2018年12月18日更新.3,342記事.5,770,694文字.

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炎症性腸疾患の勉強まとめ

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分類商品名一般名
炎症性腸疾患治療薬サラゾピリンサラゾスルファピリジン
炎症性腸疾患治療薬ペンタサメサラジン
炎症性腸疾患治療薬アサコールメサラジン
炎症性腸疾患治療薬リアルダメサラジン
炎症性腸疾患治療薬ステロネマベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
炎症性腸疾患治療薬プレドネマプレドニゾロンリン酸エステルナトリウム
炎症性腸疾患治療薬ゼンタコートブデソニド
炎症性腸疾患治療薬レクタブルブデソニド

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)は、炎症性腸疾患(IBD)と総称され、寛解と再燃を繰り返しながら慢性に経過します。
両疾患の原因は不明ですが、遺伝的素因に食餌や感染などの環境要因が複雑に関与し、腸管の免疫系に異常をきたして炎症が生じると考えられています。

潰瘍性大腸炎(UC)

・病変は大腸に限局する
・通常、直腸側から口側に連続性・びまん性の病変(びらんや潰瘍)
・主として粘膜層の炎症
・病変の範囲により、大きく〔直腸炎型〕、〔左側大腸炎型〕、〔全大腸炎型〕に分類される

クローン病(CD)

消化管の慢性炎症性疾患の1つ。
遺伝的素因に環境因子が関与し、腸管免疫の過剰応答が生じて、発症、増悪すると考えられているが、本質的な病因は明らかになっていない。
口腔から肛門まで消化管のどの部分にも病変を生じ得るが、小腸、大腸(特に回盲部)、肛門周囲に好発する。
好発年齢は10代後半から20代で、男女比は2対1。腹痛、下痢、血便、発熱、肛門周囲症状、体重減少などの症状を呈し、寛解と再燃を繰り返して持続するため、QOLが低下し、社会生活が損なわれることも少なくない。
厚生労働省の定める指定難病の1つ。
現時点では根治療法はなく、治療目標は、炎症反応の抑制、組織の治癒、症状の軽減とされる。

・病変は口腔から肛門までの全消化管に及ぶ(小腸から大腸〔特に回腸末端部〕、肛門周囲に好発)
・非連続性の病変(縦走潰瘍、敷石像など)
・消化管壁全層に及ぶ炎症
・栄養障害に陥りやすい
・再燃を繰り返す経過中に狭窄や瘻孔*4、腸閉塞などの腸管合併症をきたす
・主病変(縦走潰瘍、敷石像、狭窄)の存在部位により、大きく〔小腸型〕、〔大腸型〕、〔小腸大腸型〕に分類される

炎症性腸疾患と栄養障害

UCやCDは、下記の理由などから、栄養障害となる可能性が考えられます。
 ・消化・吸収能の低下や下痢などによる栄養素の喪失
 ・発熱、潰瘍などの組織修復や、感染によるエネルギー消費量の増大
 ・食事摂取に伴い、腹部膨満や腹痛の増強、下痢の増悪、血便の悪化をきたすことから、食事摂取を控える傾向
特に小腸病変を有するCDの場合、栄養障害に陥りやすいとされています。

5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤

5-ASA製剤は、UC、CDにおける基本薬として、主に軽症から中等症の寛解導入及び寛解維持に使用されます。
5-ASAは優れた抗炎症作用を発揮しますが、経口投与では大部分が小腸で吸収されてしまうため、病変部位に十分量が送達されるように工夫された製剤が開発されています。薬剤・剤形の選択にあたっては、病変範囲や使用感、服薬アドヒアランスなどを考慮します。なお、UCにおいては用量依存性に寛解導入効果が高まるため、経口剤は可能な限り高用量の投与を基本とします。

【サラゾピリン】
大腸の腸内細菌により、スルファピリジンと5-ASAに分解され効果を示す。
そのため、クローン病では、大腸型の治療に限定して使用される。

【アサコール】
pH依存性コーティングがpH7以上で溶解し、回腸末端から大腸全域にかけて5-ASAが放出される。

【リアルダ】
アサコールの特性に加え、親水性基剤と親油性基剤からなるマトリックス中にメサラジンを分散させた素錠部があり、コーティング溶解後も徐放性をもって5-ASAが放出される。

【ペンタサ】
メサラジンをエチルセルロースの多孔性被膜でコーティングし、時間依存性に小腸から大腸にかけて5-ASAが放出される。
坐剤はS状結腸より口側の炎症、注腸剤では脾彎曲部より口側の炎症には効果が期待できない。

ステロイド剤

ステロイド剤は、UC、CDの寛解導入に使用されます。ステロイド剤は抗炎症作用を示しますが、長期にわたって投与をした場合、易感染性、骨粗鬆症などの副作用につながる可能性があるため、効果が得られた後は、漸減中止を行います。

ブデソニドは、肝初回通過効果が大きく、体循環系に入る前に肝臓で活性の低い代謝物に代謝されます。そのため、全身への曝露が少なく、従来のステロイド剤と比較して全身性の副作用が軽減されると考えられています。現在、経口剤と注腸剤が発売されています。

【ゼンタコート】
軽症から中等症の寛解導入に使用される。
ブデソニドを含有する腸溶コーティングの顆粒を充填した製剤であり、回腸から上行結腸を中心にブデソニドを徐々に放出するように設計されている。

【レクタブル】
腸管内における薬液の保持性が高いため、立位で投与可能であり、投与後に肛門から薬液が漏れることが少ない。
腸内で到達する範囲は概ねS状結腸部までであり、直腸型およびS状結腸部の病変に対して使用される。

その他の製剤

免疫調節剤、免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤は、主に中等症から重症例に使用されます。これらの薬剤は、免疫系を抑制することから、感染症リスクを増大させるため使用に際しては注意を要します。

免疫調節剤

【アザニン・イムラン】
臨床的な効果発現に数週間~数か月を要する。主にステロイド依存例の寛解維持に使用される。
妊婦への投与について、国内外の成書及びガイドラインの記載や臨床報告では、先天性奇形発生率に有意な差が認められていないことなどから、2018年7月に添付文書の「禁忌」の項から削除された。

免疫抑制剤(カルシニューリン阻害剤)

【プログラフ】
ステロイド依存例・抵抗例に使用される。
主にTリンパ球におけるシグナル伝達を抑制し、サイトカインの産生を抑制する。
通常、3か月までの投与とされ、効果が得られた後は、免疫調節剤による寛解維持療法を行う。
有効濃度の維持や副作用発現予防のため、血中トラフ値のモニターを行う。本剤食後投与時の経口吸収性は、平均的に絶食下服薬時の約60%と推定されているため、食事の影響を考慮した用量調節が必要である。

生物学的製剤(抗TNFα抗体製剤)

【ヒュミラ、レミケード、シンボニー】
他の薬物治療(5-ASA製剤、ステロイド剤、免疫調節剤など)やクローン病における栄養療法で、効果不十分または不耐例に使用される。
炎症に関わるサイトカインの1つであるTNF-αの働きを阻害し、抗炎症作用を示す。
抗TNFα抗体製剤による寛解維持療法では、次第に効果が減弱していく二次無効を生じることがある。

生物学的製剤(抗IL-12/23p40抗体製剤)

【ステラーラ】
他の薬物治療(5-ASA製剤、ステロイド剤、免疫調節剤など)やクローン病における栄養療法で、効果不十分または不耐例に使用される。
TNFなどの産生を促進するIL-12及びILー23の共通構成蛋白であるp40に特異的かつ高い親和性で結合し、炎症性サイトカインの産生を抑制する。
クローン病の寛解導入及び寛解維持に使用される薬剤で、初回に点滴静注製剤を投与し、2回目から皮下注製剤を投与する。効果減弱例には、皮下注製剤の投与間隔を短縮できる。

JAK阻害剤

【ゼルヤンツ】
ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤の少なくとも1例で効果不十分な場合の寛解導入及び寛解維持に使用される。
炎症性サイトカインの細胞内シグナルに関与するJAKを阻害することにより、シグナル伝達を遮断し、炎症や免疫反応を抑制する。

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