による甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体の刺激が甲状腺機能亢進の主因と考えられている。
甲状腺ホルモン中毒による動悸、 多汗、振戦、食欲亢進、体重減少といった自覚症状のほか、甲状腺のびまん性腫大、眼球突出などが認められる。
また、感染やストレスなどをきっかけに急激に増悪し、高熱、頻脈、意識障害、血圧低下などを伴う甲状腺クリーゼ(バセドウクリーゼ)が起きることがある。
甲状腺クリーゼの予後は著しく不良で、死亡率が20~30%にも上るため、甲状腺機能を十分にコントロールし予防に努める必要がある。

バセドウ病に対する有効な治療法として、(1)抗甲状腺薬を使用した薬物療法、(2)甲状腺亜全摘術、(3)131Iによるアイソトープ治療一などが知られているが、わが国では薬物療法から開始されることが多い。
具体的には、抗甲状腺薬としてチアマゾール(メルカゾール)もしくはプロピルチオウラシル(プロパジール、チウラジール)が使用される。
中等症以上では、抗甲状腺効果が確実に得られるチアマゾールが選択される場合が多いようである。
自覚症状が強い症例では、動悸や振戦などを緩和する目的でプロプラノロール塩酸塩(インデラル)など のβ遮断薬が併用されることがある。
β2受容体の遮断により交感神経の過剰興奮が抑制され、症状が緩和されるものと考えられている。

このバセドウ病は女性に多く、しかも20~30歳代で発症する例が多いため、治療中に妊娠する場合も少なくない。
妊娠中に甲状腺機能のコントロールが不十分だと、母体への影響だけでなく、早流産、先天奇形、妊娠中毒症、胎児発育不全などが起きやすいため、妊娠中も抗甲状腺薬による治療を継続する。

妊婦に対しては、メルカゾール(チアマゾール)よりもプロパジール(プロピルチオウラシル)の方が望ましいとされている。
胎盤通過性や胎児の甲状腺機能抑制については、2剤に大きな差がないと考えられるようになっている。
しかし催奇形性については、2011 年に報告された日本の前向きコホ ート研究の中間報告によると、母親が妊娠初期にチアマゾールを服用した85例のうち5例(5.9%)の児に奇形がみられ、一般的な奇形の発生頻度(0.1%)に比べ高率であることが判明した。
プロピルチオウラシル群121例で奇形の発生はなかった。
母乳への移行性にも大きな違いがある。
具体的には、服用中の母親の血清と母乳の薬物濃度比が、メルカゾール(チアマゾール)で1:1であるのに対し、プロピルチオウラシルでは10:1である。
こうした点から、妊婦および授乳婦にはプロピルチオウラシルの投与が望ましいと考えられており、妊娠早期からプロピルチオウラシルに切り替える医師が多い。

妊婦にメルカゾールは危険?

甲状腺ホルモンやその分泌を抑える薬は、胎盤を通過して胎児に行くことは少なく、催奇形性もないので、妊娠にはほとんど影響がありません。
胎児への効果を期待して、妊娠時に増量することさえあります。
逆に、自己判断で薬を中止したり飲み忘れたりすると、胎児に影響が表れるばかりでなく、甲状腺ホルモンが過剰になり流産や早産の原因になります(正常の約2倍)。

ただ、妊娠初期にメルカゾールを飲んでいた妊婦から生まれた子どもに、特殊な奇形の報告があるので、妊娠を希望する患者にはプロパジールを選択することもあります。

妊婦にはプロピルチオウラシル?

抗甲状腺薬には、プロピルチオウラシル(PTU)の他にチアマゾール(MMI)がある。

一般に使用頻度はチアマゾール(MMI)のほうが高いが、近年、妊娠初期の投与により胎児の臍腸管遺残、頭皮欠損、後鼻孔閉鎖などの奇形との関連が指摘されているため、妊娠予定患者に対してはプロピルチオウラシル(PTU)を選択している。

妊婦とメルカゾール

バセドウ病に対する第一選択薬はプロピルチオウラシル(PTU)で、妊娠中も安全に使用可能とされていたが、2009年4月のPTUの重症肝障害についての勧告後、妊娠第1三半期以外はチアマゾールが第一選択薬という意見が主流になっている。

チアマゾールの使用を妊娠第1三半期で避けるのは、頭皮欠損の症例報告(疫学的証拠はほとんどない)などがあるためである。

プロピルチオウラシル(PTU)は、甲状腺機能亢進症の妊娠中の管理に用いられる抗甲状腺薬の1つであり、ほかにチアマゾールがある。
抗甲状腺薬の使用により胎児の甲状腺腫を惹起する可能性があるとされ、またPTUを使用した妊婦から出生した児の数%で新生児甲状腺機能低下症が認められる。

妊娠中の使用に関して、その効果と安全性についてはPTUとチアマゾールで差がないとの報告があるが、非妊娠時には、チアマゾールのほうが効果と安全性ではPTUより優れていることが明らかとなっている。

特にPTU内服の際には肝障害に注意を要する。

また催奇形性については、ともにベースラインを超える危険性の増大はないとされる。

参考書籍:ファーマトリビューン2011.6、日経DI2011.8、日経DI2012.5、日経DIクイズベストセレクションSTANDARD篇

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