2018年12月17日更新.3,341記事.5,769,925文字.

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乾癬の勉強まとめ

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分類商品名一般名
PDE4阻害剤オテズラアプレミラスト
合成レチノイドチガソンエトレチナート
ビタミンD3外用薬ボンアルファタカルシトール水和物
ビタミンD3外用薬ボンアルファハイタカルシトール水和物
ビタミンD3外用薬ドボネックスカルシポトリオール
ビタミンD3外用薬オキサロールマキサカルシトール
ビタミンD3外用薬+ステロイド外用薬ドボベットカルシポトリオール水和物+ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
ビタミンD3外用薬+ステロイド外用薬マーデュオックスマキサカルシトール+ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
乾癬

乾癬は、慢性に経過する炎症性角化性皮膚疾患である。
さまざまな治療が行われているが、現在根治的な治療法はない。
表皮内に好中球が浸潤し、微小膿瘍を形成する。

乾癬は、銀白色で厚い鱗屑を伴う紅色局面を特徴とする慢性炎症性角化症です。乾癬は炎症角化症に分類される皮膚疾患であり、皮膚の炎症反応の亢進と表皮の代謝異常が特徴である。

毛細血管の拡張により皮膚が赤みを帯び、表皮が通常の10倍以上の速度で代謝され、過剰生産された皮膚が鱗屑としてフケのように剥がれ落ちる。
病変は肘や膝、腹部、腰臀部、被髪頭部など外的刺激を受けやすい部位に好発し、ときに掻痒を伴います。
原因は明らかでなく、遺伝的素因のほかにストレス、気候、喫煙、アルコール摂取、食生活などの外的因子や、糖尿病、脂質異常症、肥満などが関連するとされる。免疫系の異常により表皮・真皮の炎症と表皮角化細胞の過剰増殖が生じると考えられています。

原因は不明であるが、何らかの遺伝的素因を背景に、免疫系の異常が重なって発症してくると考えられている。
乾癬は皮膚症状が主体でほかの臓器を侵すことは少なく生命予後もよいが、皮膚だけでなく、関節、眼などに合併症を生じる重篤なタイプもある。
一方で皮膚症状のみの症例でも、日常生活つ、社会生活のうえでは大きな制約を伴っている。

30〜40歳を境にして若年発症(Ⅰ型)と高年発症(Ⅱ型)の2群に大別される。
新生児から乳児期に発症する例もある。
男女比は1.9:1で男性に多く、発症頻度は報告により多少の差はあるが、わが国では0.025〜0.1%と報告されている。
欧米での発症頻度(2〜3%)に比べると、わが国の発症頻度は明らかに低い。

乾癬は尋常性乾癬、滴状乾癬、感染性紅皮症、膿疱性乾癬、関節症性乾癬の5種類に分類され、そのうち尋常性乾癬が約90%を占めるといわれる。
さらに、尋常性乾癬患者の約60%に、手足の爪の表面の白濁、肥厚、点状や線状の凹みなどの爪症状が見られるとされている。
皮膚の乾癬に特有の紅斑、鱗屑などがないため、一見しただけでは乾癬と判断しにくく、爪白癬(水虫)と勘違いする患者も少なくない。

乾癬の分類

【尋常性乾癬】
一般に乾癬といった場合は尋常性乾癬を指し、乾癬全体の約90%を占める。

【乾癬性紅皮症】
尋常性乾癬の皮疹が全身に広がり、皮膚全体の80%以上が赤くなった状態を指し、乾癬全体の約1%を占める。未治療や不適切な治療、薬剤や感染症などの影響により、尋常性乾癬から乾癬性紅皮症に移行する場合が多い。

【滴状乾癬】
レンサ球菌性咽頭炎の後に、全身に直径1cmほどの小型の皮疹が生じる。乾癬全体の約3%を占め、若年者に多い。通常は、レンサ球菌性咽頭炎の治療によって改善するが、一部は尋常性乾癬へと移行する場合がある。

【関節症性乾癬】
関節炎を伴う乾癬であり、乾癬全体の数%を占める。多くの場合、皮膚症状の発現から数か月から数年をかけて関節炎が生じ、手足の指先や踵、首、背中などにおける腫れや疼痛があらわれる。

【膿疱性乾癬(汎発型)】
重症型の乾癬であり、広範囲に及ぶ無菌性膿疱と発熱や倦怠感などの全身症状を示し、循環器不全を呈するなど、致死的な経過をたどる場合がある。尋常性乾癬から移行することもあるが、発症頻度は非常に稀であり、指定難病に位置付けられている。なお、感染症や妊娠などにより誘発されることがあると報告されている。

乾癬の治療

現在、乾癬に対する根本的な治療法はなく、乾癬治療は皮疹の改善とQOLの向上を目的とします。
一般に、尋常性乾癬に対しては外用療法を基本として、効果不十分例や皮疹が広範に及ぶ症例においては内服療法、光線療法、注射療法(生物学的製剤)を考慮します。

シークエンシャル療法

ステロイド剤は、効果の発現が比較的早いが長期投与による副作用が問題となります。
一方、ビタミンD3製剤は効果の発現は遅いが長期的な安全性が比較的高い薬剤です。
これらの特徴を組み合わせ、ステロイド剤中心の治療からビタミンD3製剤中心の治療へ段階的に切り替えるシークエンシャル療法が汎用されています。

乾癬の治療薬

活性型ビタミンD3外用剤

ビタミンD3製剤は安全性と有効性が高く、軽症から重症例まで幅広く使用されます。
また、寛解導入だけでなく、寛解の維持にも使用できる薬剤とされています。
長期投与となるため、副作用や使用感、アドヒアランスを考慮して、薬剤・剤形を選択します。
・角化細胞の増殖抑制や分化誘導作用により、角化異常を改善すると考えられている。
・局所性の刺激感があらわれることがあり、特に顔面では強く感じることがある。なお、カルシポトリオールは顔面には使用しない。
・高カルシウム血症があらわれることがあり、投与量の上限に注意を要する。特に、高用量や併用療法、腎機能低下、皮膚のバリア能低下などがある場合は注意する。

VD3は、角化細胞の増殖抑制と分化誘導作用のほかに、炎症性サイトカイン調節作用なども注目されています。
VD3は、乾癬・毛孔性紅色粃糠疹・掌蹠膿疱症などの炎症性角化症や、掌蹠角化症・魚鱗癬群などの先天性角化症に保険適応があります。
その効果は、ベリーストロングクラスのステロイド外用剤と同等といわれています。
未治療例や十分な前治療が行なわれていなかった例では、VD3単独で治療を開始することができます。
比較的効果発現は遅いですが、再燃までの寛解期間はステロイド外用剤に比べて長いとされています。
しかしVD3は刺激性があり、皮疹が悪化することがあります。
また、広範囲での大量外用時には高カルシウム血症に注意します。

活性型ビタミンD3は乾癬をはじめとする角化異常症の治療に用いる。
長期使用で血中Caが上昇することがあるので、1日使用量を10g以内にする。
レチノイド投与例ではさらにCa上昇が生じやすくなるので注意する。

活性型ビタミンD3は表皮角化細胞の増殖抑制と分化誘導作用・免疫調節作用などを有し、軟膏あるいはローションとして用いられ、有効である。
ボンアルファ、ボンアルファハイ、ドボネックス軟膏、マキサカルシトール(オキサロール)は大量に(1週間に90g以上)用いると高Ca血症の危険性があり注意する。

活性型ビタミンD3の作用機序は活性型ビタミンD受容体に結合し、細胞増殖抑制作用、細胞周期調節作用、細胞周期調節作用、細胞分化誘導作用、炎症性サイトカイン調節作用および抗菌ペプチド調節作用を示す。
ビタミンD3の活性体である1α,25(OH)2D3は、表皮基底細胞の細胞質もしくは核内に存在する特異的受容体(VDR)と結合し、VDR-複合体を形成する。
その後VDR-複合体は遺伝子DNA上の特異的結合部位と結合し、遺伝子の転写を賦活することにより、細胞増殖および細胞分化の調節、さらに皮膚免疫系細胞の調節を行っていると考えられている。
皮膚においても1α,25(OH)2D3に対するレセプターが存在し、乾癬の治療に対する有効性が報告されている。

【ステロイド剤】
ステロイド剤は、寛解導入を目的としてビタミンD3製剤と併用されることが多く、症状の改善とともに減量・休薬を行います。
ステロイド剤を使用する際は、皮疹の部位、重症度、年齢などによっても強さを変えることが望ましいとされています。
一般に顔面にはⅣ群(マイルド)、体幹や四肢にはⅡ~Ⅲ群(ベリーストロング~ストロング)を使用します。
なお、Ⅰ群(ストロンゲスト)の薬剤は、重症例に対して短期的に使用します

ステロイド外用剤は速効性の抗炎症作用をもっています。
一般的には、病変を十分コントロール可能な、最も弱いランクのステロイド外用剤で治療を開始します。
乾癬ではステロイド外用剤を長期連用することが多いため、適切に選択し、副作用を避けるよう治療することが大切です。
外用保法として、単純塗擦法が基本的な使用法です。
重層法は、ステロイド外用剤を外用した上から活性型ビタミンD3(VD3)製剤などを重ね塗りする方法で、鱗屑・痂皮の除去に有効であり、ステロイドの使用量の減量と副作用の軽減にも役立ちます。

皮疹がコントロールされたあと、ステロイド外用剤を急激に中止するべきでなく、弱いランクのステロイドに変更するか、VD3などを併用し、徐々に漸減・中止します。

【合成レチノイド】
・表皮細胞に作用し、表皮の過剰増殖などを抑制すると考えられている。
・副作用として口唇炎が頻発する。また、肝障害や中性脂肪の上昇に注意する。
・催奇形性が報告されていることから、服用中および服用後の一定期間(女性:2年間、男性:6か月間)は避妊をする。
・長期投与によって骨異常などの発現が報告されている。
・光線療法と併用することで相乗効果が期待される。

【免疫抑制剤】
・免疫系を抑制することで効果を示すと考えられている。
・腎障害、高血圧、感染症などに注意する。使用にあたっては、これらについての定期検査や薬物血中濃度のモニタリングを行う。
・免疫抑制作用を示す光線療法や生物学的製剤との併用は避ける。
・メトトレキサートが適応外使用されることがある(欧米では一般的に用いられている)。

ステロイドと活性型ビタミンD3製剤の併用療法

両者の特性と副作用を考えて種々の併用療法が工夫されています。
とくに乾癬では、ステロイド外用剤単独では治らなかった皮疹が両者を併用することにより軽快しており、乾癬治療は飛躍的に進歩しました。

併用療法は、単独で使用するよりも優れた臨床効果が得られ、それぞれの薬剤の使用量を減らすことでステロイド外用剤の副作用の発現を抑え、かつVD3の皮膚刺激性を軽減します。

1.Sequential therapy(段階的に切り替えていく方法)
ステロイド外用剤で治療を開始し、段階的にVD3に切り替えていく方法です。
①導入期:早急に症状の改善を図るため、ステロイド外用剤をおもに使用します。
②移行期:長期治療に安全なVD3へ移行します。平日と週末、あるいは朝と夕で使い分ける方法などです。
③維持期:VD3を単独で使用します。

2.Combination therapy(2剤を組み合わせる方法)
異なる作用機序をもつ2つの薬剤を使用することで、相加または相乗効果を期待します。
①Weekend therapy:平日(月~金曜日)にVD3を使用し、週末にステロイド外用剤を使用します。
②朝と夜で使い分け:朝にステロイド外用剤を使用し、夜にVD3を使用します。
③隔週で交互に使用:ステロイド外用剤とVD3を隔週で交互に外用します。

3.ステロイド外用剤とVD3製剤を同時に外用
重ね塗り・用時混合・混合調剤があります。
混合調剤のほうが臨床効果は高いという報告もあり、通常の治療で臨床効果が得られない場合や、コンプライアンスが悪い症例には試みます。
しかし、VD3は比較的不安定で、ほかの外用剤との混合によりVD3濃度は低下するので、安易な混合は避けます。
VD3は酸性に弱いため、基剤のpHが酸性の軟膏とは混合しないようにします。

光線療法

光線療法は、紫外線を照射し皮膚の免疫作用を低下させることで、皮膚症状を緩和する治療法です。
外用剤でコントロールが困難な場合や副作用などにより他の治療法が適さない場合に効果が期待されます。
主な治療法には、UVA(長波長紫外線)を用いるPUVA療法、UVB(中波長紫外線)を用いるナローバンドUVB療法、ターゲット型光線療法(エキシマライト)などがあります。一般的に光線療法は週に数回実施されます。

【PUVA療法】
・最も一般的な光線療法とされるが、長期実施により皮膚がんを誘発するリスクが報告されている。
・紫外線の作用を高めるメトキサレン(商品名:オクソラレン)の前処置が必要となる。
・メトキサレンの投与方法には内用、外用、PUVA-bath*4がある。内用や外用ではUVA照射や日光による日焼けが生じることがあるため遮光を要する。一方、PUVA-bathではメトキサレンの作用時間が短く、遮光などの日常生活の制限を受けにくい。また、内用剤でみられる消化器症状などの副作用も少ないこともあり
近年汎用されている。

【ナローバンドUVB療法、ターゲット型光線療法】
・いずれも治療に有効な波長域に絞った紫外線を照射する光線療法である。照射範囲の広いナローバンドUVB療法に対して、ターゲット型光線療法は照射範囲が狭く、健常部への紫外線曝露を低減できる。
・UVBを用いた光線療法は、治療効果はPUVA療法より若干劣るとされるが、メトキサレンを必要としないことや発癌性が比較的少ないことから汎用されている。

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