2018年8月21日更新.3,307記事.5,464,727文字.

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過活動膀胱治療薬一覧

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分類商品名一般名
膀胱平滑筋直接作用薬ブラダロンフラボキサート塩酸塩
抗コリン薬ポラキスオキシブチニン塩酸塩
抗コリン薬ネオキシオキシブチニン塩酸塩
抗コリン薬バップフォープロピベリン塩酸塩
抗コリン薬ベシケアコハク酸ソリフェナシン
抗コリン薬デトルシトール酒石酸トルテロジン
抗コリン薬ウリトス/ステーブライミダフェナシン
抗コリン薬トビエースフェソテロジンフマル酸塩
β3刺激薬ベタニスミラベグロン

過活動膀胱


過活動膀胱は尿意切迫感(急に排尿したくなり、これ以上我慢すると漏らしてしまいそうになること)を有し、通常これに頻尿(1日8回以上排尿すること)および夜間頻尿(睡眠時間中に1回以上排尿に起きること)を伴い、切迫性尿失禁(排尿したくなってすぐに我慢できずに失禁してしまうこと)を伴うこともあれば伴わないこともある状態と言われています。


下部尿路症状とは、尿をためる、出す、に関係する症状を広く意味する用語で、主に「蓄尿症状」、「排尿症状」、「排尿後症状」の3つに分けられます。

蓄尿症状とは、頻尿(尿の回数が多い)、夜間頻尿や、急に抑えきれないような強い尿意を感じる尿意切迫感、不随意に尿が漏れる尿失禁などを含みます。
排尿症状とは、尿勢の低下(尿の勢いが弱い)、尿線の途絶(排尿が1回以上途切れる)、排尿遅延(排尿準備ができてから開始までに時間のかかる)などを含みます。
排尿後症状とは残尿感(排尿後に完全に膀胱が空になっていない感じがする)、排尿後尿滴下(排尿直後に不随意的に尿が出てきてしまう)を含みます。

下部尿路症状をおこす疾患で代表的なものに前立腺肥大症、過活動膀胱、脳血管障害や末梢神経障害などの神経の病気、尿道狭窄症などがあります。

過活動膀胱の第1選択薬は抗コリン剤。
口渇・口内乾燥感や緑内障患者への投与に注意。
β3受容体刺激薬は抗コリンと作用機序が異なり副作用も少ない。

尿意切迫、切迫性尿失禁、頻尿を主な症状とする過活動膀胱には、フェソテロジン、トルテロジン、ソリフェナシン、イミダフェナシンなどの選択制ムスカリン受容体拮抗薬(抗コリン薬)または抗コリン作用とCa拮抗作用があるプロピベリンが処方される。
 
高齢者では抗コリン薬の口内乾燥、便秘、霧視、残尿の増加などの副作用が出現しやすい。
さらにベンゾジアゼピン系薬、三環系抗うつ薬、抗精神病薬など抗コリン作用の強い薬剤がすでに処方されていないか注意する。
 
オキシブチニン貼付剤(ネオキシ)は、急激な血中濃度の上昇が抑制されるため、抗コリン性の副作用が少なく、服薬数が多い症例や内服困難症例に対しては選択肢の一つとなる。
抗コリン薬は閉塞隅角緑内障では禁忌。
男性では、抗コリン薬は選択的α1阻害薬と併用する。
 
β3受容体作動薬ミラベグロンは過活動膀胱治療薬として抗コリン薬と同等の効果が期待できる。
高血圧、QT延長や心室性不整脈などの副作用があるため心血管疾患患者では注意が必要である。

抗コリン薬

過活動膀胱の第1選択薬として使用されています。
抗コリン薬はムスカリン受容体の遮断作用により効果を発揮しますが、受容体の選択性により作用が異なります。
膀胱にはM2 ・ M3 が分布していますが膀胱平滑筋の直接収縮にはM3受容体が主であると言われています。
M3選択性の高いのはイミダフェナシン・コハク酸ソリフェナシンで、M2選択性が低いため心臓への影響が少ないのですが、M3受容体遮断による口内乾燥感の副作用の頻度が高いので注意が必要です。
 
コハク酸ソリフェナシンは唾液腺に比べて膀胱に選択性が高いためイミダフェナシンより口内乾燥感の副作川は出にくいと言われています。
酒石酸トルテロジンは非選択的ですが、膀胱への組織移行性が高いため心臓への影響や口内乾燥感も少なく、分子量が大きいため血液脳関門(BBB)の通過も低いので認知機能への影響が少ない高齢者に使いやすい薬剤です。
抗コリン作用(十)のため緑内障患者への投与は注意が必要です。

膀胱平滑筋直接作用薬(ブラダロン)

直接、膀胱の筋肉収縮を抑制したり筋肉を緩めることで膀胱容最を増大させ、排尿反射を抑制します。
抗コリン薬に比べるとその効果は劣りますが、副作用も抗コリン薬に比べて少ないです。

β3受容体作動薬

膀胱の機能調節には、副交感神経(骨髄神経)、交感神経(下腹神経)、体性神経(陰部神経)が関与し、いずれの神経も求心路を含んでいる。
畜尿期には、交感神経終末からノルアドレナリンが放出され、膀胱平滑筋(排尿筋)のβ受容体サブタイプ(β1、β2、β3)のβ3い受容体を介して尿道が収縮する。
排尿期にはノルアドレナリンの放出が抑制され、尿道が弛緩するとともに、副交感神経の末端からアセチルコリンが放出され、ムスカリンM3、M2受容体を介して膀胱平滑筋(排尿筋)が収縮する。

しかし、過活動膀胱では畜尿期においてもアセチルコリンが放出され、膀胱のムスカリン受容体に結合し、膀胱平滑筋(排尿筋)の異常な収縮が起きる。
そのため、過活動膀胱では十分な量の尿をためられるだけの膀胱平滑筋(排尿筋)の弛緩が起こらない。

ベタニス(ミラベグロン)はヒト膀胱平滑筋のβ3受容体に対し極めて選択的に作用する選択的β3アドレナリン受容体作動薬である。
ちなみに、ヒト膀胱平滑筋の弛緩を主に受け持つサブタイプはβ3受容体であり、β受容体を遺伝子発現量(mRNA発現量)で比較すると、β1とβ2はそれぞれ1.5%および1.4%にすぎず、β3受容体が全体の97%を占めている。
ベタニスが膀胱のβ3受容体に結合すると、β3受容体の活性化を介して膀胱(排尿筋)の平滑筋細胞内でアデニル酸シクラーゼが活性化し、cAMPの産生が促進される。
これにより、細胞質内のカルシウム(Ca2+)濃度が低下し、畜尿期のノルアドレナリンによる膀胱平滑筋(排尿筋)の弛緩作用を増強し、膀胱容量を増大させる。これにより、膀胱は正常な畜尿期の状態に近づき、過活動膀胱の症状が改善される。

また、従来使われてきた抗コリン薬は膀胱のムスカリンM3、M2受容体に結合し、アセチルコリンがムスカリン受容体に結合するのを阻害する。
これにより、アセチルコリンによって引き起こされる膀胱平滑筋の異常な収縮が抑制され、症状が改善する。

なお、β3受容体は、当初脂肪細胞に存在することが報告され、その刺激によってミトコンドリアの酸化的リン酸化を脱共役させ、エネルギーを熱として散逸させることから、β3受容体刺激薬は抗肥満薬として期待が持たれているが、現在のところその開発は成功していない。

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