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下肢静脈瘤があるとエコノミークラス症候群になりやすい?
公開. 投稿者:脳梗塞/血栓.この記事は約3分25秒で読めます.
1,317 ビュー. カテゴリ:下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群
下肢静脈瘤と血栓の関係。
下肢静脈瘤があるからといって、エコノミークラス症候群になりやすいという、直接的な因果関係があるわけではない。
静脈瘤があると血のかたまり(血栓)が飛んで脳梗塞や心筋梗塞をおこすのではないかと心配しますが、血栓を心配する必要はありません。
一般に静脈瘤の血栓とは深部静脈血栓症(DVT)のことで、この血栓が移動して肺の血管に詰まった場合(肺塞栓症)、エコノミークラス症候群と呼ばれます。
下肢静脈瘤の患者さんはエコノミークラス症候群をおこす危険性が高い、という海外の論文があります。
しかし、この結果は日本人にすぐに当てはまるものではありません。
エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)は、肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症を併せた疾患概念です。
下肢静脈瘤の静脈は表在静脈で、深部静脈ではありません。
座りがちの女性は肺塞栓症になりやすい。
立ち仕事の多い女性は下肢静脈瘤になりやすい。
下肢静脈瘤もエコノミークラス症候群も同じ姿勢で長時間いると起こりやすい。
下肢静脈瘤で血の塊が出来て、それが脳や肺に飛んで、血栓塞栓を起こすという直接的な因果関係は無い。
しかし、下肢の血管に病状を来す生活習慣的な共通点はあり、間接的に、下肢静脈瘤があるとエコノミークラス症候群になりやすい、ということは言えるのかも知れない。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は、脚の血液を心臓に戻すために必要な逆流防止弁が何らかの影響で壊れてしまい、その下の血管が拡張したり、蛇行を起こしたりしてこぶができる。
出産を経験した女性や立ち仕事をする人に多いとされる。
脚の静脈に常に圧力がかかる→弁が壊れる→血が逆流する→血の圧力で血管が太くなる、という経過をたどり、経年により少しずつ悪くなる。
40代以上の女性の半分に静脈瘤があるとされ、一度できると自然に治ることはない。
皮膚の表面がぼこぼこするなどの症状が出てきたら静脈瘤を疑う。
そのほかの症状で多いのは、血管が浮き出る、だるい、むくむ、疲れやすい、脚がつりやすい、血液が滞留した結果、かゆみや湿疹、潰瘍ができる、など。
対症療法としては、血流が悪くなり血の塊である血栓が肺の血管を詰まらせるエコノミークラス症候群(肺塞栓症)にも効果があるとされる圧迫(弾性)ストッキングの着用。
脚を圧迫することで血液を心臓に戻しやすくする。
マッサージや入浴、ウオーキングなど血液の循環を良くする活動も症状の進行を遅らせるのに効果的。
じっと立っているなど、逆流弁に圧力をかけ続ける姿勢を取らず、足を動かすことが予防になる。
根本的な治療法は、逆流防止弁が壊れてしまった静脈を抜き取る手術(静脈抜去術)と、同様の治療効果を持つレーザー手術がある。
弾性ストッキングで足がキレイになる?
弾性ストッキングというのをご存知ですか?
弾性ストッキングとは、足首部分の圧力が最も高く、心臓に近づくにつれて圧力が低くなるように作られたストッキングのことで、下半身の血の戻りを助ける働きがあります。
そのため、深部静脈血栓症の発症予防やリンパ浮腫、下肢静脈瘤などに医療用として使われています。
下半身の血流をよくするということで、冷えやむくみ、セルライト対策にも有効と言われ、一般でも売れているようです。
血栓・塞栓症
身体の恒常性を維持するためには、酸素運搬機能を有する赤血球に代表される血液成分を喪失しないことがきわめて重要である。
血管が傷ついたときに喪失する血液を最小限にするために、人体には高度に発達した止血機能が作動すると病的血栓が形成される。
心臓、脳などの重要臓器を灌流する血管が血栓性に閉塞すると、これらの臓器機能が損なわれる心筋梗塞、脳梗塞などの疾患を発症する。
また、左房収縮機能が失われる不整脈である心房細動、深部静脈の血流うっ滞が起こるエコノミークラス症候群などでは血流のうっ滞部位に血栓が形成される。
これらの血栓自体は直接症候を呈することはないものの、左房内の血栓が剥がれて脳の血管に塞栓を起こせば症候性の脳血栓塞栓症、深部静脈が剥がれて肺血管に塞栓を起こした場合には肺高血圧の症候を呈する肺血栓塞栓症を発症する。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤とは、下肢の表在静脈が瘤状に拡大したものをいう。
伏在静脈瘤、側枝静脈瘤、網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤に分けられるが、全2者は、比較的大きな静脈の静脈瘤であり、静脈不全によることが多い。
後2者は、細静脈の異常であり、全身性の疾患、先天性など多因子によることが多い。
30歳以上では、約6割に程度の差はあれ、何らかの静脈瘤を有しているといわれている。
女性、高齢者、立ち仕事の人に多いことが知られている。
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