2018年12月17日更新.3,341記事.5,769,925文字.

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機能性胃腸症の勉強まとめ

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機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシア(FD)は、症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないにもかかわらず、胃・十二指腸領域に由来すると思われる症状を慢性的に呈する疾患です。日常診療において、腹部の愁訴を訴える患者は多く、日本におけるFDの有病率は、健診受診者の10%程度、上腹部症状を訴え病院を受診した患者の半数程度と報告されています。

FDは主な症状によって、食後愁訴症候群(PDS)と心窩部痛症候群(EPS)に分類されます。実際にはPDSとEPSが併存することも少なくありません。

【食後愁訴症候群(PDS)】
①煩わしい食後膨満感
食物がいつまでも胃内に停滞しているような不快感(胃もたれ)
②早期飽満感
食事開始後、すぐに胃がいっぱいになるような感覚

【心窩部痛症候群(EPS)】
③心窩部痛
心窩部に生じる非常につらく、差し込むような不快な自覚症状(痛み)
④心窩部灼熱感
心窩部に生じる熱感を伴う不快な自覚症状

機能性消化管疾患(FGID)

通常の臨床検査では症状の原因となりうる器質的病変を見出せないにもかかわらず、消化器症状が長期間持続もしくは再燃・寛解を繰り返す疾患群を機能性消化管疾患(FGID)と総称します。FGIDは、心理社会的因子と消化管の運動・知覚などの生理機能が相互に作用することで病態が形成されていると考えられています。そのため、心理社会的因子を共通の背景として、複数のFGIDを合併する患者や精神疾患を合併するFGID患者も多く存在します。
【機能性食道障害】
胸やけ、胸痛、嚥下困難など
【機能性胃十二指腸障害】
機能性ディスペプシア(FD)、曖気(げっぷ)、悪心・嘔吐など
【機能性腸障害】
過敏性腸症候群(IBS)、機能性便秘・下痢など 
【機能性直腸肛門障害】
便失禁、肛門痛、排便障害など

機能性ディスペプシア治療薬

機能性ディスペプシア(FD)に対する有効性が示されている薬剤には、酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬、抗うつ薬、抗不安薬、漢方薬があり、推奨の強さから初期治療と二次治療に用いられるものに分けられています。

FDの初期治療では、食後愁訴症候群(PDS)に対しては主に消化管運動機能改善薬が、心窩部痛症候群(EPS)に対しては主に酸分泌抑制薬が用いられます。
実際には、PDSとEPSが併存することも多く、併用療法も考慮されます。
なお、現在、「機能性ディスペプシア」の効能・効果を有する薬剤はアコチアミドのみです。

【酸分泌抑制薬】
酸分泌抑制薬は、痛みを中心とするEPSに対する改善効果が報告されています。
また、十二指腸への胃酸の流入を抑えることで、PDSに対しても改善効果が期待されています。
[ヒスタミンH2受容体拮抗薬][プロトンポンプ阻害薬][ムスカリン受容体拮抗薬]

分類医薬品名一般名
ヒスタミンH2受容体拮抗薬タガメットシメチジン
ヒスタミンH2受容体拮抗薬アシノンニザチジン
ヒスタミンH2受容体拮抗薬ガスターファモチジン
ヒスタミンH2受容体拮抗薬ザンタックラニチジン
ヒスタミンH2受容体拮抗薬プロテカジンラフチジン
ヒスタミンH2受容体拮抗薬アルタットロキサチジン
プロトンポンプ阻害薬ネキシウムエソメプラゾール
プロトンポンプ阻害薬オメプラゾール、オメプラゾンオメプラゾール
プロトンポンプ阻害薬パリエットラベプラゾール
プロトンポンプ阻害薬タケプロンランソプラゾール
ムスカリン受容体拮抗薬チアトンチキジウム
ムスカリン受容体拮抗薬ガストロゼピンピレンゼピン

【消化管運動機能改善薬】
消化管運動機能改善薬とは、消化管運動機能を改善するとともに、胃・十二指腸の知覚過敏の改善効果を示す薬剤の総称です。
作用機序は薬剤によって異なりますが、主に副交感神経系に作用することで消化管運動機能を改善すると考えられています。

副交感神経は、節後線維から遊離されるアセチルコリン(ACh)により、主に消化管平滑筋のM3受容体を刺激し、消化管運動を促進します。
AChの遊離は、5-HT4受容体やドパミンD2受容体、オピオイド受容体などを介した、種々の神経伝達物質によって制御されています。

分類医薬品名一般名アセチルコリン
コリンエステラーゼ阻害薬アコファイドアコチアミド分解抑制
ドパミンD2受容体拮抗薬ガナトンイトプリド遊離促進
ドパミンD2受容体拮抗薬ナウゼリンドンペリドン遊離促進
ドパミンD2受容体拮抗薬プリンペランメトクロプラミド遊離促進
5-HT4受容体作動薬ガスモチンモサプリド遊離促進
オピオイド受容体作動薬セレキノントリメブチン遊離調節

セレキノン

トリメブチンは、消化管運動低下状態では交感神経系のオピオイドμ受容体を抑制することで、副交感神経からのACh遊離を促進する。

一方、消化管運動亢進状態では、副交感神経のオピオイドκ受容体を刺激することでAChの遊離を抑制する。また、消化管平滑筋に対する直接的な作用もあると考えられている。


アコファイド

アコファイド(アコチアミド)はアセチルコリンエステラーゼを阻害してコリン作動性神経終末から遊離されたアセチルコリンの分解を抑制することで、コリン作動性の胃の正常な運動機能を取り戻す、胃の運動を増強する作用を持つ薬です。

胃の運動は、食事をしたときに副交感神経から分泌されるアセチルコリンによって起こる。
アセチルコリンが平滑筋のムスカリン受容体(主にM3受容体)に結合することで、胃の収縮や胃酸の分泌が生じる。
しかしFD(機能性胃腸症)患者では、心理的ストレスなどによりアセチルコリンの分泌能が弱まり、胃の運動機能が低下している。
そのために起こる諸症状に、コリンエステラーゼ阻害薬のアコファイドが奏功する。

アセチルコリンエステラーゼ阻害作用により胃以外の消化管の運動も亢進する可能性があるため、下痢や便秘、悪心、嘔吐といった副作用に注意したい。

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