更新日:2017年1月21日.全記事数:3,117件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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チラーヂンS散とチラーヂン末の違いは?


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チラーヂンS散とチラーヂン末の違いは?

チラーヂンの粉、というと2種類ある。
チラーヂンS散とチラーヂン末。(チラーヂン末はすでに販売中止となっています)

チラーヂン末は乾燥甲状腺といい、成分のばらつきがあるため血中濃度の維持がしにくい。
チラーヂンS散は均一な成分のため血中濃度は安定しやすい。

それなので最近はチラーヂンS散、S錠が大きくつかわれています。

チラーヂン末の効能効果は、「粘液水腫,クレチン病,甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性),甲状腺腫,慢性甲状腺炎,甲状腺機能障害による習慣性流産及び不妊症」と範囲が広い。
しかし、チラーヂンS散の効能効果は、「乳幼児甲状腺機能低下症」のみ。
乳幼児にしか適応はない。ある程度の年齢になったら、錠剤でいいだろうということ。しかし、成人にも抗甲状腺薬で下がり過ぎる人に、少量の甲状腺ホルモン製剤でバランスをとることがあり、成人にチラーヂンS散という処方もみかける。

チラージンじゃなくてチラーヂン。よく間違えられます。

甲状腺ホルモン製剤の違いは?

甲状腺ホルモン製剤には、⑴サイロキシン(T4) 製剤のレボチロキシンナトリウム水和物(チラーヂンS)、⑵トリヨードサイロニン(T3)製剤のリオチロニンナトリウム(チロナミン)、(3) T3とT4 が混合した乾燥甲状腺(チラーヂン末)の3 種類がある。
健常成人の場合、甲状腺から分泌されるのは主としてT4 であり、末梢組織内において、より生理活性の強いT3や非活性型のrT3 に転換される。

粘液水腫による昏唾のような急性失調時にはT3 製剤を使用するが、甲状腺機能異常の慢性状態でホルモン量を調節する場合には、一般にT4製剤であるチラーヂンS が用いられる。

乾燥甲状腺はT3 やT4 の含有量が安定していないので、あまり使用されない。
時に、機能低下状態になっていなくても、甲状腺腫を小さくする目的で少量の甲状腺ホルモン薬が投与されることがある。
また、甲状腺機能検査のためにT3製剤が処方されることもある。

T3とT4の違いは?

甲状腺ホルモンにはヨウ素が4つ置換したT4(サイロキシン)と3つ置換したT3(トリヨードサイロニン)の2種類がある。

両者とも甲状腺で作られて血液中に分泌されるが、分泌量はT4が圧倒的に多く、1日当たりT3約4μgに対しT4は約80μgである。

これらは血液中で血漿タンパクと結合して存在し、標的組織で遊離型となり生理活性を示す。

遊離型T3の約80%は遊離型T4から生成される。

FT3とFT4の違いは?

甲状腺疾患の検査値でTSHとかFT3とかFT4という数値。
患者さんから検査値を見せられることもあり、説明を求められることもあるので理解しておきたい。

甲状腺ホルモンにはヨウ素が4つくっついたT4(サイロキシン)と3つくっついたT3(トリヨードサイロニン)の2種類があります。
FT3とFT4のFとは遊離型(Free)の意味です。
甲状腺ホルモンは分泌されると、そのほとんどはタンパク質と結合して血液中を流れていますが、最終的に臓器に作用するのは遊離型のホルモンです。

甲状腺から分泌されるのは主にT4で、血中T3の大部分は末梢組織でT4の脱ヨードにより産生されます。
しかし生体で実際に強い活性を示すのはT3です。
FT4で甲状腺のホルモン産生能力を調べ、FT3で実際の甲状腺ホルモンの作用の程度を調べることができるわけです。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)は甲状腺ではなく、脳から分泌されるホルモンで、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを出させるホルモンです。
甲状腺ホルモンが足りなければ分泌を促し、逆に多ければ分泌を抑制します。

甲状腺疾患と検査値

甲状腺機能低下症の場合、甲状腺ホルモンは低い数値を示し、甲状腺刺激ホルモンは高い数値を示します。
甲状腺ホルモンが不足しているので、甲状腺刺激ホルモンが分泌され甲状腺を刺激しますが、甲状腺ホルモンは低いまま。

甲状腺機能亢進症の場合、甲状腺ホルモンは高い数値を示し、甲状腺刺激ホルモンは低い数値を示します。
甲状腺ホルモンが充足しているので、甲状腺刺激ホルモンは分泌を抑えますが、甲状腺ホルモンは高い状態のまま。

バセドウ病でTSHが低くなるのはなぜか?

バセドウ病とは、甲状腺機能亢進症。

甲状腺ホルモンの値はもちろん高くなる。

で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値は低くなる。

甲状腺機能亢進症なんだから、甲状腺を刺激するホルモンの値も高くなるんじゃないの?と思われがち。

そこはネガティブフィードバックの話。

バセドウ病では、自己抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰産生されます。
甲状腺ホルモンが十分に産生されていれば、甲状腺刺激ホルモンは不要。
これ以上、甲状腺を刺激する必要はない、お役御免、ってことでTSHは低くなるのです。

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コメント

  1. コメントありがとうございます。
    記事中の「乾燥甲状腺末50mg中にT4が55μg、T3が11.7μg含まれ、乾燥末40~60mgがチラーヂンS100μgに相当する。」という部分から換算したものと思われますが、やはり「乾燥甲状腺はT3 やT4 の含有量が安定していないので」、責任が持てませんので返答は差し控えて頂きます。
    ただこの2種類の甲状腺ホルモン製剤を併用する処方を見たことはないので、保険請求上で問題は生じないのか、医師がその通りに処方するのかちょっと疑問はあります。

    yakuzaic:2015/6/15

  2. 私は甲状腺機能低下症患者です。
    この記事は色々大変参考になりました。
    ありがとうございます。
    ところで、今私はチラーヂン末(60mg)にて治療を行っております。
    しかしながら、あすか製薬がチラーヂン末を製造停止しました。
    チラーヂン末で治療をした理由はチラーヂンSでは体調がいつまでもとても悪く、いつも倦怠感に悩まされその上体のあちこちが酷く痛んだ為です。
    そこで、チラーヂンSとチロキシンにて治療をしてもらおうと考えております。
    いま、チラーヂン末を処方してくださっているのは漢方の医者です。
    なので、力価換算は私に任されております。

    普通にチラーヂン末60mgを力価換算致しますと。

    T4の含有量
    50mg:55μg=60mg:X
    X×50=55×60
    X=55×60÷50
    X=11×6
    X=66μg

    T3の含有量
    50mg:11.7μg=60mg:X
    X×50=11.7×60
    X=11.7×60÷50
    X=11.7×6÷5
    X=14.4μg

    チラーヂン末60mg中
    T4は約66μg
    T3は約14.4μg
    含まれることになります。

    リプレースするなら、
    チラーヂンS錠50μg+チラーヂンS錠12.5μg と、
    チロナミン錠5μg×3錠

    という換算で合っておりますでしょうか?

    大変お手数をおかけして申しわけありませんが、どうぞ、お教え下さいませ。

    斉藤 静子:2015/6/9

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