2024年3月18日更新.2,750記事.

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食事の影響を受ける薬一覧

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食事の影響を受ける薬一覧

薬の飲み方は「食後」で指示されることが多く、「薬は食後に飲むもの」と思っている患者さんも多いですが、薬によっては食前、あるいは空腹時、食直前や食直後など、細かく用法が指示されているものもあります。
薬によっては食事の影響を受けることがあるからです。

食事が胃の中にあると、吸収が高まり血中濃度が上昇するもの、吸収が妨げられ血中濃度が低下するものがある。
血中濃度が上昇し、効果が高まることを期待して食後投与となっているもの。血中濃度が上昇して、副作用の恐れがあるので空腹時服用となっているもの。
血中濃度が低下して、効果が出なくなる恐れがあるので、空腹時投与となっているもの。血中濃度を低下させて副作用のリスクを減らす目的で食後投与となっているもの。
なぜその用法になっているのかは、薬によって様々です。

食事による影響を受ける薬は以下の通り。

食事により吸収上昇する薬用法添付文書の記載
イトリゾールカプセル食直後本剤を空腹時に投与したとき、食直後投与時の最高血漿中濃度の約40%であり、ヒドロキシイトラコナゾールも同様の傾向が認められ、食直後投与によってイトラコナゾールの生物学的利用率が向上した。
インフリーカプセル食後健康成人男子8名に、クロスオーバー法によりインドメタシンファルネシルとして150mgを含有するカプセルを12時間絶食後に投与した場合、本薬の吸収は著しく低下するが、通常食(脂肪含有量約10g)摂取により吸収は良好であった。
ヴォトリエント錠食事の1時間以上前又は食後2時間以降食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため、用法及び用量を遵守して服用すること。
エクジェイド懸濁用錠空腹時本剤の薬物動態は食事の影響を受けやすいため空腹時に服用し、服用後30分間は食事をしないこと。
エパデールS食直後本剤は空腹時に投与すると吸収が悪くなるので食直後に服用させること。
カレトラ配合内用液食後本剤の吸収を高めるため,食後に服用すること
ザイティガ錠空腹時本剤は食事の影響によりCmax及びAUCが上昇するため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。
サムチレール内用懸濁液食後本剤は絶食下では吸収量が低下するため、食後に投与すること。本剤を食後に投与できない患者では、代替治療を検討すること。
ジスロマックSR成人用ドライシロップ空腹時本剤は、食後2時間以上の空腹時に服用する。服用後は、次の食事を2時間以上控えること。
スチバーガ錠食後空腹時に本剤を投与した場合,食後投与と比較して未変化体のCmax及びAUCの低下が認められることから,空腹時投与を避けること.また,高脂肪食摂取後に本剤を投与した場合,低脂肪食摂取後の投与と比較して活性代謝物のCmax及びAUCの低下が認められることから,本剤は高脂肪食後の投与を避けることが望ましい.
ストックリン錠食事の有無にかかわらず投与できる食物との併用により、本剤の曝露量を増加させ、副作用の発現頻度を増加させるおそれがある。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できるが、空腹時、可能な限り就寝時の服用が望ましい。
ストロメクトール錠食前食後の記載なし本剤は水のみで服用すること。本剤は脂溶性物質であり、高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがある。したがって、本剤は空腹時に投与することが望ましい。
ゼルボラフ錠食前食後の記載なし食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けることが望ましい
セロケンL/ロプレソールSR食後健康成人に徐放錠1錠を投与した時、食後投与でのCmax、AUCは空腹時投与に比べ有意に高く、食事による生物学的利用率増加が認められている。
タイケルブ錠食事の1時間以上前又は食後1時間以降食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の前後1時間以内の服用は避けること。
タシグナカプセル食事の1時間以上前又は食後2時間以降食後に本剤を投与した場合、本剤の血中濃度が増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。
タルセバ錠食事の1時間以上前又は食後2時間以降高脂肪、高カロリーの食後に本剤を投与した場合、AUCが増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。
ディアコミットドライシロップ/ ディアコミットカプセル食事中又は食直後食事の影響の評価を目的とした試験は実施されていないが、スチリペントールを空腹時に投与したときに比べ、食後に投与したときにはスチリペントールの血中濃度が高い傾向を示す報告がある。
ティーエスワン配合OD錠/ティーエスワン配合カプセル朝食後及び夕食後基礎的検討(ラット)において空腹時投与ではオテラシルカリウムのバイオアベイラビリティが変化し、フルオロウラシルのリン酸化が抑制されて抗腫瘍効果の減弱が起こることが予想されるので食後投与とすること。
テラビック錠食後本剤を空腹時に服用した場合は,十分な血中濃度が得られないため,必ず食後に服用するように患者に指導すること.
デルティバ錠食後空腹時に本剤を投与した場合、食後投与と比較してCmax及びAUCの低下が認められることから、空腹時投与を避けること。
ドラール錠就寝前食後の服用を避けること。難溶性薬物である本剤は,胃内容物の残留によって吸収性が向上し,未変化体及びその代謝物の血漿中濃度が空腹時の2~3倍に高まることが報告されている.
プレタールOD錠/プレタール散食前食後の記載なし健康成人男子にシロスタゾール50mgを空腹時及び食後に単回経口投与したところ、食後投与の方が空腹時投与の場合よりCmaxで2.3倍、AUCinfで1.4倍高かった。
マラロン小児用配合錠/ マラロン配合錠食後本剤の配合成分であるアトバコンは絶食下では吸収量が低下するため、食後又は乳飲料とともに1日1回毎日定められた時刻に投与させること。
ユーゼル錠25mg/ロイコボリン錠25mg食事の前後1時間を避けて経口投与本療法は食事の影響を受けるので、食事の前後1時間を避けて投与すること
ユベラNカプセル100mg/ユベラNソフトカプセル200mg/ユベラN細粒40%食前食後の記載なし食後服用は空腹時服用に比べ、最高血漿中濃度は32倍、AUCは29倍高い値を示した。本剤の吸収には食事が強く影響する。
ラパリムス錠食前食後の記載なし高脂肪食の摂取後に本剤を投与した場合、血中濃度が増加するとの報告がある。安定した血中濃度を維持できるよう、本剤の投与時期は、食後又は空腹時のいずれか一定とすること。
リピディル錠食後本剤は空腹時に投与すると吸収が悪くなるため食後に服用するよう指導すること。
ルーラン錠食後健康成人12例に1回2mgを経口投与したとき、食後投与におけるCmax及びAUCはそれぞれ絶食下投与の1.6倍及び2.4倍となった。
レルパックス錠頭痛発現時エレトリプタンの最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は空腹時1.6時間から食後2.6時間に延長した。食後投与によりCmax及びAUCは空腹時に比べてそれぞれ27%及び30%増大した。
ロナセン錠食後本剤の吸収は食事の影響を受けやすく、有効性及び安全性は食後投与により確認されているため、食後に服用するよう指導すること。〔空腹時に投与すると、食後投与と比較して吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。また空腹時で投与を開始し、食後投与に切り替えた場合には血中濃度が大幅に上昇するおそれがある。
食事により吸収低下する薬用法添付文書の記載
アフィニトール分散錠/アフィニトール錠食前食後の記載なし食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。本剤の投与時期は、臨床試験における設定内容に準じて選択し、食後又は空腹時のいずれか一定の条件で投与すること。
アレグラ錠/アレグラOD錠/アレグラドライシロップ食前食後の記載なし空腹時及び食後(高脂肪食)にフェキソフェナジン塩酸塩錠120mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ15%及び14%減少した。
イトリゾール内用液空腹時本剤を空腹時に単回経口投与したとき、食直後投与よりも未変化体及びヒドロキシイトラコナゾールのTmaxの短縮(約0.5倍)、Cmaxの上昇(1.7倍及び1.6倍)及びAUCの増加(1.1倍及び1.2倍)が認められた。
ヴァイデックスECカプセル食間カプセル剤は食事の影響により吸収率が約20%低下するので,必ず食間に投与すること。
グルファスト錠/グルファストOD錠毎食直前本剤は,食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱する。効果的に食後の血糖上昇を抑制するため,本剤の投与は毎食直前(5分以内)とすること。また,本剤は投与後速やかに薬効を発現するため,食前30分投与では食前15分に血中インスリン値が上昇し食事開始時の血糖値が低下することが報告されており,食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
サーティカン錠食前食後の記載なし本剤の投与にあたっては、食事の影響があるため、食後又は空腹時のいずれかの一定の条件下で投与し、本剤の血中トラフ濃度を測定し、投与量を調節すること。
ジオトリフ錠空腹時食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避けること。
シュアポスト錠毎食直前本剤は食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱する。効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(10分以内)とすること。また、本剤は投与後速やかに薬効を発現するため、食事の30分以上前の投与では食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
スターシス錠/ファスティック錠毎食直前本剤は、食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱する。効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食前10分以内(食直前)とすること。また、本剤は投与後、速やかに薬効を発現するため、食前30分投与では食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
セレクトール錠食後 本剤は空腹時に経口投与した場合、食後投与に比較して最高血漿中濃度が約2倍程度に上昇するという報告がある。
ニシスタゴンカプセル食前食後の記載なし高脂肪食摂取後又は高蛋白食摂取後に投与した場合、絶食時投与よりもCmax及びAUCが低下したとの報告があるため、食事の影響を考慮すること。
ネクサバール錠食前食後の記載なし高脂肪食の食後に本剤を投与した場合,血漿中濃度が低下するとの報告がある.高脂肪食摂取時には食事の1時間前から食後2時間までの間を避けて服用すること.
バラクルード錠空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)本剤は食事の影響により吸収率が低下するので,空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)に投与すること
ピーガード錠食間本剤投与後1時間は、食事を控えること。海外において、本剤の高脂肪食摂取20分後投与では、空腹時投与と比べてモルヒネの血漿中濃度が低下、Tmaxが延長し、また、軽食摂取60分前投与では影響を受けなかったが、軽食摂取30分前投与では空腹時投与と比べて血漿中濃度が低下した。
ピレスパ錠食後食後投与と比べ空腹時投与では,本剤の血漿中濃度が高値を示し,副作用があらわれるおそれがあるので,食後に投与すること。
フィズリン錠食後悪心、嘔気・嘔吐等のため、食事を摂取せずに本剤を投与する場合、食後投与に比べ血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれるおそれがある。
ブイフェンド錠/ブイフェンドドライシロップ食間高脂肪食(約1000kcal)を取った直後にボリコナゾールを200mg 1日2回7日間反復経口投与したとき、定常状態におけるCmax及びAUCτは空腹時投与と比較し、それぞれ34%及び24%低下した。Tmaxは食事により1.4時間遅延した。
フォサマック錠/ボナロン錠起床時本剤は水のみで服用すること。水以外の飲み物 (Ca、Mg等の含量の特に高いミネラルウォーターを含む)、食物及び他の薬剤と一緒に服用すると、吸収を抑制するおそれがある。
ベネット錠/アクトネル錠起床時水以外の飲料(Ca、Mg等の含量の特に高いミネラルウォーターを含む)や食物あるいは他の薬剤と同時に服用すると、本剤の吸収を妨げることがあるので、起床後、最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水以外の飲食を避ける。
ベルソムラ錠就寝直前入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、本剤の食事と同時又は食直後の服用は避けること。〔食後投与では、空腹時投与に比べ、投与直後のスボレキサントの血漿中濃度が低下することがある。
ボノテオ錠/リカルボン錠起床時本剤は水(又はぬるま湯)で服用すること。水以外の飲料(Ca、Mg等の含量の特に高いミネラルウォーターを含む)、食物及び他の薬剤と一緒に服用すると、吸収を妨げることがあるので、起床後、最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水以外の飲食を避ける。
ミカルディス錠食前食後の記載なし本剤を食後に服用している患者には、毎日食後に服用するよう注意を与えること。
[本剤の薬物動態は食事の影響を受け、空腹時投与した場合は、食後投与よりも血中濃度が高くなることが報告されており、副作用が発現するおそれがある。
ミニリンメルト錠就寝前本剤を食後投与から食前投与に変更した場合、投与後に血漿中デスモプレシン濃度が高くなり有害事象の発現リスクが上昇する可能性があることに留意して、患者ごとに本剤の投与と食事のタイミングを検討すること。
メタライト250カプセル食前空腹時本剤は、食前1時間あるいは食後2時間以上の空腹時に服用し、他剤の服用あるいは食物の摂取から1時間以上の間隔をあけること。
ユーエフティE配合顆粒/ユーエフティ配合カプセル食事の前後1時間を避けて経口投与ホリナート・テガフール・ウラシル療法は食事の影響を受けるので、食事の前後1時間を避けて投与すること
ラジレス錠食前食後の記載なし本剤服用時期は患者ごとに食後又は食前(空腹時)のいずれかに規定し、原則として毎日同じ条件で服用するよう指導すること。なお、本剤は、食前(空腹時)投与で食後投与に比べ血中濃度が高くなること等を踏まえ、食後投与での開始を考慮すること。本剤服用時期を変更する場合には症状の変化に特に注意すること。
ルネスタ錠就寝前本剤は食事と同時又は食直後の服用は避けること。
〔食後投与では、空腹時投与に比べ本剤の血中濃度が低下することがある。〕
レグテクト錠食後本剤の吸収は食事の影響を受けやすく、有効性及び安全性は食後投与により確認されているため、食後に服用するよう指導すること。[空腹時に投与すると、食後投与と比較して血中濃度が上昇するおそれがある。
レブラミドカプセル食前食後の記載なし高脂肪食摂取後の投与によってAUC及びCmaxの低下が認められることから、本剤は高脂肪食摂取前後を避けて投与することが望ましい。
レボレード錠食事の前後2時間を避けて空腹時本剤は食事とともに服用すると血中濃度が低下することがあるので、食事の前後2時間を避けて空腹時に服用すること。
ロゼレム錠就寝前本剤は食事と同時又は食直後の服用は避けること。[食後投与では、空腹時投与に比べ本剤の血中濃度が低下することがある。
ロンサーフ配合錠朝食後及び夕食後空腹時に本剤を投与した場合、食後投与と比較してトリフルリジン(FTD)のCmaxの上昇が認められることから、空腹時投与を避けること

このほかにも、添付文書上の用法は食前・食間となってる漢方薬や、食後と指示されているクラリチン、パキシルなどもあります。
食事による影響は認められてはいないけれど、臨床試験を食後で行ったので保険適応上「食後」となっている、みたいな薬もよくある。
また添付文書には何も書かれていないけど、脂溶性ビタミン剤など、脂溶性の薬剤は食後に飲んだほうが吸収が高いなど、推測できるものある。

添付文書どおりの用法で処方されていない場合には疑義照会を行いますが、「効果に影響があるので…」と言うのと「添付文書上一応…」と伝えるのでは医師の対応も変わってくる。

また、空腹時服用が指示されている薬を牛乳など水以外の飲み物で飲んだ場合にも影響があるので、患者には「なぜその用法であるのか」をよく説明し理解させる必要がある。

抗癌剤などハイリスクな薬はとくに、血中濃度の上昇あるいは低下により、副作用発現、治療効果の減弱など、命に係わる影響を及ぼす可能性があるので、よくよく理解して服薬指導に臨みましょう。

食事が影響する薬

食後
(食後のほうが空腹時よりも吸収が良い)
・メイアクト
・フロモックス
・トミロン
・水溶性薬剤
・ビタミンB・C(水溶性ビタミン)
・メトプロロール
・テプレノン
・テオフィリン
・サンディミュン
(胃酸により失活)
・乳酸菌製剤
(副作用防止)
・NSAIDs
食直後
(脂溶性が高い薬)
・EPA製剤
・イトリゾール
・インドメタシンファルネシル
・テプレノン
空腹時
(食事により吸収率が低下)
・ビクシリン
・アルサルミン
・ビスホスホネート系
食直前
(食直前のほうが食後服用よりクラブラン酸の生物学的利用率が高い)
・オーグメンチン
・クラバモックス
食直前
(効果が発揮されない)
・αグルコシダーゼ阻害薬
食前
(効果が発揮されない)
・制吐薬
食前、食間
(副作用防止)
・漢方薬

空腹時では吸収されない医薬品

NSAIDsは、胃腸障害軽減のため食後投与が基本となりますが、インフリーカプセル(インドメタシンファルネシル)の吸収は食事により変化するので、吸収量の違いからも用法が食後に限定されています。
インフリーを空腹時に投与すると吸収が著しく低下するため、薬効を期待することができません。
インフリ一は小腸からリンパ管経由で吸収されると推定されており、吸収には胆汁の分泌が必要となります。
空腹時には胆汁の分泌量が少ないため、吸収が低下すると考えられています。

食事により吸収が遅くなるもの

食事により医薬品の吸収速度が遅延する場合があります。
一般に、胃の内容物が腸に排出される時間は、食事により遅くなるので小腸で吸収される医薬品の吸収は遅くなります。

ファスティック錠(ナテグリニド) の消化管吸収は非常に速いため、吸収速度は胃内から十二指腸への排出速度に依存します。
食直後投与では、食前投与に比べTmaxが延長し、Cmaxが低下します。
AUCに大きな変化はみられませんが、ファスティックは食後血糖推移の改善であること、さらには作用機序の点から考えると速やかな血中濃度上昇が認められる食直前投与が妥当となります。

コカ・コーラやコーヒーにより吸収が変化するもの

医薬品の吸収は、胃内のpH によっても変化します。
イトラコナゾールは、水にほとんど溶解しませんが、pHの低い胃内では可溶性の塩酸塩になります。
したがって、コカコーラのような酸性飲料で服用すると、さらに吸収が高まることがあります。
イトラコナゾールをコカ・コーラで服用すると血中濃度が約2 倍まで上昇します。

医薬品と相互作用を生じる飲料で有名なものには牛乳やコーヒー、グレープフルーツジュースがあるので、服薬指導時には、これらの飲料との相互作用の説明を十分に行う薬剤師も多いと思います。
しかし、pHにより吸収率が変動する医薬品では、酸性飲料での服用を避けるように指導することも重要になってきます。
特にコカ・コーラとペプシのpHは2.5であり、服薬指導の際には必ず相互作用に関する情報を伝えることが必要です。

逆に、酸性飲料で服用すると吸収が低下するものがあります。
禁煙補助剤である二コチンガムの口腔粘膜からの吸収は、口腔内のpH低下により減弱しますので、コカ・コーラやコーヒーを飲んだあとに二コチンガムを噛むと期待する効果が得られない可能性があります。
酸性飲料を摂取した後に二コチンガムを使用するときは、時間をあけてから使用する必要があります。

食事と併用禁忌なもの

一般的に、水に対する溶解性が極端に低い医薬品は、食事と一緒に服用しないと十分に吸収されないことが知られています。
ドラール錠(クアゼパム) は難溶性薬物であり、胃内容物の残留によって吸収性が向上することが明らかになっています。
ドラールは、就寝前服用なので空腹時を前提としています。
しかし、食後に服用してしまうと、その吸収は空腹時の2 ~3倍になり、過度の鎮静や呼吸抑制を引き起こすおそれがあります。
したがって、患者が夜食を摂る可能性を考え、食物と併用禁忌になっています。

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薬剤師

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本の紹介

yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
SNS:X(旧ツイッター)
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