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肝炎の勉強まとめ

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分類商品名一般名
抗B型肝炎ウイルス薬ゼフィックスラミブジン
抗B型肝炎ウイルス薬ヘプセラアデホビル ピボキシル
抗B型肝炎ウイルス薬バラクルードエンテカビル水和物
抗B型肝炎ウイルス薬テノゼットテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
抗B型肝炎ウイルス薬ベムリディテノホビル アラフェナミドフマル酸塩
分類分類商品名一般名 
抗C型肝炎ウイルス薬RNAポリメラーゼ阻害薬コペガス/レベトールリバビリン
抗C型肝炎ウイルス薬NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬テラビックテラプレビル
抗C型肝炎ウイルス薬NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬ソブリアードシメプレビルナトリウム
抗C型肝炎ウイルス薬NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬スンベプラアスナプレビル
抗C型肝炎ウイルス薬NS5A阻害薬ダクルインザダクラタスビル塩酸塩
抗C型肝炎ウイルス薬NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬バニヘップバニプレビル
抗C型肝炎ウイルス薬NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬グラジナグラゾプレビル水和物
抗C型肝炎ウイルス薬NS5A阻害薬エレルサエルバスビル
抗C型肝炎ウイルス薬NS5Bポリメラーゼ阻害薬ソバルディソホスビル
抗C型肝炎ウイルス薬NS5A阻害薬+NS5Bポリメラーゼ阻害薬ハーボニーレジバスビルアセトン付加物+ソホルブビル
抗C型肝炎ウイルス薬NS5A阻害薬+NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬ヴィキラックスオムビタスビル水和物+パリタプレビル水和物+リトナビル
抗C型肝炎ウイルス薬NS5A阻害薬+NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬ジメンシーダクラタスビル塩酸塩+アスナプレビル+ベクラブビル塩酸塩
抗C型肝炎ウイルス薬NS5A阻害薬+NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬マヴィレットグレカプレビル水和物+ピブレンタスビル

肝炎

国内における肝炎の約80%はウイルス性肝炎といわれています。
ウイルス性肝炎は、肝細胞に感染したウイルスに対して免疫応答が活性化することで引き起こされます。
特にB型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると肝炎が慢性化するリスクがあり、肝臓の線維化をきたし肝硬変や肝細胞癌を引き起こすことが知られています。

 B型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルス
感染経路血液・体液
従来、主要な感染経路は母子感染であったが、1985年より開始された母子感染防止事業により減少傾向にある。近年では、性感染症として増加している。
血液・体液
母子感染や性交渉による感染は少ない。輸血、注射器の使いまわし、入れ墨などの感染経路が報告されているが、経路不明の場合も多い。
ウイルス核酸DNARNA
ウイルス複製HBV DNAは肝細胞の核内へ移行し、cccDNA(covalently closed circular DNA:完全閉鎖二本鎖DNA)となって安定的に核内に留まる。cccDNAから転写されるmRNAをもとにウイルスが複製される。cccDNAは、抗ウイルス療法では排除することはできない。肝細胞の細胞質に放出されたHCV RNAをもとにウイルスが複製される。HCV RNAは、抗ウイルス薬により排除可能である。
国内の持続感染者(キャリア)約130~150万人(推定)約150~200万人(推定)
国内でみられる主な遺伝子型A:従来は少なかったが、近年では海外からの輸入感染症として増加傾向にある。慢性肝炎となる頻度は、他の遺伝子型と比較して高い(約5~10%)。
B:Cに次いで多い遺伝子型である。慢性肝炎となる頻度は少ない(1%以下)が、劇症化しやすい。
C:最も多い遺伝子型である。慢性肝炎となる頻度は少ない(1%以下)が、肝細胞癌を発症しやすい。
1b:国内の約70%に相当する。
2a:国内の約20%に相当する。
2b:国内の約10%に相当する。

肝炎ウイルス

B型およびC型の肝炎ウイルスは、血液によって感染します。
B型肝炎ウイルスは、劇症肝炎にまで及ぶ急性肝炎を引き起こしますが、C型肝炎ウイルスに感染しても症状を伴う急性肝炎となることは、ほとんどありません。
また、B型・C型ウイルスとも持続感染を起こします。
多くの感染者では症状はありませんが、長く感染すると一部の人で慢性肝炎から肝硬変を経て肝細胞癌が発症することがあるため、ウイルス性肝炎の中でもB型およびC型がもっとも注目されるウイルスとなっています。

D型肝炎ウイルスは不完全なウイルスで、B型肝炎ウイルスを持っている人にだけ感染し、増殖することができます。
さらに脳症状が出て短期間に死亡することが多い劇症肝炎の原因にもなります。
D型肝炎ウイルスは地中海沿岸、とくにイタリアに多く、日本にほぼ存在しないので、D型肝炎ウイルスの検査をすることはほとんどありません。
なお、F型、G型、TT型も名称としてはありますが、F型は1994年に発見が報告されたものの追試で確認できなかったため存在がなかったことになっており、G型やTT型は感染していても肝炎を発症しない場合があることや、症状が確定されていないことなど、未知数の部分が多く肝炎ウイルスとして扱わない場合があります。

B型肝炎の自然経過

主要な感染経路である母子感染・乳幼児感染では、免疫機能が未発達なため90%以上がHBVキャリアとなります。
通常、感染後は無症候性にウイルスが増殖する期間(免疫寛容期)が数年~20年程度続いた後に、免疫応答により肝炎が生じます(免疫応答期)。
多くの場合、肝炎は一過性であり、鎮静化した後は非活動性キャリアと呼ばれる状態へ移行し(低増殖期)、中和抗体が産生されることで寛解に至ります。
しかし、一部の患者では肝炎が持続し(慢性肝炎)、肝硬変や肝細胞癌に進展することがあります。

【薬剤によるHBVの再活性化】
非活動性キャリアや寛解となった場合であっても、抗リウマチ薬や免疫抑制薬、抗癌剤、抗HIV薬などの使用によってHBVが再び増殖する場合があります。
HBVの再活性化により劇症肝炎を発症し、致死的な経過を辿ることも報告されています。
これらの薬剤の使用にあたっては、HBV再活性化リスクを考慮しスクリーニングや抗ウイルス療法、ウイルスマーカーのモニタリングなどを必要に応じて行います。

肝炎の治療

B型・C型慢性肝炎の治療は抗ウイルス療法が中心であり、肝硬変や肝細胞癌の発症抑制を目指します。
そのほかの治療法としては、肝庇護療法、インターフェロン(INF)少量長期投与、瀉血療法などがあり、抗ウイルス療法が適用とならない場合や不応の場合などに考慮されます。

①肝庇護療法
肝庇護療法とは、肝炎を鎮静化することで症状緩和と肝線維化抑制を図る治療。

医薬品名成分名特徴
ウルソウルソデオキシコール酸障害性の強い胆汁酸と置換することで肝細胞を保護するほか、抗炎症作用、免疫調節作用、抗酸化作用、抗アポトーシス作用などを示す。
下痢、便秘、腹部膨満感などの消化器症状があらわれることがある。
グリチロングリチルリチン抗炎症作用や免疫調節作用などを示す。
副作用として、偽アルドステロン症による血清カリウム値の低下、高血圧、浮腫などがあらわれることがある。
DL-メチオニン含有経口製剤(グリチロン、ネオファーゲン)は、末期の肝硬変患者には禁忌となる。
強力ネオミノファーゲンシー
ネオファーゲン
小柴胡湯サイコ、ハンゲ、ショウキョウ、オウゴン、タイソウ、ニンジン、カンゾウサイコサポニン、グリチルリチン、バイカリンが主な有効成分であり、抗炎症作用や抗線維化作用などを示す。
肝硬変や肝細胞癌に進展した例では、重大な副作用として間質性肺炎があらわれることがあるため禁忌となる。
INF製剤を投与中の患者には、間質性肺炎を招く恐れがあるため禁忌となる。

②IFN少量長期投与(保険適用外)
C型慢性肝炎の治療では、肝炎の鎮静化や肝細胞癌の発症抑制を目的にIFN製剤の少量長期投与を行うことがあります。
また、肝細胞癌の根治例に対し、肝細胞癌の再発抑制と生命予後の改善を期待して行うこともあります。

③瀉血療法
C型慢性肝炎では、肝臓での鉄過剰による酸化ストレスが肝障害の一因となると考えられています。
そのため、瀉血(鉄除去)による肝庇護効果が期待されており、肝庇護療法との併用も考慮されます。

B型肝炎治療薬

B型慢性肝炎治療では、抗ウイルス療法によりウイルス量の低下と肝炎の鎮静化を図ります。
B型慢性肝炎の抗ウイルス療法には、インターフェロン(IFN)製剤や核酸アナログ製剤が用いられます。

インターフェロン製剤

・肝発癌抑制効果が得られるかは明らかでない。
・治療期間が限定されており(24~48週)、著効例では長期にわたる効果が期待できる。核酸アナログ製剤の長期継続投与を回避したい若年者には特に考慮される。
・耐性ウイルスを生じない。
・副作用が多彩であり、発熱、筋肉痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状や血球減少を高頻度に生じる。また、うつ症状、間質性肺炎、脳内出血などを生じることもある。
・催奇形性の報告はないため、挙児希望があり、核酸アナログ製剤を回避したい場合に考慮される。
・肝硬変に対しては有効性や安全性に関する十分なエビデンスはなく保険適用もない。(特に非代償性肝硬変の場合は、肝機能の悪化など致死的な副作用を招く恐れがあるため禁忌となる)

【ペグ化製剤】
従来のIFN製剤は血中半減期が3~8時間程度と短く、持続的かつ安定的に高い血中濃度を維持することが難しいとされていました。これに対して、IFNをポリエチレングリコール(Peg)で修飾したPeg-IFN製剤は血中半減期が長く週1回投与でも安定した血中濃度を得ることが可能になりました。
また、IFN製剤の血中濃度が上昇・下降を繰り返すことはインフルエンザ様症状の発現に関連しているといわれており、Peg-IFN製剤では安全性の向上が期待されています。

核酸アナログ製剤

・ゼフィックス(ラミブジン)やバラクルード(エンテカビル)は肝発癌抑制効果がある。
・投与終了後にウイルス再増殖、肝機能悪化、肝炎の重症化などが懸念されるため、原則として長期継続投与となる。
・長期投与により、耐性ウイルスが認められることがある。(エンテカビルとテノホビルは比較的、耐性が生じにくい)
・副作用が比較的少ない。
・エンテカビルやテノホビルは催奇形性の可能性が否定できない。
・肝硬変に対しても治療選択肢となる。

C型慢性肝炎治療薬

C型慢性肝炎治療では、抗ウイルス療法によりウイルスの排除を図ります。
C型慢性肝炎の抗ウイルス療法には、インターフェロン(INF)製剤やリバビリン(RBV)RBV製剤、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が用いられます。
C型慢性肝炎の抗ウイルス療法は、IFN製剤を用いる治療と用いない治療(IFNフリー療法)に大別され、なかでも近年開発の進んだDAAによるIFNフリー療法は、C型慢性肝炎の中心的な治療法に位置付けられます。

【IFN療法】
・肝発癌抑制効果がある。
・耐性ウイルスの影響は受けにくい。(耐性ウイルスは一般にIFN製剤に対して感受性がある)
・宿主のIL28B遺伝子多型が、Peg-IFN/RBVの治療効果に強く関与する。(major typeの症例で推奨される)
・IFN製剤の副作用は多彩であり、発熱、筋肉痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状や血球減少を高頻度に生じる。また、うつ症状、間質性肺炎、脳内出血などを生じることもある。

【IFNフリー療法】
・高齢や合併症などの理由からIFN製剤の投与が困難な患者や非著効であった患者においても選択肢となる。
・SVRが得られる場合であっても、IFN療法と同等の肝発癌抑制効果が得られるかは現時点では明らかでない。
・DAA未治療例の一部には、治療前からNS5A阻害薬に対する耐性ウイルスが存在することが報告されている。
・非著効例では、耐性ウイルスが認められることが多い。

直接作用型抗ウイルス薬(DAA)

【DAAの作用点】
現在、実用化されているDAAは、HCVの増殖に関与する非構造蛋白(NS3/4A、NSSA、NSSB)、の働きを阻害することで抗ウイルス作用を示すといわれています。
NS3/4A:プロテアーゼ活性を示し、非構造蛋白を切断する
NSSA:酵素活性はないが、ウイルスの複製・粒子形成に関与する
NSSB:RNAポリメラーゼ活性を示し、HCV RNAの複製に関与する

肝炎の検査

【AST、ALT】
肝炎が起きると、肝細胞から血液中に逸脱酵素(AST・ALT・LDHなど)が流れ出ます。
肝細胞には、ALTよりASTのほうが多く含まれるため、正常人および急性肝炎の場合は「AST>ALT」となります。
しかし、慢性肝炎の場合は「AST<ALT」となります。
これはALTのほうが血液中の半減期が長いためで、肝硬変に移行すると肝細胞内の酵素量が減るため「AST>ALT」に戻ります。

【血小板】
病状が進行すると肝臓に線維が溜まります。
線維化の程度を見るもっとも一般的な検査は血小板数です。
薬物療法を行っている場合は、使用薬剤の影響も考えなければなりませんが、10~13万/μL以下になると肝硬変が疑われます。
原因は肝硬変の進行により、肝臓が硬くなると門脈圧が上昇し、圧の上昇により門脈血は上流の脾臓に溜まり脾臓も圧で肥大することがよくみられます。
脾臓の肥大により血球が必要以上に破壊されるため血小板数は低下することになります。
なお、線維化マーカーと呼ばれるヒアルロン酸も肝臓で代謝されにくくなるため、病状の進行具合をみるのに有用です。

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