2024年3月28日更新.2,749記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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プレベナーのほうがニューモバックスより強い?

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肺炎球菌ワクチン

65歳からの肺炎予防ということで、MSDがCMしています。

肺炎予防.jp | MSD株式会社

古い知識とごっちゃになって混乱しています。

肺炎球菌の予防接種は定期接種の対象となっており、自己負担はありますが、助成により安く接種することができます。
平成30年度までの間は、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の誕生日を迎える方が対象となり、平成31年度からは、接種日当日に65歳である方が対象となります。

肺炎球菌は、表面を莢膜(きょうまく)ポリサッカライド(CPS)で覆われたグラム陽性双球菌であり、少なくとも93種類の血清型に分類される。
肺炎、中耳炎などの原因菌となるほか、髄膜炎や敗血症などの侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を引き起こすことがある。
抗菌薬に耐性を示すペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)なども報告されているため、ワクチンによる予防が重要となる。

日本で使用されている肺炎球菌ワクチンとしては、2歳以上を対象とする23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックスNP)と2か月齢以上6歳未満の小児と、65歳以上の高齢者を対象とする沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー13)などがある。

肺炎球菌の血清型のカバー率は、13価のプレベナー13よりも、23価のニューモバックスNPの方が高い。
しかし、プレベナー13はCPS抗原に無毒性変異ジフテリア毒素を結合させT細胞依存性抗原とすることで、血清時特異IgG抗体産生を誘導でき、免疫力の低下した高齢者でも免疫応答を引き起こしやすいとされる。

両ワクチンとも定期接種化されているが、自治体による公費助成の対象となる年齢、時期などがそれぞれ決められている。
現在、65歳の高齢者の定期接種にはニューモバックスNP、小児の定期接種にはプレベナー13が使用されている。
プレベナー13は、2014年6月に65歳以上の高齢者への適応が追加された。
しかし、有効性、安全性および費用対効果に関するデータが不足しているとの理由で、高齢者の定期接種には推奨されていない。

日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会による「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第2版)」では、ニューモバックスNP接種後のプレベナー13接種について、先行するニューモバックスNP接種後以上の免疫応答は得られないものの、1年の間隔が保たれれば、その安全性には問題がないことが確認されている、としている。
ただし、プレベナー13の追加接種は任意接種であり、自費になる。

プレベナーとニューモバックス

肺炎球菌ワクチンには「プレベナー」と「ニューモバックス」という2種類の商品がありますが、定期接種で用いられる肺炎球菌ワクチンはニューモバックスです。
プレベナーを定期接種に使うことはできません。

Q12.新たに高齢者に使用することが承認された「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」は、定期接種として使用することができますか?

A12.「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」は平成26年6月20日付けで、65歳以上の者に対する肺炎球菌による感染症の予防の効能・効果が承認されました。「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」を定期接種に使用するかどうかについては、今後、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果等に関するデータの収集を行い、科学的知見に基づいて専門家による検討を行うこととしています。このため、定期接種が開始される10月1日時点では「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」を定期接種に使用することはできません。肺炎球菌感染症(高齢者) |厚生労働省

ニューモバックスは1992年に発売され、プレベナーの7価のワクチンが2010年に発売されました。
プレベナー7は小児にしか適応がありませんでしたが、2013年にプレベナーの13価のワクチンが発売され、高齢者にも適応が追加されました。

ニューモバックスは23価で、プレベナーは13価。
多種類の血清型に効果のあるニューモバックスのほうが効果的と思われるが、単純にそうでもないようだ。

プレベナー7について
プレベナーは、90種類以上ある肺炎球菌の血清型から、小児において侵入性肺炎球菌感染症を引き起こす可能性の高い7つの血清型(7価)を選んでワクチン化したものです。この7価は、より重症度の高い疾患(敗血症、菌血症など)の原因のほぼ8割を占めています。
肺炎球菌ワクチンは海外では広く使われていて、世界保健機構(WHO)は国が接種を勧めるべきワクチンと位置づけています。
肺炎球菌は細菌性髄膜炎を引き起こすので、ワクチンの効果が期待されます。肺炎球菌が原因の髄膜炎の場合、約7%が死亡し、約40%に知能や運動の障害が残るとの報告があります。

プレベナー13について
プレベナー13は、7価肺炎球菌結合型ワクチンのプレベナーより、より広範な血清型による侵襲性肺炎球菌感染症の予防が期待される。というのも、プレベナーに新たに6種類の抗原(血清型1、3、5、6A、7F、19A)を加えたワクチンであるためで、これら6種類の抗原のなかには、世界的に増加傾向が認められ、薬剤耐性菌の比率が高い血清型19Aも含まれている。国内でも、侵襲性肺炎球菌感染症に占める血清型19Aの割合が近年増加して脅威となっているため、血清型19Aに対する有効な予防手段としてもプレベナー13の役割が期待されるという。

ポリサッカライドと結合型ワクチンの違い

ニューモバックスのことをPPV(肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン:Pneumococcal Polysaccharide Vaccine)という。
プレベナーのことをPCV(多糖体―タンパク結合型ワクチン:Pneumococcal Conjugate Vaccine)という。

肺炎球菌の場合、細菌表面にある莢膜の構造/多糖体(ポリサッカライド)を、抗原として認識します。
肺炎球菌に対抗する予防接種は、莢膜の多糖体を原料として、ワクチン製剤が作られます。

免疫システムが、抗原として認識しやすい物質と、そうでない物質があります。
蛋白質のように、高分子量で複雑な構造を持っていると、免疫システムは反応しやすく、抗体産生に有利です。
しかし、多糖体は、単純な糖構造の連続であり、免疫システムは反応しにくい物質です。
免疫システムの未熟な乳幼児では、抗体が獲得できません。そのため、ニューモバックスは2歳未満の小児には使えません。
さらに、多糖体抗原は反復投与してもブースター効果が得られません。

ニューモバックスが4737円で、プレベナーが7200円。
プレベナーを使った方が効果は高いが、長生きしたい人は自費でお願いします。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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本の紹介

yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
SNS:X(旧ツイッター)
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