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GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬を併用しちゃダメ?
公開. 投稿者:糖尿病.この記事は約2分10秒で読めます.
29,941 ビュー. カテゴリ:GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の併用
GLP-1受容体作動薬:バイエッタ、ビクトーザ、リキスミア、ビデュリオン、トルリシティ、オゼンピック、リベルサス
と、
DPP-4阻害薬:ジャヌビア/グラクティブ、エクア、スイニー、テネリア、ネシーナ、トラゼンタ、オングリザ、ザファテック
の併用は、保険請求上査定される恐れがある。
併用してはいけないという文言は、添付文書にも記載されていないので、グレーゾーンであり、都道府県によって対応が異なるようであるが、
リリーのホームページには、以下のような記載がみられる。
Q.DPP-4阻害剤とトルリシティ(デュラグルチド)の併用は可能か?併用する場合の注意点は?
A.デュラグルチドとDPP-4阻害剤を併用した臨床試験は実施されておらず、安全性、有効性は検討されていません。デュラグルチドとDPP-4阻害剤を併用する場合、デュラグルチドの血中濃度がデュラグルチド単独投与時に比べて高くなると考えられますので、低血糖や胃腸障害を含む副作用の発現に十分ご注意ください。デュラグルチドとジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤はいずれもグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を介した血糖降下作用を有していますので、併用した場合に保険償還の請求が通らないケースがあるようです。併用した場合に保険償還の請求が通るか否かについては地域の支払基金にお問い合わせください。
デュラグルチドとDPP-4阻害剤を併用した臨床試験は実施されておらず、安全性、有効性は検討されていません(2017年9月時点)。
併用しちゃダメじゃないけど、保険請求上通らないかも。
とか言われたら、併用しないのが大人な対応なのだろう。
それなら、添付文書にダメってはっきり書いてほしい。
GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の違い
インクレチン関連薬は、GLP-1受容体を薬理学的な活性型GLP-1濃度でGLP-1受容体を活性化したGLP-1受容体作動薬、DPP-4を阻害しGLP-1とGIPの失活を防ぐことで作用を維持するDPP-4阻害薬に分類されます。
GLP-1受容体作動薬は注射薬であり、現在国内外で販売されている薬剤では1日1~2回の自己注射による投与が必要となります。
体重減少作用を認めることが利点の一つです。
血糖降下作用はDPP-4阻害薬と比べて強いことが報告されています。
DPP-4阻害薬は経口投与可能な薬剤であり服薬が容易という利点がありますが、GLP-1受容体作動薬とは異なり体重減少作用は認められません。
GLP-1受容体アゴニスト | DPP-4阻害薬 | |
---|---|---|
剤形 | 注射薬 | 経口薬 |
GLP-1濃度 | 薬理量 | 生理量 |
作用機序 | GLP-1作用 | GLP-1およびGIP作用 |
インスリン分泌促進 | あり | あり |
グルカゴン分泌抑制 | あり | あり |
胃内容排出 | 抑制 | 作用なし |
体重減少 | あり | なし |
悪心・嘔吐 | あり | なし |
インクレチン・エンハンサーとインクレチン・ミメティクス
インクレチン関連薬は、インクレチンの分解酵素を選択的に阻害する「インクレチン・エンハンサー」と、インクレチンの受容体を刺激する作用を持つ「インクレチン・ミメティクス」の二つに大別できる。
DPP-4阻害薬はインクレチン・エンハンサーで、GLP-1受容体作動薬はインクレチン・ミメティクスになる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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