更新日:2017年10月29日.全記事数:3,169件.

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認知症の原因はグルタミン酸?


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認知症のグルタミン酸仮説

認知症の原因としては、アリセプトやレミニール、リバスタッチみたいなコリンエステラーゼ阻害薬が認知症に効果があるという根拠になっている「コリン仮説」、メマリーのようなNMDA受容体拮抗薬の作用機序の根拠となっている「グルタミン酸仮説」がある。

神経伝達物質としてのアセチルコリンについてはよく知っているけど、グルタミン酸がどのような働きをしているのかよくわからない。

グルタミン酸は興奮系の刺激伝達物質です。
このグルタミン酸の受容体には幾つかの種類があり、そのうちの1つが、NMDA(N-methyl-D-aspartate )受容体です。
この受容体は海馬に多く分布し、記憶の増強に重要な働きをしている、と考えられていて、その受容体の減少が、アルツハイマー型認知症の記憶障害の、1つの要因ではないかと推測されます。

グルタミン酸受容体の減少が認知症の記憶障害の原因という話。
なのになぜグルタミン酸受容体拮抗薬でそのレベルをさらに落とすような真似をするのか。

メマリーの作用機序をみると、

アルツハイマー型認知症ではグルタミン酸神経系の機能異常が関与しており、グルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体チャネルの過剰な活性化が原因の一つと考えられている。メマンチンはNMDA受容体チャネル阻害作用により、その機能異常を抑制する。

グルタミン酸受容体は減少してるけど、その分少なくなった受容体が異常に活性化してる。
で、メマリーはグルタミン酸の緩い受容体拮抗薬らしいので、ちょうどいい具合にグルタミン酸による神経伝達を調整するような薬ってこと。

わかったようなわからないような。
そもそも仮説だし、こじつけに近いような気もする。

グルタミン酸(うま味調味料)は神経伝達物質?

チャイニーズレストランシンドローム(中華料理店症候群)とは、中華料理を食べたアメリカ人が直後に体調不良を訴えたことに端を発し、その原因物質として、中華料理に多用される「うま味調味料」に含まれるグルタミン酸に疑いがかけられたときについた呼び名です。

だが、その後の研究によって、グルタミン酸はシロであることが証明されている。

グルタミン酸は、中枢における興奮性の神経伝達物質として作用することから疑いの目が向けられたのだが、人体には血液脳関門というバリアーがあるため、グルタミン酸を摂取しても、その影響が直接中枢に及ぶことはない。

グルタミン酸とGABA

グルタミン酸は、2つのカルボキシル基を持つ酸性アミノ酸。
うち1つが脱炭酸化してできるのがγアミノ酪酸(GABA)だ。

GABAは、生体内では抑制性の神経伝達物質として働く。

グルタミン酸同様、容易には血液脳関門を通過できないことから、その作用は中枢性ではなく、末梢の交感神経の神経伝達物質であるノルアドレナリンの分泌を抑制することにより、血管の収縮が抑えられ、血圧が下がると考えられている。

グルタミン酸で記憶力アップ?

記憶は脳で作られる。
その脳内での主要な神経伝達物質はグルタミン酸だ。

脳の神経回路で情報を伝え、記憶も形づくる。

ちなみに、グルタミン酸は化学調味料としても使われるが、口から入ったグルタミン酸は脳へは届かない。

アルツハイマー型認知症とグルタミン酸

アルツハイマー型認知症の病態時では、シナプス間隙のグルタミン酸濃度の持続的な上昇によってNMDA受容体が活性化されます。
このような持続的なNMDA受容体活性化に伴う細胞内へのCa2+の流入、シナプティックノイズの増大などによって認知機能障害が引き起こされると考えられています。
①神経細胞障害
細胞内にCa2+が過剰に流入し、神経細胞が傷害されます。
②記憶・学習機能障害
シナプティックノイズ(持続的な電気シグナル)が増大し、記憶を形成する神経伝達シグナルを隠してしまうため、記憶・学習機能が障害されます。

NMDA受容体拮抗薬

グルタミン酸受容体サブタイプの1つであるN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗を作用機序とするアルツハイマー型認知症の治療剤である。
NMDA受容体拮抗薬のメマンチンは、中等度~重症アルツハイマー病患者に対する認知、日常生活動作、臨床全般評価の改善が報告されている。
しかし、軽度~中等度の患者に対する治療効果は境界線上にあると報告されている。
ドネペジルをすでに内服している中等度~重症患者に対するメマンチン併用療法は、認知、日常生活動作、全般評価、行動の改善効果が報告されている。

メマリーはNMDA受容体拮抗を作用機序とする中等度及び高度アルツハイマー型認知症治療剤である。
名前の由来:一般名であるメマンチンを尊重して“メマ”で始まる第一三共株式会社で保有している短い名前の中から選択した。

メマリーの特徴

1.作用機序がChE阻害ではなくNMDA受容体拮抗であるため、コリン作動による副作用(洞不全症候群、心疾患、消化性潰瘍、気管支喘息、錐体外路障害)が起こりにくい。
2.ドネペジルなど他のChE阻害薬との併用が可能。
3.薬物代謝酵素P450(CYP)の代謝による影響を受けにくい。
4.効能・効果が「中等度および高度アルツハイマー型認知症症状の進行抑制」なので軽症のADには使いづらい。
5.攻撃性、行動障害などの行動・心理状態の進行を抑制する作用がある。
NMDA受容体は、カルシウムイオンチャネルを内包するグルタミン酸受容体の一種。
NMDA受容体の活性化とそれに伴うCaイオンの流入は、記憶形成や学習に深く関わっている。
一方でADでは、グルタミン酸濃度の上昇やアミロイドベータ(Aβ)という蛋白質のNMDA受容体への結合などにより、NMDA受容体が過剰に活性化。
それに伴う細胞内へのCaイオン流入が引き金となって一酸化窒素などの「細胞毒性」が誘発され、神経細胞の脱落や認知機能の低下が起きていると考えられている。
メマンチンは、ADにおいて過剰に活性化されたNMDA受容体のCaイオンチャネルに蓋をして、神経細胞を保護する効果をもたらす。
ただし、正常な神経伝達に伴うNMDA受容体の活性化に対しては、電位変化の微妙な違いを見分けイオンチャネルから解離するので、記憶形成には影響を及ぼさないという特徴も備えている。
メマンチンはアダマンタン骨格をもつNMDA受容体に対する非競合的アンタゴニストである。
メマンチンはNMDA受容体に対して低親和性に結合することから、正常なグルタミン酸を介する神経伝達には影響しないが、それ以外の過剰なグルタミン酸の刺激から神経細胞を保護する作用がある。メマンチンも10年あまりの開発期間を経て、2011年に製造承認を取得した。
中等度および高度ADにおいて適応を有し、剤形は普通錠のみである。
メマンチンはChE阻害剤(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)とまったく異なる機序で神経保護作用を発揮することから、ChE阻害薬と併用投与が可能である。
メマンチンは、わが国の第3相試験において、認知機能悪化を抑制する作用以外に、徘徊や常同行為、興奮・攻撃性の予防・改善作用が認められている。
これらの作用は、ChE阻害剤と併用しても発揮されるという報告がある。
はじめて服用する場合は、5mg/日(1日1回)から開始し、1週間ごとに5mg/日ずつ増量し、20mg/日を維持用量とする。
基本的には、副作用などの問題がない限り、ChE阻害剤は継続して使用し、切り替えることは勧められない。
また、メマンチンは副作用の頻度が低いことが特徴であり、1週間後ごとに5mg/日ずつ増量することにより、浮動性めまい、頭痛、眠気などの副作用を低く抑えることができる。
長期における主な副作用は、便秘と考えられる。

参考書籍:日経DI2012.1

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