2018年12月15日更新.3,343記事.5,774,149文字.

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高尿酸血症の勉強まとめ

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分類商品名一般名
痛風発作治療薬コルヒチンコルヒチン
尿酸排泄促進薬ベネシッドプロベネシド
尿酸排泄促進薬パラミヂンブコローム
尿酸排泄促進薬ユリノームベンズブロマロン
尿酸生成抑制薬フェブリクフェブキソスタット
尿酸生成抑制薬ウリアデック/トピロリックトピロキソスタット
尿酸生成抑制薬ザイロリックアロプリノール

高尿酸血症

高尿酸血症は、血液中の尿酸濃度が正常域を超えて上昇した状態です。
この状態が持続すると、尿酸は体液中に溶けきれず結晶化して、尿酸塩沈着症(痛風関節炎、腎障害など)の原因となります。

具体的数値としては、血中尿酸濃度が7mg/dLを超えると高尿酸血症とする。
血清尿酸値には著明な性差があるが(男性>女性)、血清尿酸の飽和濃度に性差はないため、高尿酸血症の定義に性差は設定されていない。

高尿酸血症の原因

DNAの合成に不可欠な物質であるプリン体の産生過剰あるいは排泄低下がその原因である。
高尿酸血症は、原因により「原発性高尿酸血症」と「二次性高尿酸血症」に分類されます。高尿酸血症の多くは原発性であり、一般には遺伝的要因に尿酸値を上昇させる環境要因が加わることで発症すると考えられています。

生活習慣病として誰にでも起こりうる。
体が合成する尿酸は食物由来の尿酸より数倍多いとされ、肥満が決定的な危険因子となる。
プリン体の多い煮干しやレバー、白子などは長期にわたって大量に摂取すれば危険因子である。

高尿酸血症の病型

健常者では、尿酸の産生と排泄の量がほぼ同量であるため、体内の尿酸は一定量に保たれています。
一方で、高尿酸血症の患者では、尿酸の産生と排泄のバランスが崩れることで血清尿酸値が上昇しています。
高尿酸血症は、その成因によって「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」「混合型」の病型に分類されます。

【健常者】
尿酸産生量:約700mg / 日
体内尿酸量:約1,200mg
尿酸排泄量 :尿中:約500mg / 日、汗・消化液など:約200mg / 日
尿中尿酸排泄量 0.483~0.509 尿酸クリアランス 7.3~14.7

【尿酸産生過剰型】
原発性高尿酸血症の約10%
尿中尿酸排泄量>0.51 および 尿酸クリアランス≧7.3

【尿酸排泄低下型】
原発性高尿酸血症の約50~70%
尿中尿酸排泄量<0.48 あるいは 尿酸クリアランス<7.3

【混合型】
原発性高尿酸血症の約20~30%
尿中尿酸排泄量>0.51 および 尿酸クリアランス<7.3

高尿酸血症の病期分類では、尿酸の産生量・排泄量を測定します。尿酸の産生量を直接測定することは難しいため、通常は尿中尿酸排泄量 [ mg/kg/ 時 ] から推測します。一方で、尿酸の排泄量は尿酸クリアランス [ mL/ 分 ] の多寡により検討されます。これらの測定を治療開始前に少数回行うことで、病型分類が可能となります。

尿酸

尿酸は、ヒトにおけるプリン体(プリン環を持つ物質の総称で、生体内エネルギーや核酸に利用される)の最終代謝産物です。
血液などの体液には難溶性であり、pHや温度の低下によって溶解度が低下すると、結晶として析出します

生体内のプリン体は、食事からの摂取、または肝臓などでの合成に由来しており、キサンチンオキシダーゼの働きによって尿酸へ変換されます。
尿酸は主に腎臓から、残りは腸管や汗などから排泄されます。
尿酸は、腎糸球体で濾過されたのち、尿細管での再吸収・分泌によって、尿中排泄量が調整されます。
健常者では、尿酸の産生量と排泄量は同等であり、体内の尿酸は一定量に保たれています(尿酸プール)。

痛風

痛風は、高尿酸血症を背景として、針状の尿酸塩結晶が関節などの組織へ析出・沈着することで生じます。
尿酸塩結晶の析出部位によって特定の臨床症状があらわれ、代表的なものに痛風関節炎や痛風結節などがあります。

痛風の主症状である急性の痛風関節炎は、白血球が尿酸塩結晶を貪食した際に放出する炎症性物質などによって生じます。
なお、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると、数値が高くなるに従って発症リスクが高まるとされています。

・痛風関節炎の多くは、親指の付け根にあるMTP関節(第一中足趾節関節、metatarsopharangeal joint)などの下肢関節に生じ、24時間以内に炎症のピークに達する。疼痛や腫脹が激しく、ときに歩行困難になるが、7~10日程度で軽快し、次の発作までは無症状(間欠期)となる。
・一般には、一度の発作につき単一の関節が冒され、発症は夜間が多い。
・人によっては前兆期の症状(発作前に足がむずむず・ぴりぴりするなど)を自覚する。

痛風結節

慢性期の痛風では、痛風結節(尿酸塩を中心とした肉芽組織)が出現します。
・痛風結節は無痛性で、血流の乏しい部位(足趾、足背、手指、肘関節、耳介など)に好発する。
・関節周囲に発生した場合、X線写真にて骨の萎縮が認められたり、重篤になると関節が変形することがある。
・痛風結節は、高尿酸血症の治療に反応して縮小する。

高尿酸血症の合併症

高尿酸血症の状態が長期間にわたって持続すると、尿酸塩沈着症(痛風関節炎、腎障害など)が合併します。
また、多くの高尿酸血症患者は、肥満や脂質異常症、高血圧、糖尿病などを合併することが知られています。
これらの病態は動脈硬化を引き起こすことで、虚血性心疾患や脳血管障害につながる可能性があります。

【腎障害】
高尿酸血症と腎障害は密接な関係にあり、尿酸塩結晶の沈着や合併する高血圧、糖・脂質代謝異常などによる腎臓の細動脈硬化などによって、腎障害が生じます。
高尿酸血症による腎障害は痛風腎と呼ばれ、尿細管・間質障害をきたします。

【尿路結石】
尿路結石を誘発する要因には、①尿量低下あるいは水分摂取不足、②尿中尿酸排泄量の増加、③酸性尿の存在が挙げられ、とくに持続する酸性尿は最も大きな危険因子とされています。
高尿酸血症では必ずしも尿路結石の頻度が増加するわけではありませんが、高尿酸血症の薬物治療に伴って結石形成が促進されることがあり注意が必要です。
純粋な尿酸結石よりも、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどのカルシウム塩結石が多い。

【高血圧・心血管疾患】
・血清尿酸値は、高血圧発症の独立した予測因子であることが示されており、血清尿酸値が上昇するにつれて高血圧の合併率が高くなると報告されている。
・高尿酸血症は、腎臓および血管系の機能障害をもたらすことで高血圧発症に関与すると考えられている。
・高尿酸血症が独立した心血管疾患の危険因子であるかは明確になっていない。

【脂質異常症】
内臓脂肪の蓄積によって生じる脂質異常症は、高トリグリセライド血症やインスリン抵抗性を引き起こすことで、尿酸の排泄低下や生成促進に関与する可能性が示されている。

【メタボリックシンドローム】
・血清尿酸値の上昇に伴ってメタボリックシンドロームの頻度は増加する。
・内臓脂肪の蓄積に伴って血清尿酸値は上昇する。
・高尿酸血症は、メタボリックシンドロームの診断基準には含まれていないが、メタボリックシンドロームの周辺徴候であることが示されている。また、痛風患者でもメタボリックシンドロームは高頻度にみられ、動脈硬化性疾患の発症に一部関与していると考えられる。
・高インスリン血症は、腎尿細管における尿酸の再吸収を増加させ、血清尿酸値を上昇させる。

高尿酸血症の治療薬

痛風発作(急性の痛風関節炎)は患者のQOLを著しく低下させるため、炎症を鎮静化させ、患者の苦痛を除去することを治療の目的とします。
また、痛風発作を経験している患者では、痛風の原因である高尿酸血症の治療が重要となります。

痛風発作の治療手段としては、コルヒチン、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、副腎皮質ステロイドを選択します。
なお、痛風発作時には、できるだけ患部を安静に保持・冷却し、禁酒を指示します。

薬物治療によって血清尿酸値を6.0mg/dL未満に維持することで、痛風結節を縮小・消失させ、再発を予防することができます。
また、自壊して感染を伴ったり、機械的刺激となったり、神経圧迫による疼痛抑制を必要とする場合は摘出術も考慮します。なお、摘出術を行った後も薬物治療は必要です。

高尿酸血症の治療では、体組織への尿酸塩沈着を解消し、痛風関節炎や腎障害などの尿酸塩沈着症を回避することを目指します。
また、高尿酸血症・痛風の生命予後に関係する肥満や高血圧、糖・脂質代謝異常などの合併症についても配慮します。
高尿酸血症の治療では、血清尿酸値、痛風関節炎または痛風結節の有無、合併症の有無などに応じて、適切な生活指導や薬物治療を行います。
治療目標としては、血清尿酸値を3~6か月かけて徐々に低下させ、6.0mg/dL以下を維持することが望ましいとされています。

[痛風関節炎または痛風結節のある場合]
血清尿酸値が7.0mg/dLを超え、痛風関節炎を繰り返す症例や痛風結節を認める症例では、生活指導に加えて薬物治療を行います。

[痛風関節炎または痛風結節のない場合(無症候性高尿酸血症)]
痛風発作、痛風結節、腎障害などの臨床症状のない高尿酸血症は「無症候性高尿酸血症」と呼ばれ、この段階で症状の発症を防ぐために、下記のような治療により血清尿酸値を低下させることが望ましいとされています。
・生活習慣の改善にもかかわらず、血清尿酸値が9.0mg/dL以上の無症候性高尿酸血症には薬物治療を考慮する。
・尿路結石や腎障害、高血圧などの合併がある場合は、血清尿酸値が8.0mg/dL以上で薬物治療を考慮する。

コルヒチン

コルヒチンは、発作を頓挫させるため、発作早期(前兆期)に少量用いることが一般的です。
また、発作が頻発する場合や、尿酸降下薬の投与開始後に血清尿酸値の低下に伴う痛風発作が予想される場合には、コルヒチン1日1錠を連日投与することがあります(コルヒチン・カバー)。

局所に浸潤した白血球の作用を阻止することで痛風発作を抑制する
・CYP3A4で代謝されるため、この酵素系に関与するシメチジン、エリスロマイシン、ニフェジピンなどとの薬物相互作用に注意する。
・主な副作用には、腹痛や下痢、嘔吐、筋痙攣などがあり、これらはいずれも24時間以内に出現する。

NSAIDs

NSAIDは、痛風発作の極期に短期間に限り比較的多量に投与し、炎症を抑制します(NSAIDパルス療法)。
また、激痛が軽減したあと(回復期)も関節痛が持続し日常生活に支障をきたす場合は、NSAIDを常用量投与します。
痛風関節炎が軽快すれば、NSAIDの投与を中止します。

シクロオキシゲナーゼを阻害することでプロスタグランジンの 産生を抑制し、抗炎症・鎮痛・解熱作用を示す。
・胃粘膜障害や腎障害の悪化などの副作用に注意する。腎障害や下肢の浮腫がある患者では、腎障害の少ないNSAIDを選択したり、NSAIDを使用せず副腎皮質ステロイドを選択したりしてもよい。
・ワルファリン投与中の患者では薬物相互作用に注意し、NSAIDを使用せず副腎皮質ステロイドを選択する。
・アスピリンは、尿酸値の変動(低下)を招き症状を増悪させる可能性があるので、痛風発作治療では避けるべきとされる。

副腎皮質ステロイド

副腎皮質ステロイドは、NSAIDが使用できない患者やNSAID投与が無効だった場合、多発性に関節炎を生じている場合などに経口で用いられます。
また、膝・肘関節などに水腫を伴う関節炎を有する場合には、関節を無菌的に穿刺して関節液を排液、除去した後に副腎皮質ステロイドを注入します。

尿酸降下薬

血清尿酸値を下げる薬を総称して尿酸降下薬と呼びます。
尿酸降下薬には、尿酸産生抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。

①尿酸降下薬による血清尿酸値の変動は、痛風発作を発生・増悪させることがある。そのため、尿酸降下薬を服用していない場合に生じた痛風発作には、尿酸降下薬を投与せず NSAIDパルス療法を用いる。
②尿酸降下薬は、痛風関節炎の寛解約2週間後に少量(ベンズブロマロン12.5mg、アロプリノール50mg、フェブキソスタット10mg)で開始する。投与開始初期には、痛風関節炎の発症を防止するため、少量のコルヒチンを併用するとよい。
③すでに尿酸降下薬を服用している場合に生じた痛風発作には、尿酸降下薬の使用を中断せず NSAID パルス療法を併用する。

【尿酸排泄促進薬】
近位尿細管での尿酸再吸収を抑制し、尿酸排泄を促進する
・ベンズブロマロンは、頻度は低いが劇症肝炎などの重篤な肝障害をきたすことがあるため、投与開始後6か月は定期的な肝機能検査が義務付けられる。
・ブコロームおよびベンズブロマロンは、CYP2C9を阻害するため、CYP2C9で代謝されるワルファリンなどの薬剤との併用に注意する

【尿酸生成抑制薬】
キサンチンオキシダーゼを抑制し、尿酸産生量を減少させる
・アロプリノールの活性代謝産物であるオキシプリノールは腎排泄されるため、腎機能の低下による副作用発現に注意する。
・フェブキソスタットは肝代謝によって不活化されてから胆汁と腎臓から排泄されるため、軽度~中等度の腎機能低下患者でも通常用量で治療できる。

尿アルカリ化薬

高尿酸血症などによって血液中の尿酸量が増えると、尿が酸性に偏りやすくなります。この状態であると、尿路結石が生成されやすくなります。

そこで、尿をアルカリ性に近づけることによって痛風や高尿酸血症による「尿の酸性化」を防ぎ、尿路結石を溶かすようにします。このような薬としてクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム(ウラリット)があります。

代謝産物である重炭酸イオンの排泄に伴い尿をアルカリ化する
・過度な尿アルカリ化は、逆にリン酸カルシウムや尿酸ナトリウムの析出を促進するため、pH6.0~7.0に維持されるよう用量を調節する。

高尿酸血症の食事療法

過食や高プリン・高脂肪・高蛋白質食嗜好、常習飲酒、運動不足などの生活習慣は、高尿酸血症の原因となるばかりでなく、肥満、高血圧、糖・脂質代謝異常、メタボリックシンドロームなどの合併と深く関与します。
そのため、血清尿酸値が7.0mg/dLを越える患者では、適切な生活指導による生活習慣の是正が大切です。

食事療法としては、適切なエネルギー摂取、プリン体・果糖の過剰摂取制限、十分な飲水が勧められます。
・肥満傾向にある高尿酸血症では、肥満の解消により血清尿酸値の改善が期待されるため、糖尿病治療に準じた摂取エネルギーの適正化を図る。
・高プリン食を極力控え、プリン体として400mg/日を越えないことが望ましいとされる。
・果糖やショ糖を含む食品は、血清尿酸値を上昇させることが報告されているため、過剰摂取に注意する。
・野菜や海藻類などのアルカリ性食品は、尿酸の尿中への溶解度を高めるため、摂取が勧められる。
・尿酸の尿中飽和度を減少させるため、十分な水分摂取が勧められる(尿量2,000mL/日以上の確保を目標とする)。

食品のプリン体含有量(100gあたり)
極めて多い(300mg~)鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、あんこう肝酒蒸し
多い(200~300mg)豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物
少ない(50~100mg)ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛タン、マトン、ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、ツミレ、ほうれんそう、カリフラワー
極めて少ない(~50mg)コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼ちくわ、さつま揚げ、カズノコ、スジコ、ウインナーソーセージ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、とうもろこし、ジャガイモ、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、果物、キャベツ、トマト、にんじん、大根、白菜、海藻類

アルコールは血清尿酸値を上昇させるため、種類を問わず過剰摂取を控えます。血清尿酸値への影響を最低限に保つ目安は、1日あたり日本酒1合、ビール500mL、ウイスキー60mL程度です。
アルコールは、プリン体の有無に関わらず、内因性プリン体分解の亢進と腎における尿酸排泄低下に関連して血清尿酸値を上昇させる。
とくにビールは、プリン体を多く含むばかりでなく、他の酒類よりも高エネルギーであり肥満を助長する可能性があるため、注意を要する。

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職業:管理薬剤師
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