2019年1月22日更新.3,354記事.5,859,380文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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尿中排泄率が低い=腎排泄型じゃない?

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腎排泄型と肝排泄型

薬には主に肝臓で代謝される薬(肝排泄型薬物)と、腎臓で排泄される薬(腎排泄型薬物)に分けられます。
薬は肝臓も腎臓も通過するのですが、肝臓で代謝されて薬効を失い、尿中に排泄される未変化体の割合が大体40%以下の場合を肝排泄型といい、一方、肝臓で代謝されにくく未変化体のまま腎臓を通過する割合が60%以上のものを腎排泄型と呼んでいます。中間の40%~60%を肝・腎排泄型と呼ぶ場合があります。

腎排泄型薬物…尿中未変化体排泄率 60%以上
肝排泄型薬物…尿中未変化体排泄率 40%以下
肝・腎排泄型…中間の40%から60%のものをいう

尿中排泄率が低い=肝排泄型薬物ということ。だと思っていた。

ウブレチド(臭化ジスチグミン)の薬物動態の排泄に関する項目をみると、以下のように書かれている。

健常成人に14Cジスチグミン臭化物5mgを単回経口投与した結果、投与216時間後までの尿及び糞中への累積排泄率は、それぞれ6.5%及び88.0%であった。0.5mgを単回静脈内投与した結果、尿及び糞中への累積排泄率は、それぞれ 85.3%及び3.9%であった。
これらのことから、主な排泄部位は腎である。

この尿中排泄率6.5%だけを指標に薬物動態を考えると、尿中排泄の少ない薬剤と捉えてしまいがちである。
しかし、バイオアベイラビリティ(4.65%)を考慮すると、吸収された臭化ジスチグミンは216時間後には100%排泄されることになり尿中排泄率の高い薬剤といえる。

臭化ジスチグミンの添付文書では、腎機能障害のある患者は慎重投与とされているが、明確な減量基準は示されていない。
腎機能が低下傾向にある高齢者では、意識障害を伴うコリン作動性クリーゼ(【初期症状】悪心・嘔吐、腹痛、下痢、唾液分泌過多、気道分泌過多、発汗、徐脈、縮瞳、呼吸困難など、【臨床検査】血清コリンエステラーゼ低下)が現れる危険性が報告されている。

ゾビラックスは腎排泄型?

ゾビラックス錠の添付文書の薬物動態の項目をみると、

健康成人にアシクロビル200mg及び800mgを単回経口投与した場合、48時間以内にそれぞれ投与量の25.0%及び12.0%が未変化体として尿中に排泄された。

と尿中未変化体排泄率をみると低くなっており、まるで肝排泄型薬物のように感じてしまう。

しかし、ゾビラックス点滴静注用の添付文書の薬物動態の項目をみると、

健康成人へ5又は10mg/kgを1時間点滴静注した時、48時間以内にそれぞれ68.6%又は76.0%が未変化体として尿中排泄された。

と書かれている。

同じ薬物でも経口剤と注射剤では尿中未変化体排泄率が違うのか?と疑問を感じる人もいるかもしれないが、そんなはずはない。
尿中未変化体排泄率は静注投与した場合のデータを採用するのが当然なのに、生体内利用率(バイオアベイラビリティ:ゾビラックス錠の場合、経口投与量のうち何%が血中に移行したか)を記載せずに尿中未変化体排泄率のデータを書いていることが問題である。
ちなみに文献データによるとアシクロビル錠のバイオアベイラビリティは15~30%と記載されているため、そのうち12~25%が排泄されるということは完全な腎排泄性薬物である。
しかし添付文書の「投与量の25.0%及び12.0%が未変化体として尿中に排泄された」という表現は投与設計に全く役に立たないばかりか、かえって誤解を生じることが危惧される。
ちなみにアシクロビルの投与量が高くなればなるほど吸収率が低下するため、小腸におけるアシクロビルの吸収は受動拡散ではなく何らかのトランスポータを介して吸収されるものと考えられる(トランスポータによる吸収は飽和過程がある)。

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