2018年12月18日更新.3,342記事.5,770,694文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

高血圧の勉強まとめ

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分類分類商品名一般名
利尿薬サイアザイド利尿薬フルイトラントリクロルメチアジド
利尿薬サイアザイド利尿薬ヒドロクロロチアジドヒドロクロロチアジド
利尿薬サイアザイド利尿薬ベハイドベンチルヒドロクロロチアジド
利尿薬サイアザイド類似利尿薬アレステンメチクラン
利尿薬サイアザイド類似利尿薬ナトリックス/テナキシルインダパミド
利尿薬サイアザイド類似利尿薬ノルモナールトリパミド
利尿薬サイアザイド類似利尿薬バイカロンメフルシド
利尿薬カリウム保持性利尿薬アルダクトンAスピロノラクトン
利尿薬カリウム保持性利尿薬セララエプレレノン
利尿薬カリウム保持性利尿薬トリテレントリアムテレン
β遮断薬β1選択性ISA-テノーミンアテノロール
β遮断薬β1選択性ISA-メインテートビソプロロールフマル酸塩
β遮断薬β1選択性ISA-ビソノテープビソプロロールフマル酸塩
β遮断薬β1選択性ISA-ケルロングベタキソロール塩酸塩
β遮断薬β1選択性ISA-ロプレソール/セロケンメトプロロール酒石酸塩
β遮断薬β1選択性ISA+アセタノールアセブトロール塩酸塩
β遮断薬β1選択性ISA+セレクトールセリプロロール塩酸塩
β遮断薬β1非選択性ISA-ハイパジールニプラジロール
β遮断薬β1非選択性ISA-インデラルプロプラノロール塩酸塩
β遮断薬β1非選択性ISA-ナディックナドロール
β遮断薬β1非選択性ISA+ミケランカルテオロール塩酸塩
β遮断薬β1非選択性ISA+カルビスケンピンドロール
β遮断薬β1非選択性ISA+ブロクリン-Lピンドロール
β遮断薬αβ遮断薬ローガンアモスラロール塩酸塩
β遮断薬αβ遮断薬アロチノロール塩酸塩アロチノロール塩酸塩
β遮断薬αβ遮断薬アーチストカルベジロール
β遮断薬αβ遮断薬トランデートラベタロール塩酸塩
β遮断薬αβ遮断薬カルバンベバントロール塩酸塩
α遮断薬エブランチルウラピジル
α遮断薬ハイトラシン/バソメットテラゾシン塩酸塩水和物
α遮断薬カルデナリンドキサゾシンメシル酸塩
α遮断薬デタントールブナゾシン塩酸塩
中枢性交感神経抑制薬カタプレスクロニジン塩酸塩
中枢性交感神経抑制薬ワイテンスグアナベンズ酢酸塩
中枢性交感神経抑制薬アルドメットメチルドパ水和物
末梢性交感神経抑制薬アポプロンレセルピン
末梢性交感神経抑制薬ベハイドRAレセルピン+ベンチルヒドロクロロチアジド+カルバゾクロム
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)ノルバスク/アムロジンアムロジピンベシル酸塩
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)ランデルエホニジピン塩酸塩エタノール付加物
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)アテレックシルニジピン
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)ペルジピンニカルジピン塩酸塩
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)バイミカードニソルジピン
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)バイロテンシンニトレンジピン
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)アダラート/セパミットニフェジピン
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)ニバジールニルバジピン
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)ヒポカバルニジピン塩酸塩
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)スプレンジールフェロジピン
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)コニールベニジピン塩酸塩
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)カルスロットマニジピン塩酸塩
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)カルブロックアゼルニジピン
Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)サプレスタ/ベックアラニジピン
Ca拮抗薬+スタチン系薬カデュエットアムロジピンベシル酸塩+アトルバスタチンカルシウム水和物
Ca拮抗薬(ベンゾチアゼピン系)ヘルベッサージルチアゼム塩酸塩
血管拡張薬アプレゾリンヒドララジン塩酸塩
ACE阻害薬カプトリルカプトプリル
ACE阻害薬レニベースエナラプリルマレイン酸塩
ACE阻害薬セタプリルアラセプリル
ACE阻害薬アデカットデラプリル塩酸塩
ACE阻害薬インヒベースシラザプリル水和物
ACE阻害薬ロンゲス/ゼストリルリシノプリル水和物
ACE阻害薬チバセンベナゼプリル塩酸塩
ACE阻害薬タナトリルイミダプリル塩酸塩
ACE阻害薬エースコールテモカプリル塩酸塩
ACE阻害薬コナンキナプリル塩酸塩
ACE阻害薬オドリック/プレラントランドラプリル
ACE阻害薬コバシルペリンドプリルエルブミン
ARBニューロタンロサルタンカリウム
ARBブロプレスカンデサルタンシレキセチル
ARBディオバンバルサルタン
ARBミカルディステルミサルタン
ARBオルメテックオルメサルタンメドキソミル
ARBイルベタン/アバプロイルベサルタン
ARBアジルバアジルサルタン
ARB+利尿剤プレミネントロサルタンカリウム+ヒドロクロロチアジド
ARB+利尿剤コディオバルサルタン+ヒドロクロロチアジド
ARB+利尿剤エカードカンデサルタンシレキセチル+ヒドロクロロチアジド
ARB+利尿剤ミコンビテルミサルタン+ヒドロクロロチアジド
ARB+利尿剤イルトライルベサルタン+トリクロルメチアジド
ARB+Ca拮抗薬エックスフォージバルサルタン+アムロジピンベシル酸塩
ARB+Ca拮抗薬レザルタスオルメサルタンメドキソミル+アゼルニジピン
ARB+Ca拮抗薬ユニシアカンデサルタンシレキセチル+アムロジピンベシル酸塩
ARB+Ca拮抗薬ミカムロテルミサルタン+アムロジピンベシル酸塩
ARB+Ca拮抗薬アイミクスイルベサルタン+アムロジピンベシル酸塩
ARB+Ca拮抗薬アテディオバルサルタン+シルニジピン
ARB+Ca拮抗薬ザクラスアジルサルタン+アムロジピンベシル酸塩
ARB+Ca拮抗薬+利尿剤ミカトリオテルミサルタン+アムロジピンベシル酸塩+ヒドロクロロチアジド
レニン阻害薬ラジレスアリスキレンフマル酸塩

高血圧

血圧とは血管にかかる圧力のこと。高血圧はその圧力が高い状態です。
左心室より駆出された血液は血管系を介し全身を循環するが、この際に動脈壁に生じる圧力が血圧である。

血圧が高い一番の問題は、「動脈硬化を引き起こす」ことです。高い圧力が続くと、その圧力に耐えるために血管壁が堅く・厚くなり、コレステロールなどの脂質がたまりやすくなり、通り道は狭くなるため、さらに血圧が上昇します。

高血圧は、血圧が持続的に上昇した病態であり、多くの場合は末梢血管抵抗の増大によって引き起こされます。
高血圧は、脳卒中、心筋梗塞などの心血管疾患の主要な危険因子であり、健康寿命の増進を図るうえで、血圧の管理は重要な問題である。
高血圧は、動脈硬化の進行や心負荷の増大を介して、脳や腎臓、心臓、大血管などの臓器障害を引き起こします。
これらの臓器障害は、高血圧患者の生命予後に強い影響を及ぼします。

血圧は左室収縮期に最高値(収縮期血圧)、左室拡張期に最低値(拡張期血圧)となり、それぞれが一定のレベルを超えた場合(収縮期血圧≧140mmHgあるいは拡張期血圧≧90mmHg)が高血圧である。

食塩摂取制限を中心とした生活習慣改善の啓発や各種の優れた降圧薬導入などにより、1970年代以降、国民の血圧値は各年齢層で低下傾向にあるが、60歳以降では男女とも男女とも高血圧の頻度が50%を超え、わが国では約4000万人が高血圧であると推定される。

高血圧は心血管疾患(脳血管障害、虚血性心疾患)のリスクを高め、この比例関係は140/90mmHg未満の正常値領域においても延長され、疫学的には115/75mmHgくらいまでは血圧が低値であるほどリスクが小さく、The lower,The better の考え方が指示される。

高血圧合併症

【脳血管障害】
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害患者では、急性期・慢性期ともに高血圧を合併している割合が高い。
高血圧は脳血管障害の再発に関与する最も重要な危険因子である。

【腎疾患】
高血圧と慢性腎臓病(CKD)は互いの発症・進展に影響を及ぼす悪循環を形成する(心腎連関)。
CKDは、夜間の降圧が消失するなどの血圧の日内変動異常がみられ、心血管病の危険因子となっているほか、高率に睡眠時無呼吸症候群を合併し、高血圧の重症化に関与することが報告されている。

【心疾患】
高血圧により、心肥大や心筋リモデリング、冠動脈硬化などが進展すると、虚血性心疾患や心不全、不整脈、突然死などが生じる。
また、高血圧は心房細動の最も重要な危険因子であり、慢性心房細動患者における脳卒中や動脈塞栓症のリスクも増大させる。

【血管疾患】
高血圧は、大動脈解離や大動脈瘤、動脈硬化性末梢動脈閉塞症などの発症・進展に関与すると考えられる。

本態性高血圧

本態性高血圧とは、原因の特定できない高血圧であり、その発症・進展には遺伝的要因と生活習慣などの環境要因が関与する多因子疾患と考えられています。

二次性高血圧

二次性高血圧とは、特定の原因による高血圧を指し、比較的頻度の高いものとして腎実質性高血圧、腎血管性高血圧、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群などが知られています。
原因となる疾患や薬剤に対処することにより血圧の低下が期待されるため、鑑別診断が重要とされます。

血圧

血圧は、心拍出量や末梢血管抵抗によって規定されており、心拍出量および末梢血管抵抗の変動には、Naの摂取・排泄量や自律神経系(交感神経系、副交感神経系)、レニンーアンジオテンシン系(RA系)など多くの要因が関係しています。

〇血圧上昇に関与する主な因子
●体液量
体液量の調節には、腎における水・Naの排泄が大きな役割を担っています。
腎障害など、Naを十分に排泄できない病態においては、食塩の過剰摂取が体液増加を招き、心拍出量の増加による血液の上昇につながります。

●心収縮力
交感神経系(主にβ1作用)やRA系の活性化は、心収縮力の増大や心拍数の増加を招き、心拍出量の増加による血液の上昇につながります。

●血管緊張
交感神経系(主にα1作用)やRA系の活性化は、血管の収縮を招き、末梢血管抵抗の増大による血圧の上昇につながります。
このほかに、血管作動物質(エンドセリン、プロスタグランジン、心房性Na利尿ペプチド、一酸化窒素など)の増減も血管収縮に関与します。
また、高血圧の持続により生じる血管リモデリング(血管の肥厚など)は、末梢血管抵抗の持続的な上昇につながります。

 収縮期血圧 拡張期血圧
至適血圧< 120かつ< 80
正常血圧120-129かつ80-84
正常高値血圧130-139または85-89
I 度高血圧140-159または90-99
II 度高血圧160-179または100-109
III 度高血圧≧180または≧ 110
(孤立性)収縮期高血圧≧140かつ< 90

血圧は、140/90mmHgを基準として正常域血圧と高血圧に分類されます。
さらに、正常域血圧は至適血圧・正常血圧・正常高値血圧に、高血圧はⅠ~Ⅲ度高血圧、(孤立性)収縮期高血圧(高齢者に多くみられる病態で、高齢者における心血管病の危険因子として重要視される)に亜分類されます。

血圧の日内変動

一般に、血圧は睡眠中に最も低く、起床前から日中にかけて上昇し、夕方から夜にかけて低下するサーカディアンリズムを示します。

通常、夜間血圧は昼間の血圧に対して10~20%程度低下します(dipper)。
一方、血圧日内変動に異常が生じ、夜間の血圧低下が少ない場合(non-dipper)や夜間血圧が上昇する場合(riser)、夜間血圧が過度に低下する場合(extreme-dipper)があります。
血圧の日内変動異常は、心血管病などの発症リスクに関与すると考えられています。

降圧目標値

 診察室血圧家庭血圧
若年、中年、前期高齢者140/90mmHg未満135/85mmHg未満
後期高齢者150/90mmHg未満145/86mmHg未満
糖尿病患者130/80mmHg未満125/75mmHg未満
CKD患者(蛋白尿陽性)130/80mmHg未満125/75mmHg未満
脳血管障害患者、冠動脈疾患患者140/90mmHg未満135/85mmHg未満

【早朝高血圧】
飲酒、喫煙、寒冷などの影響や、起立性高血圧、血管の硬さの増大、高圧薬の持続不十分などの要因により、早朝時の血圧上昇が顕著になる。
夜間高血圧から移行するタイプと、朝方に急峻に昇圧するサージタイプがあり、いずれも心血管病リスクとなる。

【昼間高血圧】
職場や家庭などのストレス状況下において高血圧を示す病態で、ストレス下高血圧と呼ばれる。

【夜間高血圧】
心・腎不全に伴う循環血液量の増加、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、脳血管障害などにより、夜間における血圧低下の減少や、血圧上昇がみられる。
夜間昇圧型(riser)の血圧日内変動異常を伴う場合は、心血管リスクが高く特異度の高い夜間高血圧となる。

診察室血圧と診察室外血圧

血圧は、診察室血圧と診察室外血圧(家庭血圧、ABPM)の測定によって、正常域血圧・白衣高血圧・仮面高血圧・持続性高血圧に分類されます。

【白衣高血圧】
診察室血圧は高血圧を示しても、診察室外血圧が正常域血圧を示す場合は白衣高血圧に分類されます。
白衣高血圧は、持続性高血圧と比較すると臓器障害が軽度であり心血管予後も良好のため、積極的な降圧薬治療の対象とはなりません。
しかし、将来的に持続性高血圧に移行し、心血管イベントのリスクを高めることがあるため、定期的な経過観察が必要とされています。

【仮面高血圧】
診察室血圧は正常域血圧を示しても、診察室外血圧が高血圧を示す場合は仮面高血圧に分類されます。
仮面高血圧は、心血管イベントのリスクが持続性高血圧と同程度であり、降圧薬治療の対象となります。
また、診察室血圧および家庭血圧が正常であっても、時間帯によって高血圧を示す仮面高血圧も存在します。
そのため、家庭血圧が125~134/80~84mmHgである場合は、ABPMを用いて早朝高血圧・昼間高血圧・夜間高血圧の診断を行うことが望ましいとされています。

降圧薬

高血圧治療薬は、医薬品の分類の一つであり、何らかの原因で血圧が正常範囲から持続的に逸脱している場合(いわゆる高血圧)、具体的には収縮期血圧(最高)が140mmHg以上あるいは拡張期血圧(最低)が90mmHg以上の場合に、その血圧を低下させる目的で用いられる治療薬であるが、この基準値は患者の年齢や糖尿病などの基礎疾患の有無により異なる。

また、家庭血圧と診療室血圧の値がそれぞれ異なる値を示すことが明らかにされており、ガイドラインにおいても考慮されている。日本の高血圧人口は4000万人に及ぶとも言われ、もはや国民的な疾患であると言える。高血圧は生活習慣病の一つに位置づけられ、自覚症状はほとんど認められないものの、血管内皮の障害を起因として動脈硬化症を発症する原因となり、さらにそこから虚血性心疾患や脳卒中など種々の合併症が引き起こされることから問題となる。

高血圧の最終的な治療目的は脳卒中や心不全などの二次的疾患を予防し、生命予後を改善することにある。高血圧の発症には食生活や喫煙などの生活習慣が大きく関与することから、基本的にはこれらを改善することによる治療(非薬物療法)が試みられるが、目標値が達成不可能である場合には薬物治療が行われることになる。血圧のコントロールは自律神経系やレニン-アンジオテンシン系(RA系)をはじめとした液性因子などによって行われており、現在発売されている降圧薬は主にこれらの機構をターゲットとしている。

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

この薬は血管を収縮させる物質(アンジオテンシンⅡ)が、血管の特定部位(AⅡ受容体)に結びつくのを防ぎ、血管収縮を抑えることによって末梢の血管を拡げて血圧を下げる薬です。

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(Angiotensin Ⅱ Receptor Blocker, ARB)は、アンジオテンシンⅡ(AⅡ)と拮抗し、AⅡがAⅡ受容体への結合を阻害することにより血圧の降下作用を示す薬物である。

カルシウム拮抗薬と同じく高血圧症の治療薬であるが、1970年代にARBの基本骨格を創製したのは、武田薬品工業である。
現在、日本国内で発売されているのは、ロサルタン(商品名:ニューロタン)、バルサルタン(商品名:ディオバン)、カンデサルタンシレキセチル(商品名:ブロプレス)、テルミサルタン(商品名:ミカルディス)、オルメサルタン メドキソミル(商品名:オルメテック)、イルベサルタン(商品名 アバプロ/イルベタン)、アジルサルタン(商品名:アジルバ)などがある。

ARBはアンジオテンシンⅡのAT1受容体を選択的に抑制します。キマーゼ系のアンジオテンシンⅡの産生も阻害します。
ARBには心・腎の保護作用があることがわかっています。
高血圧患者さんでは一次予防も大事ですが、とくに重視されているのが二次予防です。
心臓に関しては、一度心筋梗塞を起こした人の再梗塞を防ぐことや、心筋梗塞の人が心不全になるのを防ぐことが重要なポイントになります。
さらに、ARBは糖尿病の新規発症を抑制するとのデータも出ていますが、現時点ではそれが二次予防には結びつかないという報告が多く出されており、糖尿病に関しては二次予防までは欲張らないほうがよいと思われます。
腎臓は血液検査や尿検査など測定項目がたくさんあり、評価しやすいので、腎臓に対する効果は一番わかりやすいといえます。
経験的にも、腎障害の進展を遅くする効果は確実にあると思われます。ただ、腎障害がかなり進行してしまった患者さんに関してはなかなか難しいので、高血圧の初期から服用するとその後の進展が抑えられます。

投与対象としては、ACEと比べると、強力な降圧効果がないかわりに副作用も出にくいので、比較的高齢の方(70歳代前半ぐらいまで)で、臓器障害が少し進んだ患者さんにも使えます。
また、ACE阻害薬を使ってみて副作用などで忍容性がなく、継続して飲めない患者さんは、ARBに変更すると飲めるようになります。
ただ、副作用は少ないとはいえ、ふらつきや高カリウム血症が出現することがあるので、とくに腎機能障害がある人への投与には注意を要します。
他のRAS阻害薬と併用する場合は、腎機能障害の増悪、高カリウム血症などに注意が必要です。

ACE阻害薬

この薬は血管を収縮させる物質(アンジオテンシンⅡ)を生成する酵素(アンジオテンシン変換酵素)の働きを抑えて、アンジオテンシンⅡの産生を抑えて、末梢の血管を拡げて血圧を下げる薬です。

心臓に問題がある人に大して、最初にエビデンスが出てきたのがACE阻害薬です。
ACEを阻害することでアンジオテンシンⅡの産生を抑制するとともに、生理活性物質のブラジキニンの分解を抑制してNOの放出を促し、心血管を保護する作用があります。
また、降圧による臓器血流の減少が起こりにくい、腎保護作用がある、起立性低血圧を起こしにくいなどの特徴があります。

ACE阻害薬の作用が強力な半面、副作用(有害事象)もいろいろあります。代表的なのが空咳です。ブラジキニンはACEによって分解されますが、ACE阻害薬によって分解を抑制され、その結果蓄積が起こり、気道にある受容体を刺激して空咳を起こすと考えられています。
空咳が出るのは、服用後1~2か月後が多いですが、1~2年後に出てくることもあります。
風邪と勘違いしている人もいるので、空咳が長引くときは主治医に相談したほうがよいでしょう。
空咳以外にも浮腫、発疹、味覚障害が出現することがあります。また、腎機能障害がある人ではさらに悪化させることがあるので、用量の調節が必要になります。

投与対象としては、高血圧がある比較的若年層(50~60歳代前半)で、他の臓器の障害がほとんどみられないような人。血圧のコントロールに難渋していたような人でも、ACE阻害薬を使って血圧をコントロールすることで予後がよくなり、心疾患や腎疾患が起こりにくいようになります。

Ca拮抗薬

この薬は血管や心筋を収縮させるカルシウムの血管の細胞内への流入を阻止し、カルシウムの作用を抑えて、末梢の血管(動脈)を拡げて血圧を下げる薬です。

この薬は、血管や心筋を収縮させるカルシウムの血管の細胞内への流入を阻止し、カルシウムの作用を抑えて、心臓へ酸素や栄養を供給している冠血管を拡げ、けいれん(スパズム)を抑え、締め付けられるような胸の痛みを改善したり、予防したりする薬です。同時に末梢の血管(動脈)を拡げて血圧を下げ、心臓の負担を少なくする薬です。

【カルシウム拮抗薬の副作用】
動悸、頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉増殖、便秘など。

カルシウムの流入を阻害し血管平滑筋を弛緩、末梢血管抵抗を減じる。
主な薬理作用は、①冠動脈を含む末梢血管拡張作用、②心収縮力の抑制、③刺激伝道系の抑制。
ジヒドロピリジン系は急速・強力降圧型で①が主作用、ベンゾチアゼピン系は緩徐・弱い降圧型で②、③の作用も重要。

強力な降圧効果、軽症~重症高血圧に、単独又は他薬と併用。
多くの症例で第一選択薬として利用。
各種臓器障害合併例、高齢者でも適応、軽い利尿作用を有し、高食塩摂取下でも効果あり。
糖、脂質、電解質代謝に悪影響なし、長時間持続性で1日1回の投与が主流。

ジヒドロピリジン系と非ジヒドロピリジン系(ジルチアゼム、ベラパミル)の薬剤がある。
ジヒドロピリジン系 細胞膜の膜電位依存性Caチャネルのジヒドロピリジン(DHP)受容体に結合することによって細胞内へのCa流入を抑制し、冠血管や末梢血管を拡張させる。
一般にジヒドロピリジン系はL型チャネルを遮断することで血管拡張をもたらす。
また、N型チャネル(シルニジピン)、T型チャネル(エホニジピン)を同時に抑制するジヒドロピリジン系薬剤もあり、これらでは頻脈が少なく、腎保護作用も期待されている。
L型ではあるが、徐脈傾向を有するアゼルニジピンや、確実な長時間作用を示すアムロジピンなどもある。
非ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬は心抑制作用が強く、冠攣縮性狭心症や頻脈性不整脈を有する高血圧に良い適応がある。
ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬との組み合わせで最も相性の良いのはARB、ACE阻害薬およびβ遮断薬である。
・非ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬であるベラパミルは本来抗不整脈薬であるが降圧効果も明らかで、ことに米国では降圧薬として使用されている。
・服用後数時間の熱感、ときに動悸や頭重感、下肢のむくみの説明をするが、これらは心配のない副作用であることを同時に説明しなければならない。
・多くは効果発現が速やかで、いくつかを除いて1日2回の服用の必要性を述べる。
・いくつかのジヒドロピリジン系は、グレープフルーツ、ザボン、ブンタンのような柑橘類で代謝が抑制され、効果が増強されることは注意すべきである。
・Ca拮抗薬の多くはリファンピシンやフェノバルビタールの効果を減弱させ、ジゴキシンの血中濃度を上昇させるなどの知識は、服薬指導において役立つ。

Ca拮抗薬には冠動脈拡張作用もあるため、狭心症に使われることが多い。
アムロジピンベシル酸塩は、半減期が長く持続的な血圧降下作用があるが、反射性の頻脈を起こすことがある。
脈拍がやや速い患者にCa拮抗薬を使うときは、シルニジピンやアゼルニジピンを選択する。

直接的レニン阻害薬

この薬は、血管を収縮させ血圧を上げる原因物質(アンジオテンシンⅠ)をつくる酵素(レニン)の働きを直接抑えることにより、アンジオテンシンⅠの産生を抑えて、末梢の血管を拡げて血圧を下げる薬です。

レニンの活性部位に直接結合し阻害する。
血漿レニン濃度(PRC)は上昇するが、血漿レニン活性(PRA)は低下する。
長い血中半減期(40時間)を有する。24時間以上にわたり安定した降圧効果を示します。
他のRA系阻害薬と異なり、レニン活性の上昇がない。
降圧効果は概ねレニン依存性。
ARBと同等の副作用プロフィールを示す。
シクロスポリンとは併用しない(血中濃度上昇)。
生物学的利用率が低くばらつきが大きい。

全く新しい作用機序の降圧薬としてレニン阻害薬(アリスキレン)が発売された。
本剤はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の源流を抑制する薬であり、従来のARB、ACE阻害薬と異なった作用機序を示している。
しかしながら、生物学的利用率(吸収率)が低く、作用の個体差が考えられる点、高レニンをもたらすことによる予期せぬ作用などが議論されている。
利尿薬、Ca拮抗薬、ARB/ACE阻害薬などの併用が、臓器障害への効果としてより有効である。他のRAS阻害薬との併用時にはとくに副作用に注意する必要があります。
アルドステロンエスケープを起こさないことも特徴。

世界規模の臨床試験の結果では、非常に良い薬だという半面、作用が強力なためか有害事象により試験が中止になってしまうようなことも報告されています。

投与対象としては、臓器障害を合併しているなどのリスクの高い患者さんにはなるべく使わず、単なる高血圧で、若くて他の臓器に障害がないような患者さんに使用します。

α遮断薬

この薬は、血管平滑筋にある血管を収縮させるホルモン(カテコールアミン)が特定部位(α受容体)に結びつくのを遮断し、血管を拡げて血圧を下げる薬です。

早期の高血圧に対して眠前投与などの投与法が用いられる。
長時間作用型では頻脈が少ない。
血清コレステロール低下や、HDLコレステロール上昇など脂質代謝に対し好影響を有する。
初回投与現象として起立性低血圧によるめまい、動悸、失神があるため、少量より開始し漸増する。

交感神経末端の平滑筋側α1受容体を選択的に遮断。
交感神経末端側の抑制系α受容体は阻害せず、頻脈は少ない。
前立腺肥大症に伴う排尿障害に適応。

褐色細胞腫では手術前の血圧のコントロールに、早朝の高血圧では眠前投与で用いる。
脂質代謝に好影響(TC・TG・低下、HDL上昇)。
腎障害にも使用可。

中枢性交感神経抑制薬

この薬は、脳の特定部位(α2受容体)を刺激することによって血管が収縮する神経(交感神経)の緊張を抑え、末梢の血管を拡げて血圧を下げる薬です。

延髄のα2受容体を刺激し、交感神経系を抑制することりにより降圧する。
眠気、口渇、倦怠感、陰萎などの副作用が多く、他剤を用いることのできない場合などに用いられる。
メチルドパは、ラベタロール、ヒドララジンとともに、妊娠20週未満の妊娠高血圧に対する第一選択とされる。

血管拡張薬

この薬は、末梢の血管平滑筋に直接作用して血管を拡げ、血圧を下げる薬です。

速効性があり、高血圧緊急症の治療に使用できる。
副作用として狭心症発作を誘発する可能性がある。また、頭痛や動悸、頻脈、浮腫がみられるほか、劇症肝炎の報告もある。

アルドステロン拮抗薬

この薬は、体の中にナトリウムを取り込んでカリウムを排泄させ、体の水分や血圧を調節しているホルモン(アルドステロン)が、特定部位(鉱質コルチコイド受容体)に結びつくのを防ぎ、このホルモンの作用を抑えて、体から水分とともにナトリウムが排泄されて血圧を下げる薬です。

ミネラルコルチコイド受容体にだけ選択的に結合する。
副作用少ない。
スピロノラクトンと異なり、女性化乳房などの性ホルモン関連の副作用は報告なし。
抗アルドステロン薬には、心筋線維化抑制などの心血管保護作用も期待される。
心血管障害に対して保護的に作用することが期待される高選択性のミネラロコルチコイド受容体拮抗薬エプレレノンが降圧薬として発売された。

水・電解質に対する効果以外に心血管系の線維化を抑制することにより、重症心不全の生命予後を改善する。
スピロノラクトン(アルダクトンA)、エプレレノンの有用性が示されている。(RALES、EPHESUS)
アルドステロン受容体への特異性の高い、したがって副作用も弱いと考えられるエプレレノンがある。
副作用の点から、またアルドステロンの心・血管臓器障害を抑制するという観点からきわめて有効である。
事実、降圧薬としては25mgで安全に副作用なく用いられる

アルドステロンは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの一つで、RASの最終産物です。
アンジオテンシンⅡにより分泌が促進され、腎の遠位尿細管に作用してNaや水の再吸収を促進することで体液量を増加させて血圧を上昇させます。
アルドステロン拮抗薬は、アルドステロン受容体(ミネラルコルチコイド受容体)を阻害することで降圧効果を発揮します。
古典的なスピロノラクトンと、選択的アルドステロン拮抗薬と呼ばれる比較的新しいエプレレノンの2種類があります。
スピロノラクトンはそもそも利尿薬なので、心不全があって少し体液貯留があるような人に投与すると非常に有効です。
ただ、血圧はそれほど下がらないという印象なので、降圧薬として使うというよりはむしろ、降圧利尿薬という使い方が正しいと思われます。
治療抵抗性の心不全症例にも使用可能です。大規模臨床試験の結果、重症心不全症例の予後改善効果が示されました。最近の臨床試験では、選択的アルドステロン拮抗薬を使うことで心筋の線維化を遅らせ、心房細動予防効果を有する可能性も示されています。
この薬で問題になるのは、カリウムが貯留しやすくなることです。とくにACE阻害薬やARBとの併用では高カリウム血症の出現に注意を要します。
古くからあるスピロノラクトンでは女性化乳房や乳房痛などの副作用が問題でしたが、選択的アルドステロン拮抗薬ができてから、そうした副作用は意識しなくて済むようになりました。

投与対象としては、高血圧があって、心不全が前面に出ている人、体液貯留はあるものの、腎機能はそれほど障害されていないような人によく用います。
とくに一度高血圧性の心臓量、心筋梗塞などを発症して、心不全がいつ出てもおかしくないような人に対しては、この系統の薬が必須です。
多くの臨床試験で、心不全の発症を抑制することが示されています。
心臓以外では、副腎の腫瘍などが原因で起こる原発性アルドステロン症の薬物療法では、アルドステロン拮抗薬とCa拮抗薬が治療の中心となります。

生活習慣

【減塩】
1日の食塩摂取量を6g未満とする。
食塩の過剰摂取は血圧上昇と関連がある。食塩摂取量を少しずつ減らし長期的な減塩指導を行う。
過度の減塩は、脱水などの悪影響を及ぼす。特に、高齢者やCKD患者のようにNa保持能が低い患者や夏季など脱水をきたしやすい場合には、十分に注意する。
国内の加工食品の栄養成分表示は食塩相当量ではなく、Na表示となっている。食塩相当量へ換算する場合は、Na量を2.54倍(実臨床では2.5倍)する。

【脂質管理】
コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控え、魚(魚油)を積極的に摂取する。
コレステロールや飽和脂肪酸の制限は、降圧効果をはじめ、脂質代謝異常の予防・治療にも有用である。
魚油に多く含まれるn-3多価不飽和脂肪酸は、冠動脈疾患リスクやメタボリックリスクの改善に有用である。

【野菜・果物】
野菜や果物の積極的な摂取を心掛ける(ただし、糖分の多い果物はエネルギー摂取量に注意する)
野菜や果物に含まれるKは、Naによる昇圧に拮抗する。また、食物繊維の摂取も降圧効果が報告されている。
重篤な腎障害がある患者では、Kを多く含む野菜・果物の摂取は高K血症を招く危険性があるため注意する。

【運動】
心血管病のない患者には、有酸素運動を中心とした定期的な運動(毎日30分以上)を行う。
有酸素運動は降圧効果をはじめ、体重・体脂肪・ウエスト周囲径の減少、インスリン感受性・血清脂質の改善などの効果が認められている。
高血圧患者では運動強度が強すぎると血圧上昇が顕著になるため、運動療法は慎重に行う必要がある。
運動療法の対象は心血管病のないⅡ度以下の高血圧とする(Ⅲ度以上の場合は、降圧後に実施する)。

【体重管理】
肥満者の場合はBMI(体重kg÷身長m2)<25を目指す。
肥満は高血圧をはじめ多くの疾患の危険因子となるため、非肥満者レベルまでの減量を長期的に無理なく行う。

【節酒】
1日の飲酒量を、エタノールとして男性は20~30mL、女性は10~20mL以下にする。
飲酒習慣は血圧上昇の原因となる。節酒を継続することにより降圧効果が期待できる。
エタノール20~30mLは、日本酒1合・ビール中瓶1瓶・焼酎半合弱・ウィスキー/ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱程度に相当する。

【禁煙】
禁煙の推進と、受動喫煙の防止に努める。
禁煙は冠動脈疾患リスクを減少させるが、食生活の変化を招くことがあり、体重増加に注意が必要となる。

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