更新日:2017年11月11日.全記事数:3,169件.

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飲酒量低減薬?


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飲酒量低減薬ナルメフェン

大塚製薬から新しくアルコール依存症治療薬が出るようだ。

アルコール依存症 飲酒量低減薬「ナルメフェン」の国内申請について

・ナルメフェンは、アルコール依存症において飲酒のおそれがある場合に服用することで飲酒量を低減する薬剤
・第3相臨床試験では、プラセボと比較して多量飲酒した日数および総飲酒量の低下が認められた
・本剤は、アルコール依存症患者さんの飲酒量低減治療の新たな選択肢として期待される

飲酒量を低減させるということで、シアナマイドやノックビンのような抗酒薬、悪酔いさせる薬とは一味違うようだ。

今現在アルコール依存症治療薬は3種類販売されている。
シアナマイド(シアナマイド)、ノックビン(ジスルフィラム)、レグテクト(アカンプロサート)。

シアナミドやジスルフィラムの作用機序は、アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害して、肝臓でのエタノール(エチルアルコール)代謝を抑制し、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドを体内に蓄積させるというもの。

アカンプロサートの作用機序は、グルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体を阻害し、GABA受容体の一種であるGABAA受容体を刺激することにより、飲酒欲求を抑えるという。
グルタミン酸は興奮性神経伝達物質で、GABAは抑制性神経伝達物質。
慢性的なアルコール依存状態では、GABAA受容体がダウンレギュレーションを受けていて、GABA伝達系の抑制作用に対して感受性が低下した状態になっている。
アルコールを飲んでいない状態では、これらのダウンレギュレートされたGABAA受容体は通常の神経伝達で放出される濃度のGABAには反応しなくなり、通常起こるはずのGABAに対する反応が起きなくなっている。そのため、通常のGABAの作用である、活動電位の発生を抑制する作用が発揮できなくなるため、交感神経の興奮がGABA性の神経伝達によって抑制されなくなってしまう。
つまり、グルタミン酸による「飲みたい」という欲求をGABAで抑える働きを助けるということ。

おそらく、飲酒量低減薬と聞くと、ナルメフェンはアカンプロサートに近い作用機序なのだろうと推測される。

ナルメフェンの作用機序をみると、

ナルメフェンは、選択的オピオイド受容体調節薬です。オピオイド受容体は、中枢神経系に広く分布し、脳内報酬系や情動制御、痛みのコントロールなどを司り、これまでに3つのサブタイプ(μ、κ、δ)が知られています。
本剤は、μオピオイド受容体及びδオピオイド受容体に対しては拮抗薬として、κオピオイド受容体に対しては部分的作動薬として作用し、飲酒欲求を抑制すると考えられています。

出ました。オピオイド受容体拮抗薬。
スインプロイク(オピオイド誘発性便秘症治療薬)はオピオイドμ受容体拮抗薬。
レミッチ(経口そう痒症改善剤)はオピオイドκ受容体作動薬。

μ受容体はモルヒネの鎮痛作用に最も関連がある受容体。
κ受容体は、鎮痛や鎮咳、幻覚、せん妄などに関与する。
δ受容体は抗うつ作用、身体・精神依存あるいはμ受容体より作用が弱いが鎮痛にも関与している事が知られている。

アルコール中毒は麻薬中毒と同じように精神依存しているから、そこに対する拮抗薬が効果を発揮するということかな。

シアナマイドやノックビンみたいな、酒が不味くなる薬よりも、レグテクトやこのナルメフェンのような、飲む量が減るというレベルの薬のほうが、本人の同意は得やすいよね。

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