2019年4月18日更新.3,408記事.6,019,029文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ニコチン依存症の勉強まとめ

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分類商品名一般名
ニコチン依存症治療薬ニコチネルTTSニコチン
ニコチン依存症治療薬チャンピックスバレニクリン酒石酸塩

ニコチン依存症

喫煙者が禁煙を始める上で、大きな障害となるのがダバコの依存性である。
喫煙すると、脳内においてニコチンはドパミン作動神経のニコチン性アセチルコリン受容体に直接作用して、ドパミン放出を促進させる。
つまり、喫煙をすることで脳内報酬系を賦活し、快感を得ることができる。

ドパミン作動性神経は、喫煙時に大量のドパミンにさらされて過剰興奮させられ、喫煙を繰り返すと、過剰興奮を抑えるためにドパミン作動性神経はドパミン受容体を減らしてしまう。
すると、この神経の反応が鈍くなり、ニコチンのない状態では脳内報酬系が機能不全になる。
つまり、ドパミン受容体の減少は、より多くのニコチンを求めるようになる。これが耐性の原因と考えられている。

ニコチン依存には身体的依存と精神的依存の2つがあり、身体的依存ではタバコを吸うと血液中のニコチン濃度が急激に上がり、ドパミンが大量に放出され満足感が得られるが、30分程度でニコチン濃度が急激に半減するため、イライラや集中困難、落ち着かないといった症状(ニコチン離脱症状)が起きる。
この離脱症状を解決するために、再び喫煙することとなる。
精神的依存では、「タバコがなければやっていけない」「私がタバコをやめることは無理だ」「タバコを吸うのは個人の自由だ」といったような認知の歪みが生じ、喫煙を正当化したり禁煙の困難さを過大評価し、結果、依存対象物質中心の生活に陥る。
ニコチン離脱症状は最初の7日間に起こりやすく、特に最初の3日間が最も強い。
しかし、以後は徐々に薄れていき、3週間後には弱くなり、3か月後にはほとんど起こらなくなる。
よって、最初の1週間~2週間の離脱症状へのフォローが再喫煙防止に非常に重要となる。
また、たばこの渇望も離脱症状と同じように減少していき、禁煙後3日間はタバコの渇望はいつでも起こるが、時間は1分~3分程度しか続かない。
このことより、禁煙治療では身体的依存に対しては薬物療法を、精神的依存に対しては精神的サポートや生活指導を行うことで対処することが重要となる。

タバコの煙の成分

タバコの煙は「粒子相」と「気相」にわけられ、主に含まれる成分が異なります。
タバコ煙の中で健康への有害性が大きいのはニコチン、タール、一酸化炭素(CO)です。

【粒子相】
全タバコ煙の数パーセントを占めるに過ぎないが、ニコチンや種々の発がん物質などを含む。
主な成分:ニコチン、ベンツピレン、ナフチルアミン、ヒ素

【気相】
タバコ煙の顕著な臭いのもととなっている揮発性物質のほか、一酸化炭素、気道刺激物質などを含む。
主な成分:一酸化炭素、ニトロソアミン、窒素酸化物、アンモニア

【ニコチン】
ニコチン性アセチルコリン受容体に作用して中枢神経系や末梢神経系を刺激し、心拍数増加、血管収縮、遊離脂肪酸増加、覚醒または寛ぎ感の増大、成長ホルモン増加、プロスタサイクリン合成抑制などを示す。
ニコチン依存を形成する。

【タール】
粒子相を総称してタールと呼ぶ。
この中に水分とニコチンが含まれている状態を粗タール、これらを取り除いたものをドライタールと呼ぶ。
ベンツピレンなど発がん物質、発がん促進物質を多く含む。

【一酸化炭素】
血液中のヘモグロビンと強固に結合(酸素の約210~250倍)し、慢性の酸素欠乏状態を作り出す。
ヘモグロビンと結合した一酸化炭素はコレステロールの変性を促進し、血管内皮を障害するとともにHDLコレステロールを減少させ、動脈硬化を促進する。

禁煙補助薬

人により程度の差はありますが、喫煙習慣には「ニコチン依存」が深く関係しているため、喫煙習慣からの脱却には、禁煙補助薬の使用が有効です。
禁煙補助薬は、禁煙に際して起こるニコチン離脱症状を軽減するなどの作用により、禁煙を補助する薬剤です。
禁煙補助薬には、ニコチン代替療法に用いられる「ニコチン製剤」や、α4β2ニコチン受容体部分作動薬である「バレニクリン製剤」があります。

バレニクリン製剤

バレニクリン製剤はニコチンを含まず、ニコチン依存形成に最も深く関連すると考えられている脳内のα4β2ニコチン受容体に高い結合親和性をもつ部分作動薬です。
バレニクリン製剤は経口剤で、禁煙に伴う離脱症状やタバコへの切望感を軽減するとともに、服用中に再喫煙した場合に喫煙から得られる満足感を抑制します。
バレニクリン製剤を用いると、禁煙成功率が約2~3倍に高まることが明らかになっています。

作用機序
・α4β2ニコチン受容体に結合し、少量のドパミンを放出する(作動薬作用)
⇒禁煙に伴う離脱症状やタバコへの切望感を軽減する
・α4β2ニコチン受容体にニコチンが結合するのを阻害する(拮抗作用)
⇒喫煙から得られる満足感を抑制する

おすすめの方
・ニコチンパッチで禁煙に失敗した方
・狭心症、心筋梗塞の恐れがある方
・重症心疾患の方
・脳・心血管疾患の急性期の方
・重篤な不整脈がある方
・禁煙が困難な方
おすすめできない方
・バレニクリン酒石酸塩に対し過敏症の既往歴のある方
・自動車運転が必要な方

特徴
・ニコチンを含まない経口剤である
・禁煙時の離脱症状だけでなく、喫煙による満足感も抑制する
・循環器疾患患者さんにも使いやすい
・突然の喫煙欲求に対処できない

注意事項
・ほかの禁煙補助薬と併用しない
・重度の腎機能障害のある患者さんおよび血液透析を受けている患者さんには慎重に投与する
・バレニクリンを使用して禁煙を試みた際に、因果関係は明らかではないが、抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動の変化、自殺念慮および自殺が報告されているため、投与する際には患者さんの状態を十分に観察する
・めまい、傾眠などが現れることがあるため、自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際にアは注意させることが必要である

ニコチン製剤

ニコチン製剤を用いるニコチン代替療法は、禁煙時に出現するニコチン離脱症状に対してニコチンを薬剤の形で補給し、その症状を緩和しながらまず心理的依存から抜け出し、次にニコチン補給量を調節しながらニコチン依存から離脱するというものです。
ニコチン製剤を用いると、禁煙成功率が約2倍に高まることが明らかになっています。

ニコチン代替療法施行中の注意事項
・ニコチン代替療法施行中は喫煙しない(ニコチン代替療法と喫煙との併用は一時的に喫煙本数を減少させるものの、ニコチンの過剰摂取につながることもあり危険である。また、喫煙でニコチンが効率よく吸収されるため、治療効果が減弱する)

【パッチ製剤】
おすすめの方
・貼るだけの簡便な方法でタバコをやめたい方
・周囲に気づかれずにタバコをやめたい方
・ガムを噛みにくい環境の方
おすすめできない方
・発熱の症状のある方
・貼付剤等で発疹、発赤、かゆみ等を起こしたことがある方

特徴
・安定した血中濃度の維持が可能で、使用していても人からはわからない
・突然の喫煙欲求に対処できない
・食欲抑制効果により体重増加の軽減が期待できる

使用方法
・医療用医薬品のニコチネルTTS、一般用医薬品のシガノン・ニコチネルパッチ・ニコレットパッチで使用方法が異なる

【ガム製剤】
おすすめの方
・朝、外出前に習慣的に喫煙する方
・日によって喫煙本数が違う方
・口寂しさが気になる方
・サウナの利用や激しい運動をする機会が多い方
おすすめできない方
・歯科医師の治療を受けている方
・口内炎・のどの痛み・のどのはれの症状がある方
・医師から咽頭炎・食道炎の診断を受けた方

特徴
・ニコチン補充と口寂しさをまぎらわすことが同時にできる
・効果発現までの時間がニコチンパッチに比べて短いため、突然の喫煙欲求に対処できる
・食欲抑制効果により体重増加の軽減が期待できる
・ニコチン摂取量の自己調節が可能である
・ニコチンガム依存を生じることがある
・かみ方の指導が必要である
・顎関節症の人や義歯を使用している人などガムをかめない人がいる

使用方法
・タバコを吸いたいと思ったとき、1回1個をゆっくりと間をおきながら30~60分かけてかむ(1回に2個以上かまない)
・通常、1日4~12個から始めて、禁煙になれてきたら(1か月前後)、1週間ごとに1日の使用個数を1~2個ずつ減らし、1日の使用個数が1~2個となった段階で使用をやめる(使用期間は3か月をめどとし、6か月を超えて使用しない。1日の総使用個数は24個を超えない)
・速くかむと唾液が多く出てニコチンが唾液と一緒に飲み込まれ、口腔粘膜からの吸収が低下するとともに、口内・喉の刺激感、吐き気、胸やけ、胃の不快感、しゃっくりなどの症状が現れやすくなるため、ゆっくりかむ

禁煙に伴う症状

【体重増加】
禁煙すると体重が増加することが一般的に指摘されています。
禁煙により必ずしも体重が増えるわけではありませんが、増える人で平均2~3kgの増加がみられます。
[禁煙に伴う体重増加の主な原因]
・離脱症状の一症状としての食欲増加
・味覚の改善による食事量の増加
・禁煙に伴う口寂しさに対しての代償的な食物摂取量や食事回数の増加
・胃粘膜微小循環系血行障害の改善
・エネルギー安静時代謝率、安静時・運動時エネルギー消費量を増加させていたタバコ煙中のニコチンの消失

【睡眠障害】
覚醒作用のあるニコチンの減少、消失に伴う昼間の覚醒状態の低下⇒ニコチン代替療法により改善
ニコチンパッチの24時間使用による夜間の睡眠障害⇒ニコチンパッチの夜間使用中止により改善

【うつ症状】
タバコ煙にはモノアミンオキシダーゼ(MAO)を阻害する成分を含んでいる可能性があるとの報告があり、禁煙に伴って出現する意欲の低下や絶望感などのうつ症状の多くは、ニコチン離脱症状に伴う一時的なものです。

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慢性心不全の適応症をもつ薬剤は?

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薬剤師

下記の治療薬の中で添付文書上、慢性心不全の適応症をもつ薬剤はどれか。2つ選べ。
a. メトプロロール(商品名:ロプレソール錠等)
b. カルベジロール(商品名:アーチスト錠等)
c. エプレレノン(商品名:セララ錠)
d. インダパミド(商品名:ナトリックス錠等)
e. ロサルタン(商品名:ニューロタン錠等)

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