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スタチンが肝炎ウイルスを抑制する?
公開. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約2分2秒で読めます.
1,524 ビュー. カテゴリ:スタチンとC型肝炎ウイルス
スタチン系薬がC型肝炎ウイルスの増殖を抑制すると考えられている。
今では、様々な抗C型肝炎ウイルス薬が発売されているので、下記のような補助的な処方も無いかも知れないが。
一般的ではないが、スタチン(脂質異常症治療剤)製剤をインターフェロンに併用して行う治療方法があり、臨床学的信頼性は低いものの、安価でかつ可能性のある療法として選択されていた。スタチンによりウイルスが成熟に必要な脂質が不足し、ウイルス粒子複製を阻害すると考えられている。C型肝炎 – Wikipedia
スタチン系薬によるコレステロール合成の調節は、合成経路のうち、HMG-CoA還元酵素によりHMG-CoAからメバロン酸が合成される段階で行われる。
スタチン系薬は、HMG-CoA還元酵素を抑制することによりコレステロール低下作用を示す。
スタチン系薬はまた、ゲラニルゲラニルピロリン酸の合成も抑制する。
ゲラニルゲラニルピロリン酸により修飾される蛋白質は、HCVの増殖にも重要であることが明らかになっており、ゲラニルゲラニルピロリン酸の合成が阻害されれば、HCVの増殖も抑制されると考えられている。
国内で使用されているスタチン系薬のリピトール、リポバス、メバロチン、リバロ、ローコールについて、抗HCV活性を検討したところ、リピトール、リポバス、リバロ、ローコールはクレストールよりも強い抗HCV効果を示したが、メバロチンには効果が認められなかった。
抗HCV活性をEC50(50%有効濃度、単位μM)で比較すると、リバロ(0.45)>ローコール(0.90)>リピトール(1.39)>リポバス(1.57)であった。
抗HCV活性を示したスタチン系薬とIFNαを併用すると、IFNα単独に比べて、抗HCV活性が相乗的に増強された。
さらに、スタチン系薬を投与した時の血中濃度(μM)がEC50の何%[Cmax×EC50(%)]に到達するかと検討した。
ローコールは血中でのEC50の67%に到達するのに対し、他のスタチン系薬は低値であった。
ローコールは唯一、培養細胞で有効な抗HCV活性を示す濃度をヒトの血中でも実現できるスタチン系薬であることが示唆された。
なお、スタチン系薬は肝臓に集積しやすいことが知られており、実際の肝臓でのスタチン系薬の濃度は、血中濃度よりも高いと考えられている。
マヴィレットとスタチン
スタチンでC型肝炎ウイルスの増殖抑制効果があるなら、抗C型肝炎ウイルス薬と併用すれば、相乗効果があるのでは?と思って、マヴィレットとリピトールの併用などしてしまったら、それは併用禁忌である。リピトールのCmaxが22倍、AUCが8.28倍となる。
他のスタチンも併用注意になっているので、そのような相乗効果は狙わないほうがよい。
参考書籍:日経DI2013.9
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