2019年4月18日更新.3,408記事.6,019,029文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

漢方薬の勉強まとめ

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漢方薬

製品番号商品名
ツムラ001番葛根湯(カッコントウ)
ツムラ002番葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)
ツムラ003番乙字湯(オツジトウ)
ツムラ005番安中散(アンチュウサン)
ツムラ006番十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
ツムラ007番八味地黄丸(ハチミジオウガン)
ツムラ008番大柴胡湯(ダイサイコトウ)
ツムラ009番小柴胡湯(ショウサイコトウ)
ツムラ010番柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)
ツムラ011番柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
ツムラ012番柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
ツムラ014番半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)
ツムラ015番黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
ツムラ016番半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
ツムラ017番五苓散(ゴレイサン)
ツムラ018番桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)
ツムラ019番小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
ツムラ020番防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)
ツムラ021番小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ)
ツムラ022番消風散(ショウフウサン)
ツムラ023番当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
ツムラ024番加味逍遙散(カミショウヨウサン)
ツムラ025番桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
ツムラ026番桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)
ツムラ027番麻黄湯(マオウトウ)
ツムラ028番越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)
ツムラ029番麦門冬湯(バクモンドウトウ)
ツムラ030番真武湯(シンブトウ)
ツムラ031番呉茱萸湯(ゴシュユトウ)
ツムラ032番人参湯(ニンジントウ)
ツムラ033番大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)
ツムラ034番白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)
ツムラ035番四逆散(シギャクサン)
ツムラ036番木防已湯(モクボウイトウ)
ツムラ037番半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
ツムラ038番当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
ツムラ039番苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)
ツムラ040番猪苓湯(チョレイトウ)
ツムラ041番補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
ツムラ043番六君子湯(リックンシトウ)
ツムラ045番桂枝湯(ケイシトウ)
ツムラ046番七物降下湯(シチモツコウカトウ)
ツムラ047番釣藤散(チョウトウサン)
ツムラ048番十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
ツムラ050番荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
ツムラ051番潤腸湯(ジュンチョウトウ)
ツムラ052番薏苡仁湯(ヨクイニントウ)
ツムラ053番疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)
ツムラ054番抑肝散(ヨクカンサン)
ツムラ055番麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)
ツムラ056番五淋散(ゴリンサン)
ツムラ057番温清飲(ウンセイイン)
ツムラ058番清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
ツムラ059番治頭瘡一方(ヂヅソウイッポウ)
ツムラ060番桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)
ツムラ061番桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
ツムラ062番防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
ツムラ063番五積散(ゴシャクサン)
ツムラ064番炙甘草湯(シャカンゾウトウ)
ツムラ065番帰脾湯(キヒトウ)
ツムラ066番参蘇飲(ジンソイン)
ツムラ067番女神散(ニョシンサン)
ツムラ068番芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
ツムラ069番茯苓飲(ブクリョウイン)
ツムラ070番香蘇散(コウソサン)
ツムラ071番四物湯(シモツトウ)
ツムラ072番甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)
ツムラ073番柴陥湯(サイカントウ)
ツムラ074番調胃承気湯(チョウイジョウキトウ)
ツムラ075番四君子湯(シクンシトウ)
ツムラ076番竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)
ツムラ077番芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)
ツムラ078番麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)
ツムラ079番平胃散(ヘイイサン)
ツムラ080番柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)
ツムラ081番二陳湯(ニチントウ)
ツムラ082番桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)
ツムラ083番抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)
ツムラ084番大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)
ツムラ085番神秘湯(シンピトウ)
ツムラ086番当帰飲子(トウキインシ)
ツムラ087番六味丸(ロクミガン)
ツムラ088番二朮湯(ニジュツトウ)
ツムラ089番治打撲一方(ヂダボクイッポウ)
ツムラ090番清肺湯(セイハイトウ)
ツムラ091番竹筎温胆湯(チクジョウンタントウ)
ツムラ092番滋陰至宝湯(ジインシホウトウ)
ツムラ093番滋陰降火湯(ジインコウカトウ)
ツムラ095番五虎湯(ゴコトウ)
ツムラ096番柴朴湯(サイボクトウ)
ツムラ097番大防風湯(ダイボウフウトウ)
ツムラ098番黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)
ツムラ099番小建中湯(ショウケンチュウトウ)
ツムラ100番大建中湯(ダイケンチュウトウ)
ツムラ101番升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)
ツムラ102番当帰湯(トウキトウ)
ツムラ103番酸棗仁湯(サンソウニントウ)
ツムラ104番辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
ツムラ105番通導散(ツウドウサン)
ツムラ106番温経湯(ウンケイトウ)
ツムラ107番牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
ツムラ108番人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)
ツムラ109番小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)
ツムラ110番立効散(リッコウサン)
ツムラ111番清心蓮子飲(セイシンレンシイン)
ツムラ112番猪苓湯合四物湯(チョレイトウゴウシモツトウ)
ツムラ113番三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)
ツムラ114番柴苓湯(サイレイトウ)
ツムラ115番胃苓湯(イレイトウ)
ツムラ116番茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)
ツムラ117番茵蔯五苓散(インチンゴレイサン)
ツムラ118番苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)
ツムラ119番苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)
ツムラ120番黄連湯(オウレントウ)
ツムラ121番三物黄芩湯(サンモツオウゴントウ)
ツムラ122番排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)
ツムラ123番当帰建中湯(トウキケンチュウトウ)
ツムラ124番川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)
ツムラ125番桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)
ツムラ126番麻子仁丸(マシニガン)
ツムラ127番麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)
ツムラ128番啓脾湯(ケイヒトウ)
ツムラ133番大承気湯(ダイジョウキトウ)
ツムラ134番桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)
ツムラ135番茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)
ツムラ136番清暑益気湯(セイショエッキトウ)
ツムラ137番加味帰脾湯(カミキヒトウ)
ツムラ138番桔梗湯(キキョウトウ)
ツムラ501番紫雲膏(シウンコウ)

漢方薬は、一般に数種類の生薬を組み合わせた「漢方処方」として服用します。
組み合わせた生薬同士が効果を増強したり、体の負担になる作用を抑制したりして、体に優しく効果の高いものになっています。
生薬は、植物、動物、鉱物などを乾燥し、酒に漬けたり、蒸したりなどして効果を増強し、また、毒性を減じて作られます。
この工程を「修治」といいます。
生薬の薬効はいまだ十分に分析されてはいませんが、「神農本草経」から現在に至る2000年近い臨床実績を通じた経験的な薬理作用が把握され、その配合や運用のための処方理論も出来上がっています。

漢方薬には、生薬を直接煎じる煎じ薬と、煎じ薬をエキス化して顆粒などにしたエキス製剤があります。
煎じ薬は患者に合わせて細かな調整が可能ですが、現在は飲みやすいエキス製剤が主流となっています。
また、漢方薬は体力を補うこともできるので、西洋薬の副作用に悩む人や体力の衰えた人でも安心して用いることができます。

漢方薬の分類

漢方処方の効能は、発表剤、清熱剤、瀉下剤、温補剤、気剤、血剤、利水剤、健胃剤、鎮咳去痰剤、筋肉関節鎮痛剤のおおよそ10種類に分類できます。

【発表剤】
発表剤は発汗により表にある病邪を排除する方剤で、3つの効果があります。
①かぜの初期症状を改善する。かぜのひき始めの表(体表)にある病邪を発表(発汗)により排除する働きを持つ
②冷たい風や湿度が高い環境にさらされて起こる肩こりや頭痛、腰痛、関節痛を解消する
③はしかの初期や蕁麻疹などで皮膚の深部にくすぶっている湿疹の原因となる病邪を、発疹を促すことで体外に排出する(透疹作用)
こうした効果を持つ発表剤は、発汗力の違いにより辛温発表剤と辛涼発表剤の2つに分類されます。

[辛温発表剤]
辛味があり、温める性質の生薬を多く配合し、体を温めることによって発汗を促します。上記①や②の効果を期待します。なお、①のかぜ初期においては、悪寒と発熱を伴い、頭痛、節々の痛み、鼻炎、咳などの症状を呈する三陰三陽論の太陽病に対して用います。
例:桂枝湯、葛根湯、麻黄湯、小青竜湯、麻黄附子細辛湯、十味敗毒湯
[辛涼発表剤]
同じ発表剤であっても、辛温発表剤ほど発汗力は高くはありません。主に①の効果を期待して用いますが、辛涼発表剤の適応となるのは、悪寒をほとんど感じず発熱のみの病態であり、口やのどの粘膜が乾燥し、のどが炎症して咽痛を起こす温病のかぜに用います。
こうした病態では、発汗力の強い辛温発表剤は津液不足を助長するので、弱い発汗作用、清熱作用、津液を補う作用の生薬を配合した辛涼発表剤によって、津液を消耗せずに病邪を除きます。
例:駆風解毒湯、銀翹散、消風散

【清熱剤】
寒性、涼性の作用を持つ生薬の配合によって、発熱や炎症症状を解熱、消炎する方剤です。
病が表から裏に移り、発表剤によって解熱することができない熱症状を解熱する効果があります。
陽明病における熱証や、腎炎などの高熱期、熱中症、熱性の胃腸疾患などは陽明清熱剤で対応し、少陽病における熱証や、呼吸器疾患、肝胆疾患などは少陽清熱剤で対応します。
例:[陽明清熱剤]白虎加人参湯、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、承気湯類 [少陽清熱剤]小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、半夏瀉心湯

【瀉下剤】
腸を刺激して腸の蠕動を活発にし、また大腸を潤すことで排便を促す方剤です。
排便を促すほかに、大便を排泄させて腸内に滞った飲食の停滞を除き、結果として胃腸にうっ滞した熱を排除する効果があります。
例:三黄瀉心湯、承気湯類、大黄甘草湯、防風通聖散、麻子仁丸

【温補剤】
温性、熱性の生薬を配合し体および臓器を温める方剤です。
体を温める作用のほか、陽気が不足したために体が冷え、臓器や器官の機能が低下、失調するものに対し、陽気の循環を促して機能を正常に戻す効果があります。
例:真武湯、大建中湯、人参湯、呉茱萸湯、苓姜朮甘湯、当帰芍薬散、柴胡桂枝乾姜湯、麻黄附子細辛湯、桂枝加朮附湯

【気剤】
気滞、気の上衡、気虚など気のバランスが崩れて精神不安、うつ病、不眠、動悸などの神経症状や、体力低下、疲労感などの虚労の症状を呈するものに用います。
気の循環を改善させ、不足した気を補う方剤で、その作用によって行気剤、鎮静剤、補気強壮剤の3つに分類します。
①行気剤
気のうっ滞、沈滞などによって起こるのどの違和感、空咳、胸腹部のはりや膨満感などの諸症状に用い、気の循環を改善します。
例:半夏厚朴湯、柴朴湯、大柴胡湯、茯苓飲
②鎮静剤
気の上衡によって起こるのぼせ、頭重感、めまい、身体動揺感、動悸、精神不安などの諸症状を、降気鎮静して改善します。
例:苓桂朮甘湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、甘麦大棗湯、釣藤散、抑肝散、加味逍遙散
③補気強壮剤
体力低下や疲労倦怠、精力減退など、虚弱体質や加齢による衰えを改善する方剤です。
活性化する臓器によって補脾胃・補肺強壮剤、補腎強壮剤の2つに分類します。
[補脾胃・補肺強壮剤]
気を産生するもととなる脾胃(胃腸系)や、気を全身に巡らせる肺の働きが弱くなったために体力低下や疲労倦怠を呈するものに、脾胃や肺を強化し、気を補って体全体の強壮を図ります。
例:(補脾胃・補肺の両作用を持つ強壮剤)人参湯、補中益気湯、十全大補湯 (補脾胃作用を持つ強壮剤)六君子湯、小建中湯、大建中湯
[補腎強壮剤]
腎気を補うことで、腎の支配領域である泌尿器系や生殖器系の陽気不足による不調(頻尿、夜間排尿、むくみ、精力減退など)を改善します。
また、腎は先天の精気を蔵しているので、生殖機能のほか、成長や老化に関わるさまざまな不調の(発育不良、難聴、白髪、足腰の衰えなど)の改善にも用いられます。
例:八味地黄丸およびその類方

【血剤】
血流量・血液成分の不足や、お血に起因する諸症状を改善する方剤です。
その働きによって補血剤と駆お血剤に分類します。
①補血剤
循環血流量や血液成分の不足を補い、血行を促進することによって体を温め、血液不足により起こる貧血、月経不順、月経痛、倦怠感、低血圧、めまい、息切れなどの諸症状を改善します。
例:当帰芍薬散、四物湯、温清飲、芎帰膠艾湯、十全大補湯、加味帰脾湯、加味逍遙散
②駆お血剤
お血(体内にうっ滞し生理活性を失った血液)を排除することにより、血行を促進し、月経不順、月経痛、頭痛、肩こり、めまい、イライラ、更年期障害、子宮筋腫、にきび、吹き出物、お血に伴う痛みなどを改善する方剤です。
例:桂枝茯苓丸、桃核承気湯、疎経活血湯

【利水剤】
むくみ、小便不利、めまい、頭重、胃内停水、関節水腫など、水分代謝の低下により生理活性を失った水分が体内にうっ滞した状態を水滞や水毒と呼びます。
利水剤は、水分代謝を促進して水滞(水毒)を体外に排出する方剤です。
例:五苓散、柴苓湯、猪苓湯、真武湯、苓姜朮甘湯、八味地黄丸、五淋酸、防己黄耆湯

【健胃剤】
胃腸系の機能を調え、下痢、嘔吐、胃痛、腹はりなどを改善する方剤で、主たる作用によって3つの用途に分類します。
①止瀉・止嘔(胃腸の炎症や機能低下を改善し、下痢や嘔吐を止める)
例:半夏瀉心湯、黄連解毒湯、六君子湯、茯苓飲、人参湯、五苓散
②止痛(冷えやストレスに伴う腹痛や胃痛を改善する)
例:安中散、小建中湯、大建中湯
③去湿(胃腸の湿を除き、腹部膨満や腹はり、軟便を改善する)
例:平胃散

【鎮咳去痰剤】
咳や痰の原因となる呼吸器系の炎症や津液不足、胸腹部の水毒、胸部から咽喉部にかけての気のうっ滞を改善し、鎮咳去痰する方剤です。
例:麻杏甘石湯、麦門冬湯、小青竜湯、麻黄附子細辛湯、半夏厚朴湯、柴朴湯

【筋肉関節鎮痛剤】
筋肉や関節の痛みの原因には、風邪、湿邪、寒邪の三邪、お血、筋肉の異常緊張などがあります。これらの原因を見極め、方剤を選定します。
①風邪には発表剤を用います。
例:葛根湯
②湿邪には発表・温補剤を用います。
例:麻杏よく甘湯、よくい仁湯、防己黄耆湯
③寒邪には発表・温補剤を用います。
例:桂枝加朮附湯
④関節の腫れなど炎症が顕著な場合は発表・利湿・清熱剤を用います。
例:越婢加朮湯、桂芍知母湯
⑤お血の影響がある場合は駆お血・鎮痛作用を持つ方剤を用います。
例:疎経活血湯
⑥こむら返りなど筋肉の異常緊張がある場合は緊張緩和作用を持つ方剤を用います。
例:芍薬甘草湯、芍薬甘草附子湯

気血水

【気】
気には広義の気と狭義の気があります。
広義の気は生命エネルギー全体を指し、狭義の気は主に精神領域を指します。
気の変調は、この精神領域を中心に考えますが、強いストレスなどで、変調が長期化しまうと生命エネルギーにも影響を及ぼし、臓器や器官が正常に働かなくなり、気血水も滞りがちとなり、エネルギー切れのような状態を引き起こすこともあります。
気の変調には、気虚、気滞、気逆の3つの病態があります。

【血】
血の流れがスムーズに保たれていれば、体は十分に栄養され、血流によって体全体が温められ、意識も明瞭となります。
しかし冷えや血流障害、造血機能の変調、婦人科系機能の失調が起こると、貧血や血行不良に伴う症状が起こります。
特に血は婦人科系との関連が深いので、女性は、男性よりも血の変調の影響を大きく受けます。
血の変調には、血虚、お血、出血があります。

【水】
水は臓器や皮膚、関節などの体の各部分を循環して水分と栄養を与えます。
飲食の不摂生や尿不利、水分代謝の異常などで水に変調が起きると、体液の不足や、逆に水分が十分に排泄されずむくむなどの症状が起きます。
また、乾燥や逆に湿気の多い環境なども水の変調の要因となります。
水の変調には、津液不足、水滞、湿があります。
なお、日本漢方では水の停留による障害を「水毒」といい、これは水滞の概念を包括しています。

【気虚】
過労やストレス、生活の不摂生、慢性病などによって気の消耗が激しい場合や胃腸虚弱、栄養不良などで気の生成が十分に行えない場合に起こる病態。
[症状]
●精神症状(意欲や気力の低下)
●エネルギー不足(疲れやすい、倦怠感、息切れ)
●気の働きの低下(体の冷え、食欲不振、自汗)
[治療法]
補気剤を用いて気を充実させる→意欲や体力を上げる
(胃腸に不調がある場合は、気の生成が十分行えないため、合わせて胃腸機能の回復を図る)
[処方]
補中益気湯、人参湯など

【気滞】
感情の激しい変化、精神的なストレスなどにより、気の流れが悪くなった時に起こる病態。
多くは胸脇部で気がつまったような感覚を持つ。
精神的な原因以外にも、飲食の不摂生、冷え、湿邪などが原因する場合もある。
[症状]
●胸部の気滞(焦燥感、不安、抑うつ感)
●咽喉部の気滞(梅核気:喉もとに梅の種が引っかかったような独特の違和感、空咳)
●腹部の気滞(神経性胃炎、吐き気、腹満)
[治療法]
行気剤を用いてうっ滞している気を巡らせる→精神安定を図り、抑うつ感を除く。梅核気や腹満を除く
[処方]
半夏厚朴湯、柴朴湯など

【気逆】
本来、臍下丹田に収まっているべき気が、過度の精神的ストレスや強い怒りの感情などにより、上部に突き上げる病態。
飲食の不摂生、足元の冷え、胃内停水なども悪化の要因となる。
[症状]
●気の上衡(のぼせ、イライラ、動悸、めまい、頭痛、不眠)
●胃腸への影響(げっぷ、吐き気)
[治療法]
降気剤により上衡した気を降ろす→精神安定を図る。動機を鎮め、頭痛、のぼせを治す
[処方]
桂枝加竜骨牡蛎湯、甘麦大棗湯など

【血虚】
出血や造血機能の低下により貧血状態を起こす病態。
産後や術後の出血過多、月経過多、栄養不良、胃腸の不調などが原因となる。
(血流量の不足だけでなく、重度のお血体質で血の栄養機能が衰えた場合も含む)
[症状]
●貧血症状(全身倦怠、目のかすみ、動悸、めまい、冷え症、顔色が悪い、肌に艶がない、爪がもろい、体力がない)
●婦人科系への影響(無月経、不妊症)
[治療法]補血剤を用いて、血を補う→貧血状態を改善。婦人科系機能の回復
(胃腸の不調による栄養不良がある場合は、合わせて治療する)
[処方]
四物湯、十全大補湯など

【お血】
血液や血流の障害、婦人科系の代謝不全などで血流が滞り起こる病態。
飲食の不摂生、喫煙、飲酒過多なども原因となる。
(お血は全身症状だが、打ち身や捻挫など外傷での内出血なども局所的なお血と捉える)
[症状]
●月経時のお血塊(レバー状の血塊)の排出
●冷えのぼせ
●婦人科系の不調(月経不順、月経痛、月経前症候群、子宮筋腫、不妊症)
●血行不良による症状(肩こり、頭痛、吹き出もの、あざができやすい)
[治療法]
駆お血剤を用いて、お血を排除する→血行不良の改善、婦人科系機能失調の改善
[処方]
桂枝茯苓丸、桃核承気湯など

【出血】
外傷、感染症、婦人科系の不調、内臓疾患、痔、出血性の諸疾患など、あらゆる種類の出血が対象。
手術や出産による出血も含まれる。
[症状]
●各種出血症状(吐血、鼻血、血尿、痔出血、月経過多、不正出血など)
●出血による血の不足の症状(顔色が悪い、肌にはりや艶がない)
[治療法]
止血剤を用いて、出血を止める。あわせて血を補う→貧血を改善
[処方]
芎帰膠艾湯、猪苓湯など

【津液不足】
飲食の不摂生や摂取不足、嘔吐、下痢、発汗過多、長期に及ぶ熱性疾患などにより体液が不足した病態。
(部分的な津液不足では乾燥時の咽痛やのどかぜなども含まれる)
[症状]
●皮膚や粘膜の乾燥(乾燥肌、乾燥性の湿疹、かゆみ、髪のぱさつき、ドライアイ)
●呼吸器系の乾燥(口渇、声がれ、のどかぜ)
●体液不足(乾燥性便秘、尿量減少)
[治療法]
補津液剤を用いて津液を補う→皮膚や粘膜を滋潤
[処方]
麦門冬湯、銀翹散、白虎加人参湯など

【水滞】
水分のとり過ぎ、腎系統の不調、循環器系統の不調、胃腸や体内の水分代謝不良、冷えなどにより水分の排出が不十分となり、余分な水分が体内に貯留している病態。
(部分的な水滞では、胃内停水や関節の水腫なども含まれる)
(日本漢方では、水の停留による障害を「水毒」という。これは水滞の概念を包括している。)
[症状]
●水滞症状(尿不利、むくみ、胃内停水、吐き気、下痢、咳、痰)
●筋肉や関節での水滞(足腰のだるさ、関節水腫)
●水の上衡(動悸、めまい、耳鳴り、頭重感)
[治療法]
利水剤を用いて利尿を促進し、水分代謝を改善→体内に貯留した余分な水分を排出
[処方]
五苓散、小青竜湯、真武湯など

【湿】
飲食の不摂生、水分のとり過ぎ、湿気の強い環境下などが原因で胃腸や体表にガス状の希薄な水分(湿)が滞留した病態。
[症状]
●胃腸に滞留(腹部膨満感、おなら、食欲不振、軟便、しぶり腹)
●体表に滞留(手足の倦怠感、筋肉関節痛、下半身の冷汗、じゅくじゅくした湿疹)
●膀胱への影響(残尿感、膀胱炎)
[治療法]
利水剤や利湿剤を用いて、利尿や発汗を促進→体表および体内の湿を除く
[処方]
平胃散、麻杏よく甘湯、防己黄耆湯など

参考書籍:東洋医学おさらい帳

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バンコマイシン血中濃度の適切な採血指示は?

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薬剤師

アミノ配糖体系抗菌薬使用時の血中濃度モニタリングのポイントは「投与直前と投与開始1時間後」であるが、バンコマイシンの血中濃度採血指示で適切なのは次のうちどれか。
A. 投与直前(トラフ値)
B. 投与終了直後(ピーク値)
C. 投与開始1時間後(ピーク値)
D. 投与開始2~3時間後(ピーク値)
E. 投与直前と投与開始2~3時間後

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